4月の初め、三島由紀夫関連作品6つを上演した「MISHIMA祭り」。
私は、『仮面の告白』をモチーフに描かれた女性二人の変化球ラブストーリー『MasqueraDead』に出演しました。(通称マスカレ)

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劇場で有観客の作品もありましたが私の出演した「マスカレ(無印)」は配信のみ。
作品の内容に沿って、通常セットの4台にGoproを加えた5カメでのスイッチング映像です。
スイッチングは信頼する俳優でもある麻宮チヒロ氏。昭和精吾事務所にも麻人楽にも参加してくれてて、画角やリズム感といったセンスがあるので、映像としても見応えのあるものになったと思っています。
(配信はU-3という、倉垣吉宏さん率いる映像配信チームが担っています)

マスカレCMはこちらの動画↓





SAI×小屋+kop 『MISHIMA祭り』
池袋GEKIBA 2021.4.1〜4.4上演


【配信観劇】全6演目、8枠のアーカイブ(映像記録)を販売
4/16(金) 23:59迄 受付 ←本日まで!!
4/18(日) 23:59迄 視聴可能
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02khcm9migk11.html

・1枠2800円
・全枠通し券15000円

「マスカレ」は4月2日千秋楽がおすすめ。「マスカレ#」は4月3日初日のみ販売。
「あやめ」「班女」はセットで、8枠です。


【演目紹介】
告白が告白を呼ぶ女性二人の変化球ラブストーリー、再演
❶舞台芸術創造機関SAI『 MasqueraDead 』
作:倉垣吉宏
出演:常盤美妃(舞台芸術創造機関SAI) × こもだまり(昭和精吾事務所)
 +3(ぜん/寺原航平/渋谷翼)


女性二人の変化球ラブストーリー、令和新キャスト版
❷舞台芸術創造機関SAI『 MasqueraDead# 』
作:倉垣吉宏
出演:琴音 × 小林機械
 +3(ぜん/寺原航平/渋谷翼)

永暦元年夏、菖蒲前と頼政の輪廻の愛を描いた小説を舞台化
❸『あやめ』
演出:寺原航平(小屋+kop)
出演:三浦瑛夏・伊藤真瞳

「彼女の狂気は今や精錬されて狂気の宝石に・・・」近代能楽集の名作を男性キャストで上演
❹班女
演出:八木タケル
出演:倉垣吉宏・麻宮チヒロ・ぜん(ともに舞台芸術創造機関SAI)

「花ざかりの森」「豊饒の海」「檄」、三島の死後も終われない現代への鎮魂歌
❺空
構成・演出:寺原航平
出演:紅日毬子(虚飾集団廻天百眼)・倉垣吉宏(舞台芸術創造機関SAI)

三島が敬愛した異端の作家の超短編集を朗読
❻稲垣足穂「一千一秒物語」
構成・出演:月光密造舎


▶︎ #MISHIMA祭り 詳細
https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/avex01/



2年半前に初演。
今回は同じ戯曲でもう1チーム「MasqueraDead#」(略称マスカレシャープ)もありました。
2チームあったおかげで、無印チームは得をしました。テイクを客観的に見ることができ、倉垣さんも相手が違うから違う説明の仕方をし、それでわかったことがたくさんあった。だからこの「無印版」は「#版」の琴音ちゃんと小林機械と共に作らせてもらった、そう感じています。お二人改めてありがとね。
そういう場にしてくれた演出の倉垣さんにも感謝。
もちろん、ゲスト出演してくれた、ぜんさん(出版社の男)、企画主催者の一人・寺原航平くん(マクドナルド店員)、渋谷翼局長(ジムトレーナー)にも感謝です。


初演時は、正直掴みきれなかった部分が残り、再演のオファーをいただいた時、どうしたらもっと面白くなるのか想像がつきませんでした。しかし、常盤美妃さんの第一次復帰戦の1作目、それも再び二人芝居の相手役という映えあるご指名だから、断るという選択肢はなかったです。

作品は先に書いた通り『仮面の告白』がモチーフ。(wiki参照
ざっくり言うと主人公の「私」(三島本人のような人物)が自分の恋愛対象が異性が同性かの間で苦悩する。肉欲なしに愛する級友の清楚な妹「園子」と、官能を伴う感情を持つ野蛮で逞しい級友の「近江」が登場するが、私の演じた「オーミ先輩」はその両方を担っている。

「オーミ」は女性の肉体と男性の精神を持ち、恋愛対象は女性。
対してとっきー演じる「キミ」(三島の本名に由来)は女性の肉体と男性の精神を持ち、恋愛対象は男性。
キミの初恋の相手はボーイッシュな女性であるオーミで、オーミは女性としてのキミに恋をする。
複雑な告白から始まるラブストーリー(というか闘争)です。



