前回の経験を活かし会場装飾は5分で出来る置くだけ仕様。
とはいえ思いつくだけ小道具を持ってきたら2泊用のキャリーいっぱいになった。
TETRA。と乗換駅でばったり遭遇して一緒に会場入り(仲良しか)。
「大荷物で大変そうな人いるなー、と思ってたら、こもださんでした(笑)」
階段ではキャリーを持ってくれる男前なTETRA。である。

前回の麻▼楽は「Phaidia復活祭だからアングラな演劇を」という指定だった。
(今日はFOXPILL CULT新譜『邪宗門』全国発売記念イベントだが)
今回もAUTO-MODと対バンということを踏まえ、やはりアングラでという指定だった。

本来、音響・照明オペはお願いできる筋合いじゃないのだけど、PA担当の竹井さんと店長さんが尽力してくださり、(「今から台本読み込むので」って会場の人が言うの初めて聞いた…感謝しかない!)暗転やら音出しをしてくださった。ありがとうございました。

麻▼楽=[出演:こもだまり+TETRA。][音楽:西邑卓哲]

麻▼楽-maTra-音楽劇2『幻視』
2015年2月27日(金)19:30-19:55(25分ver.)

脚本・演出:こもだまり
音楽・CM動画制作:西邑卓哲(FOXPILL CULT)

[出演]
男:戌井 伶=TETRA。/ 女:尾崎葉子=こもだまり(昭和精吾事務所)
 
(TETRA。撮影:あやめさん)/(こもだまり撮影:kihitoさん)


[声の出演]
祖父:戌井 壮=昭和精吾(元・演劇実験室◎天井桟敷)

[主題歌]「赤い花」(麻邑楽)
[挿入歌]「なみたまいそ」「ことどわたし」
[音]「幻」「悪夢」


(撮影:kihitoさん)


(撮影:あやめさん)


※写真はお馴染みのあやめさんと、この日客席にいらしたdigitalvampire kihitoさんが撮ってくれました。
kihitoさんのこの日のお写真はほかにも、こちらのflickrのアルバムにあります。
https://m.flickr.com/#/photos/digitalvampire/sets/72157650676792968/
kihitoさんのサイト http://degitalvampire.net



[あらすじ]
左目に犬の紋の入った眼帯をつけた伶が、手帳を手に一人語り始める。
「僕の家系には何代かにひとり、目の病を持って生まれるものがある。それは ”赤い目" あるいは "幻視" と呼ばれる。」
伶も幻視で、一つ前の幻視だった祖父が夢に現れたことからこの物語は進行する。
祖父の夢での言付けを実現するため、祖父の手帳の案内で辿り着いた先、通り雨の中現れた白い着物の、片目の巫女・葉子。
祖父の手帳にあった古い写真の女(葉子の母?)に瓜二つである。ほんのちょっとの雨宿りのつもりで葉子の住む社に案内されるが・・・


(予告CMで少し台詞が聞けます→ http://youtu.be/9z7hB5EL_Lw
百眼っ子たちも見知らぬお客様も客席のわたしを捕まえて感想をくださった。ありがとうございました。最初の読者である卓哲さんとTETRA。がいたく気に入ってくれたことに勇気付けられ、上演することができた。(鬼姫・少女椿で二度も吸血鬼同士だった)TETRA。とだから吸血鬼モチーフがいいかな、と単純な理由で書き始めた作品。「君は血が欲しいのか?」とTETRA。が言ったときに、最前列で座って見てくれてた女子が「まじかーw」て声を出したのが面白かった(笑)
このあと「だいたい、日本で吸血鬼なんて、子供みたい(笑)」って葉子に即否定されて伶さんがちょっと赤くなるところが萌えポイントです。(そして自分が吸血鬼の紅葉役やってるくせにこれを言うのも、ちょっとお遊び。)

昭和さんの声を使うことは、昭和さんとのミーティングに向かう30分前に思いつき、慌てて台本を刷って持っていった。
この音ネタを聞かせた時、TETRA。は目をまん丸にして表記できない音を発して(笑)、とても喜んでくれた。去年から昭和精吾事務所の公演を手伝ってくれてるし、ふんわりだけど共演できて、恩返しになったかなと思う。TETRA。の祖父の役。TETRA。曰く「うちの祖父に少し似ていると思っていたので、なんだかいい感じです」とのこと。
昭和さんとわたしの声でSE「悪夢」を編集するのは楽しかったし、事前に録音した読み合わせとトラックをつないで本番前に全体像が見えたのがよかった。朗読音源を一本作ったみたいな感じ。
課題は当日処理になる部分をどのくらい安定させて、自由になれるか。当日の音響・照明のオペ問題とか、音のバランスとか、声以外の演出をどこまで詰められるかとか。しかし!この2回で発見がたくさんあった。先が楽しみだ。


見てくれた倉垣吉宏おにいが「こもださんの書き下ろし、意外にも和ゴスでした」と感想をくれた。
常川博行さんは「古神道と民間伝承と雨月物語をミックスした感じ。こもださんの情感とテトラの虚無感が、混じり合って独特の世界観。これも一つの演劇。僕とは、違う世界だね。」とtweetしてらした。
和ゴスって意識してはいなかったけどそう見えるのならイベントには馴染んだかもだし、古事記に詳しい常川さんがこうおっしゃるということは、わたしがこれまで触れてきたものが勝手に出て、結果民話に見えるんだなと知る。感想ありがとうございました。



