着物に興味を持ってwebを彷徨っているとよく出てくるのが「骨董市」。
聞いたことはあってもなんの興味もなかった単語だが、どうやら古着物なんかも出品されているとか。
親切にも一覧が出ているページを作っているかたがいて、おかげさまで今日は花園神社と東郷神社の骨董市へ初出陣。
ページによれば「日の出から日の入りまで」が開催時刻で、だいたい5畤〜16畤、とある。
いろいろしてたらもう3畤だったので、そのまま眠らずに行くことにする。
地図を用意してバイクで出発、天気予報は快晴なので薄着にしたらバイクで30分走ったら寒いのなんの。着物が出ているという靖国通り沿いに花園神社前にバイクを停め、中へ入る、が、人影はちらほら。お目当ての着物屋さんはいない。境内近くで車から荷物を出している人々が2組ほど。4月で早朝は早すぎたか(笑)。とりあえず今日の買い物がうまくいくようお参り。ここで待つには芯まで冷えてしまったので、一旦どこかでお茶でもと駅方面に向かうが、考えたらこんな早朝、ファーストフードも開店前。浅草と迷って一路、原宿へ。電車に乗ってる間に向こうも開店するだろう。
原宿について竹下通りを少し歩いて東郷神社へ。
こちらはもう大賑わいだった。入口から着物屋さんが何店も見える。
うろうろしてる内にお日さまが昇って暑いほど。お店の人は「羽織ってみていいわよ」と言うけどだんだん意識がもうろうとしてくる。上着を脱いで、全部の店を見る。関係ないけど箸置きが目の前で200円に下がって、丁度箸置き文化(砂々良で働くようになってから便利さを知った)導入の意思もあったので見てみたが、あまり気に入るのがなかったり、一個しかなかったりで断念。まあ縁がない感じた時は買わなくっていい時なのだから。
着物は丈はまだしも(私が父譲りで身長に比して手足の長いため)裄が足りないものが殆どで、残念ながら買うにはいたらず。吊ってある1000円以上のものたちから、下に山積みになってる一枚500円のものまで、元気をだして見ていく。うそつき襦袢を作りたいのでそのためには500円の着物を見ていたら「それは一枚500円ね!」とおばさまが何度も教えてくれる。あんまり何度も言うのでちょっと疲れちゃった(笑)。「私からすればそれは布ね。着るようならこっちの吊ってあるのがおすすめだよ、はっきり言って!」やけに元気だなぁ。今日は買う気のない袷ばっかりだったし、いくら安くてもまだよくわからないのに無為に数だけふやしても仕方ないので買わない。
隣のお店には襦袢がたくさんあったので見せてもらう。台に乗りきらないからと出してなかったのまでおばさまが出してくれて、ありがたく見る(この人は無駄に話しかけてこず、付かず離れずでいい具合)。でもやっぱりサイズは合わないので買わず。奥の店では白髪のボブの小っさいおばあちゃん(やまんば風とも言える)が小さいスペースに着物をたっくさん吊っている。外人さんが「コレイクラ?」「ふぉーさうざんと」「oh、3800ニナリマセンカ(←日本語)」「こっちも商売だからねぇ、ダメなんだけど・・・わかった、オーケーオーケー、3800ね」とおばあちゃんは日本語と英語をごっちゃごちゃにして使って商談してた、うーん、「必要」ってすごい。50代くらいのご夫婦が「これいくら?」「8000円」「丈短いかしらね?」「あんたが着るの?」「いえ私じゃないの、160センチくらいの娘が・・・」「奥さんいくつ?」「145くらい」というのも聞かずおばあちゃんは着物を奥さんと並べる。おはしょりの長さを確認しようと下にひっぱる奥さん。「ひっぱんないで!身長よりこれだけ余ってるから足りるでしょ」「だからおはしょりをね・・・」「こうやってまっすぐしたら顔の分がおはしょりでしょ」と半怒り気味のおばあちゃん。「でも娘は160で・・・」と奥さんは困ってるので見かねて「私160ですけど」と口をはさむ。「じゃあこのかたの為にちょっと身体貸してね」と私に着物をならべて「ほら、頭より上に来てるじゃない」と勝ち誇るおばあちゃん。おもしろかった(結局奥様は気圧されたのかそもそも高くてイヤだったのか、黙って離れていったのだったが)。その後もやまんばあさんは「これって夏用ですよね?」と質問する若いお嬢さんに「いいのよ、好きなように着れば!だいたいあんた、着物ってなんだと思ってるの?」「・・・なんでしょう」「・・・!民族衣装じゃない!!日本人なのに日本の民族衣装知らないなんて恥ずかしいわよ、ほんとあんたみたいに興味持って着る人が増えたらいいけど」と国を憂えもしつつ、元気はつらつ。
着物専門じゃなくて骨董品の一角に一箱だけ着物というお店も何軒かあった。そこでは着物を着た40代くらいのメガネをかけた女性が日陰に悠々座って店番をしてる。見てないようでちゃんと見てて、私が帯を手に取ると「それはね、300円!」と声を掛けてくる。「やっすいですね」と応えると隣の店のおじちゃんが「そうだろ!驚きの価格だろ!」と合いの手を入れてくる。夏用の、透けて涼しげな紫地に銀糸で花の刺繍が入ってる。名古屋帯も一本も持ってないので、練習用に買う。
ほかに黒地に青い糸で山模様が描かれてるお太鼓用の帯を一本買う。
襦袢をたくさん見せてくれたおばさまの所ではぎれを2枚買う。

東郷神社を後にして浅草へ。これもネットにあった地図を参考に歩く。すごい人出で参ったなと思ったら日曜の昼時だった。お参りして、そうとう散策して、必要なものを買って帰る。傘とかんざしは今日は買わなかった。しかし眠い。花園神社の骨董市に戻る。お店は少ない。靖国通り沿いの着物のお店は安くたくさんの物があったけど、襦袢はやっぱり合わなかった。奥にも何軒かあったけど、どれも吊ってなくてどーっと置いてあって、着物がかわいそう、ていうかその程度のものに見えてしまうし、値段の分からないフリーマーケットって私苦手で、いちいち「これいくら?」って聞くのがイヤなので、すぐ飽きて、バイクに荷物を積んで帰る。ちなみにそのお店の人が早朝から準備を始めていた着物の人で40代くらいの女性、常連さんに「まりちゃん!」て呼ばれてた。まりって、若いイメージのする名前だな、と思った。

帰って洗濯機をかけて、こたつ布団をクリーニング屋に持っていきがてらランチを食べようと出掛けるが、近所の二店ともやってない。日曜ってやすみか?布団を抱えて昼日中の道をえっちらほっちら戻って玄関先に放りだして、今度こそごはんを食べに行く。戻ると洗い上がってたので干す。太陽が眩しい。パジャマ替わりに浴衣着て、本を読みつつお昼寝(ていうか寝てないのだから普通の睡眠か)。

気付けば今日買ったもの、紫の系統ばっかりじゃないか。
そうか、今のわたしの流行りは紫なのか。ピンクのブーツから紫に流れたかな。