[WSレポート]山下「唯一無二の声を発見する」〜idenshi195 2021春WS(4)

こもだまり体験レポート企画4つめ。

第四回 講師:山下亜矢香(俳優/声優/ボイスチューナー) 
アーツビジョン所属。1999年、青二プロダクションより声優としてデビュー。俳優、声優としてアニメ、外画吹き替え、舞台に出演する傍ら、ボイスチューナーとしても活躍。これまでに学び培った発声・演技論から、俳優の声と身体を調整し演技に繋げる独自のメソッドを創作。俳優ひとりひとりに対し、きめ細やかなボイスチューニングを行うことから、これまでの出演者や、ワークショップ参加者から厚い信頼を得ている。idenshi195サポートメンバー。

Twitter:https://twitter.com/AYAKA_YAMASHITA


山下高橋
左より こもだまり(昭和精吾事務所)・山下亜矢香(アーツビジョン)・高橋郁子(idenshi195)


【山下氏と私の関わりについて】
idenshi195の0回公演とされている、旗揚げ前ながら言葉の楽譜としての初回公演、2011年「潮騒の祈り」は山下氏・東野醒子氏・私の三人語りで上演している(生演奏:anoa氏)。次に私が出演した2015年「やわらかな鎖」でもボイスチューナーとして稽古に参加、細かなサポートをしてもらった。


【山下氏とidenshi195の関わりについて】
言葉の楽譜になる前から高橋作品に出演しており、高橋の書きたいリズムを熟知している。
2014年公演で演出補としてついてもらい、以降ボイスチューナーとしてサポートしている、idenshi195には欠かせないメンバー。



[こもだまり WS体験レポート04]
2021.3.30

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
4、唯一無二の声を発見する / 講師:山下亜矢香(やました・あやか)




この全7回のWS4日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

まずは前回2人欠席だったので、足並みを揃えるため、全員で前回やった「名前とばし」をする。ついに水曜枠全員の名前と顔を互いに認識する。それだけでかなり空気は変わる。

そしてWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭8行の「定点観測」。前回同様、2行ずつ4人で読む。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けての変化を実感するために行う。

劇場で上演しているのを意識して読む、という前提にしたので、「目は本を見ていても客席に声を届ける意識を持ってほしい」「各々でパートを受け持つのではなく、4人で"同じ"情景を語る意識を持ってほしい」「声優畑の方はセンターに立ってるマイクを避けて台本を持ちがちだが、idenshiはマイクを立てないので、台本と正対してください」など細かくリクエストが入る。

のち、「円になって8行を全員で読む」。合図なしに同時に読んで欲しいという実験の3回め。
槙尾さんの即興の講義を受けたから発信も受信も感度や精度が変わると思って楽しみにしていたもの。
高橋さん「繋がれたら、読んでください」。
1回目、始まりが合わない。「集中して外に神経を張って ”行けるよね”、を飛ばしあって、同時にスタートできるよう、音を出す前こそ集中してほしい」
2回目、かなり合う。「音を出す前にこれくらい集中して登場すれば、空間を支配した状態でスタートできる」と。
次の段階「背中合わせの円で2行を全員で読む」チャレンジ。結構行けた!高橋さんも「すごいねー!いま合ったよね!」と喜ぶ。

講師、山下亜矢香さん登場。
高橋さんからidenshi195の関わりについて紹介(前述)。


註)今日のワークは実践編で、あんまり詳しく書くと山下さんの商売上がったりになっちゃうと思うので、随所省略しています。講師の生指導あって効果が出る部分が大きいことをご了承ください。


山下さんは「私自身、喉も弱く発声も悪く、結節の手術をするほど声帯に負担のかかる発声をしていたんですが、手術後に出会ったボイストレーニングの先生が物理的に指導してくれたので、今はオールでカラオケしても大丈夫なくらいに変わりました。」
声がどう引っかかっているのか、どうして出しづらいのかなど、自分自身が悩み経験してきたからこそ、発声に悩む人の心理や身体が理解できるというところがあるという。
浄瑠璃を少し習ったり、やイヴァナ•チャバック(潜在意識に触れていく演技メソッド)や、イリーナ・ブルック(ピーター・ブルックの娘)の元で演出に携わっていたフランスのロラン・クルタン(自分から出た声についていくことで役が生まれるという演技メソッド)のワークショップを受けた。
「心と身体両方からのアプローチ方法を学び、それらを組み合わせた独自のメソッドを構築し、ボイスチューニングや演技指導を行なっています。
私に合ったからって全部が皆さんに合うとは限らないですが、皆さんも自分に合うものを拾って、いいとこ取りしてください。」


「水分補給は10分に一回、一口でいいそうです」とのことで適宜補給しつつ、この2回は物理的な方法のワークをするとのことで、まずはいい声の出る、無理のないいい体勢を作るところから始める。

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