この日のバンドはAUTO-MODとシトクロムとFOXPILL CULT。

リハ時間、ジュネさんにご挨拶した。昭和精吾事務所の所属です、というと「昭和さんのアメリカいいよね」とおっしゃるので驚いた。どうやらご存知らしい。こちらは衣装メイクが済んですっかりアングラの雰囲気(?)だった故か、ジュネさんは初対面なのに「前に会ってるよね?」と。中村亮さん(元・演劇実験室◎万有引力、AUTO-MODのパフォーマーでもあった)とわたしは共演しているから、面識ないのになんとなく身近に感じてはいたのだが、ありがたいお言葉だ。
(後日、ご自身のブログで「大昔の天井桟敷の流れを汲む麻▼楽の音楽劇、もう、とことんアングラでしたよ!!」とコメントされていた。)
初めて見るAUTO-MODは堅牢な古城のようだった。どっしりしていて、歴史があって今もしっかり立っている、そんな安定感と強さを感じた。そしてジュネさんのキュートな一面も含め、わくわくするライブだった。

太三さん率いるシトクロムを見るのは二回目。
シュッとした見た目と裏腹な、(「太三」という名前からも彷彿とされる)男くささのある演奏。そのギャップが面白く、だけどやはり美しい。きっと太三さんのお人柄なのだろうけど、迷いがない美しさ。

FOXPILL CULTは、今年になってから特に客席との空気の共有がうまくいってる感じで、いまとても見やすい。メンバー同士の息がどんどん合ってきている。弦が切れたり、同期で違う音が出たりとトラブルはあれど、客席が気持ちが途切れずに見ていられるのはそのせいかなと思う。


麻邑楽を始めた頃に卓哲さんと、語りとか朗読とか入れた構成でライブが作れたらいいですねと、漠然と話したことがあった。
わたしの想像は、曲ありきで、曲間を繋ぐ言葉を足して物語にする形式だった(2nd、3rdのライブの感じ)。
しかし思い返せば、当時卓哲さんが言っていた比率はその逆で、物語ありきでキーとなる歌が数曲ある形式を言っていた。わたしには全く想像がついていなかったけれど、それが、麻▼楽の基。


年始に今回の依頼が来た時はすぐある既成台本が浮かんだが、そこを温存して、自分で書いてみることにした。(今思えば、たくとまりでちょっと書いて調子に乗ってたとしか思えない暴挙!)しばらく、たくとまり『春と月』脚本に専念して、1/29『幻視』第0稿(プロットと少しの台詞イメージ)、2/7の本番後に詰めて、2/12 第1稿完成。
書き上がってみたら『短歌零年 改-ことりおに-』のために書き足した序と終章にリンクしているし、麻邑楽戯楽曲『失明』にも同じモチーフがあるし、自分が拘っているらしい事柄を認識した。次があるなら、また同じモチーフが出るだろう。なんだろう。自己カウンセリングみたいだ。


今回の『幻視』に関して、特別にお礼を言いたい外部の方がふたり。
ひとりは高校時代の恩師、羽野幸春先生。
わたしに倫理を教えてくれた人。(あ、例えではなく倫理の授業を受けたのです)
物語の外枠である古事記や伝承の面白さを教わったこともだし、そもそも先生に会っていなかったら違う人生を歩んでいたと思う。
ご本人にも謝辞をお伝えし、予告CMを見ていただいた。卓哲さんが作ってくれた情報盛りだくさんのCMにはキーワード(登場人物の名前とか)がたくさん入っているから、先生はCMを見ただけでわかってしまうことがたくさんあるだろうと思う。脚本もお見せしようかしら。きっと会いに行こう。


ふたりめは漫画家の今市子さん。人でないものとの交流を描いた『百鬼夜行抄』という作品がとても好きで、文庫コミックで揃えている。これを読んでいたから想像できた非日常の時空だと思う。敬意を表して「闇のものと取引してはいけない」など2つの台詞をそのまま引用させてもらった。絵も好みだし、物語作家としてすごいと思う。語呂も含め、それ以上の言い方がないっていう美しい台詞を書く人。


そして一介の俳優でしかないわたしに書く機会を与えてくれた、この一年間の流れに関わったみなさまに心より感謝します。



TETRA。さんと。


犬の紋章の眼帯(TETRA。さん作)と彼岸花。

余談ですが、

kihitoさん撮影の予言のシーンの写真、とても気に入ってるのだけど、
これヒム○のキメポーズやないか!と気づいてから、いつ誰に言われるかとどきどきしています(笑)
許してちょーだい△! ←さんかくだし!

(※2015年3月追記)麻▼楽。は2015年2月より麻▼楽-maTra-と表記変更しました。
3月にTETRA。さんは麻宮チヒロさんに改名しました。
この機会に「麻人楽-matra-」に表記変更いたします。記号は検索に使えなくて不便なのです!