こもだまり×常盤美妃 着物で振り返りツイキャス

https://twitcasting.tv/mari_air/movie/676524741
続きの「打ち上げ配信」。
マクドナルド差し入れもらって飲食しつつなので一応パスワード付きで公開。
合言葉は「マスカレ」です。


自分が女性で男性との恋愛経験しかないので、この設定を飲み込むのに相当苦労した。
男友達に相談したりインタビューしたりしたが、みんな困っていた(笑)
先日の振り返りツイキャス(上リンク)でも話したんだけど、演出の倉垣さんがその告白について「自分が人外じゃないことを告白するってイメージしたら?」というのを聞いてふと腑に落ちた。
(とっきーや小林機械はしっくり来なかったそうだが、私は吸血鬼やら半妖を演じてたからか、めちゃ腑に落ちた)
中身が男性吸血鬼で女の子の血を吸いたいオーミと、外見は女性だが中身が男性吸血鬼で男性が好きなキミという構造と捉えて見る。「え!?人間の女の子だと思って血を吸ってたんですけど!!なんで黙ってたの?」てびっくりするよね。
そんな風に、お互いの本当の姿を晒してからの闘争が肝の作品です。
ところが、再演は、それだけじゃなかった。そこまでのラブラブなシーン作りが楽しかった。
ラストシーンに向かうのために、二人の幸せピークなシーンがある。

初演では、基本的にキミに感情移入させるのを(俳優としての私は)狙っていて、キミの見ているオーミを演じていた。成就するまではウブで誠実な男、ラストは身勝手で酷い暴言を吐くような(みんなに「褒め言葉だけど、こもださんクズだった〜」と言われる)男に豹変するという作り。
再演は、コロナ禍を経て人々の働き方が変わったことで、二人の設定から作る人物像に変化が求められた。優秀な営業職でいわゆるバリキャリなキミと、所属を持たずノマドワーカーとしてフリーの物書きをしているオーミ。2年半前はオーミの方が特殊だったが、自粛期間に人と会わずにPC一つで働くようなことがスタンダードになってきた。
で、演出の倉垣おにいが「そこを活かしたい」と言い、役作りが変わり、それに伴い二人の関係も変わった。

実は衣装が変わったことも関係ある。ベッドに寝るシーンもあるし室内シーンも多いので初演は裸足。同じ拵えにするつもりだったが、今回は足場の都合で靴ありとなって、ブーティを履くことにした。上半身は初演と同じだが、バランスでパンツをスキニーに変えたら「フリーのライターさんっぽい!」と好評だった。初演時も「女であることを仕事に利用している」設定を使って髪を巻いたり女性らしい細鎖のネックレスをしたりはしたんだけど、「好きな子の前では誠実でウブな男性」というのを強調して作った(クズとの対比のため)。それを、見た目「きちんとカッコつけてる女性」の方向にシフトして「好きな子の前でも男としてカッコつけてみる=宝塚男役」って感じにした。
おかげで、おどおどしてるシーンはなくなり、基本思ってることをちゃんと表現するタイプのオーミが出来上がった。
話が長くなったが、そんなわけで、ラブラブのシーンは、くっきりはっきり夢のような楽しいダンスシーンになったのだった。

その流れで、ラストシーンでオーミが本音を言うことも自然な流れになり、暴言なのは変わらないけど「いい人ぶってた」みたいな印象とは変わったはず。
対してキミは、初演は「一人でも生きていける強い子、誰も理解してくれなくてもいい」という孤高の強さがあり、誠実だけど頼りないヒモっぽいオーミとのグズグズな関係で作られたが、
再演のキミは「強がりを言いつつも本当は理解して受け入れてほしい」が加わった。オーミがちょっと頼り甲斐ありそうになったのも関係あるかもね。



話が長くなったけど、そんな作品を、今日16日(金)23:59まで2800円で販売中です。
視聴は18日(日)23:59まで。
人外役の多い私が、生身の等身大の現代の人物を演じてるのも見どころです。


あと、これはアクティブリーディングっていう台本を手に持った朗読で、台本を小道具に見立てて使ったりします、マクドナルドのお盆や、ノートPCなどに。
舞台芸術創造機関SAIは台詞シーン(声100)のシーンとダンス的な表現(身体100)を併用するので、朗読なんだけど踊ります。私はDaft Punkの「OneMoreTime」でやたら踊るし、Billy Joelの「This Night」でイチャイチャします。





歌詞がちゃんと内容とリンクしてることに気づいたときには、作家ってすごいな、と感心した。
でも待って!もしかしてDaft Punkがフルフェイスヘルメットなのも「仮面」にかけてたの?
倉垣おそるべし…!