2017年07月18日

御礼)舞台芸術創造機関SAI『無題』(密空間演劇市・シアトロン内)

▶︎シアトロン7/16ソワレ : 〜出演
▶︎シアトロン7/16ミッドナイト : 〜出演

舞台芸術創造機関SAI『無題』

作:麻宮チヒロ 演出:SAI




[出演]
法師:麻宮チヒロ(舞台芸術創造機関SAI)
銀次:倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)
お熊:稲川実加
琳 :大島朋恵(りくろあれ)
三吉:こもだまり(昭和精吾事務所)

[感謝]
本番映像撮影:西邑卓哲(FOXPILL CULT)・乃々雅ゆう(幻想芸術集団 Les Miroirs)
衣装協力(蓮着物):ホンマアキコ

 


この出演依頼があったときには周りの予定が既に決まっていた。
スケジュールはきついけど、ほかでもないチヒロ氏の初めての戯曲なら出るしかないじゃん!ということで詳細も聞かずに受諾したのでした。

作演主宰が三人もいる座組で、そうでない実加さんもわたしが信頼する女優だし、短い時間だったけど皆が惜しみなく出し合って作る、刺激的で楽しい創作現場だった。
チヒロ氏は(DJや俳優としての彼を知っている人ならご存知のとおり)耳のいい人だから、出演者に実際に読ませてみて細かく耳障りを直していく、という作り方だった。初作品ながら稿を進めるごとにどんどん彼らしさの色がはっきりしてきて、出演者もたくさん口出ししたけど、それを吸収しても尚、とても彼らしい作品になったと思う。


わたしは予想外の男役で、しかもチヒロの文体は初めてだから語り口のプランを調整するのに案外時間を要した。どの音・どんな言い方が相応しいかを調整したいのに声が普段と違う(楽器の調子がおかしい)と判断が難しかった。(例えると、楽譜もあって音源聞いてて頭の中では完全に理解しているけど大きな声で歌ってみてないって感じ?)普段は気にしてないポイントだった。初見の本読みでも、ある程度は様子が掴めて表現できるんだけど、声が違う=聞こえ方が違うと、成功してるかどうか自分で判断が難しかった。終わった後、チヒロに「声があれで稽古序盤はごめんね」と言ったらよ「こもださんが声すごいハスキーな時も、これはこれでありだなって思ってました(笑)」って。

しかし逆に、普段出ない声が出るから想像しないノリが生まれたり、新しい演奏法を見つけたような思わぬ収穫もあった。
「うんざりだ」って台詞は昭和精吾の『おさらばの辺境』の「こんな時代にゃうんざりだ」の言い方を踏襲したり、ところどころ昭和さんを使っていたのをチヒロさんは気づいていたみたい。


舞台は紗幕を垂らして明かりも暗い場面は朗読可能な限界まで暗く。
顔をみせるのではなく姿や気配、関係性は距離感や立ち位置でみせる、というような、朗読劇でありながらある種ダンス的発想が必要な作品作りだった。久々、空間把握に意識を張る感じ。インプロでダンスするときなんかに使う回路。
あまりの暗さに稽古で台本が読めず「やはり全部覚えるしかないのか」と思いもしたが、冒頭は(布が燃えるからとチヒロが一度断念した)蝋燭が採用になり、炎が揺れることを除いては快適になった。
ただし本番は、お客様が大勢来てくださったので、湿度もすごいし酸素も薄いしで、用意していた蝋燭の擦り口はふにゃふにゃ、擦っても擦っても火がつかない。3度目でやっと発火・・・したと思ったらすぐ消える。万が一のためにライターを用意してたけどなんとか2本目のマッチで蝋燭に火がついた。台本も湿気でふにゃふにゃ。(歌鈴が「こもださんのマッチが消えるなんてただ事じゃないと思った」と後で言ってた。)


(写真は据置カメラよりキャプチャー。ゲネの写真を撮っていただいたので入手したらまた。)

そんなお客様にとっても過酷な状況での50分でしたが、みなさん集中して見て/聞いてくださりありがとうございました。わたしは男ものの夏着物で、竪絽の透け透けの素材で帯も男結びだから涼しいはずなのに始まって5分くらいで汗がぽたぽた台本に落ちるほどだった。みんなも浴衣なのに汗がすごかった。そしてお客様も…。



大島おねえの状況把握能力は 喋らないが大人たちの様子をしっかり受け止めているところに
実加りんのまっすぐさは お熊が最終的には言葉や手段を選ばずまっすぐ手を伸ばすところに
倉垣おにいの熱さは 銀次の直線的な動きや好意の表現に
チヒロの纏う独特のテンポや空気は 法師の得体のしれなさに

そのままぴったり活かされて、ゲネを入れて数回しか通していないけれどワクワクするセッションだったのです。声でも身体でも会話して。便宜上もあるけれど、出演者が全員、照明のオペをする箇所があることもこの作品らしいなって気がする。共演者の身体が登場人物そのものとして在る時と、物語の中の文字のように在る時と、オブジェとして在る時など、いろんな位相で感じられたのも面白かった。


1ステを終えてチヒロが全体に言ったことで2ステめ(千秋楽)は、よりうねりが大きくなり、チヒロも終演後「見ながら、『これこれ!これが見たかった!』って何度も思いました。ありがとうございました」と言った。
見に来てくれた綾野アリスさん(もと有栖川ソワレさん。先日改名)と左右田歌鈴さんが口を揃えて言うには
「チヒロさんのキャスティングが絶妙だった。『この人のこういうところが見たかった』ってツボを確実に突いてて満足度が高かった。」とのこと。
それを聞いて、わたしに於ける『この人のこういうの』がなんなのかを詳しく聞きたかったけど聞きそびれちゃったからまた今度聞こう。

(感想、いつでもお待ちしております。)



作家デビューおめでとう麻宮チヒロ!
(蓮着物は5年前に絵描きのホンマアキコさんに描いてもらった、わたし所蔵のもの)



麻人楽『犬神抄+h』でもここでもわたしの嫁役の(しかもどちらも酷い目に遭ってしまう役)の稲川実加嬢。
シアトロン当日パンフで発表しましたが、9月の事務所公演に続き、12月の池の下公演『葵上/班女』でもご一緒します。この秋冬は実加りんと共にある。楽しみです。




関西ツアーから朝戻ったのに撮影に駆けつけてくれた西邑卓哲氏(お昼寝中)を囲んでの集合写真。



心なしか凛々しいわたし。


ありがとうございました!

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mari_air at 00:00│Comments(0)演劇・舞台 

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