携帯をお店に取りに行く。すごくいい天気でひどく日に焼けそうなので、もちろんばっちり日焼け止めを塗って。
果たして携帯は、5卓の下に落ちていた。携帯を包んでいたハンカチだけ持って帰るなんてなんてマヌケな。
砂々良ノートを見ているとマスターが「時間あるならママの着物みていけよ」と言う。
昨日も、こんなにお客様が喜ぶなら(幸いふたりとも自分で着付けられるのだし)たまには着物Dayがあってもいいかもと思ったのもあり、滅多にないチャンスに、見せてもらうことにする。
私達が来てから一年程、着物姿のママを見ることはなかった。その間使われてなかったはずの場所と物。大きな蜘蛛の巣が、長期間誰も立ち入らなかった証し。蜘蛛の巣を払って物を座敷に出す。前々からたくさんあるとは聞いていたけれど、帯も着物も、お腰も肌襦袢も足袋も、たーーーくさんあった。たくさんあるけど、どれもちゃんと洗濯してあって、きれいにたたまれていた。ママはほんとにきれい好きだったから。箸置きと箸とコップがちょっとでも曲がってると気になる人だったもの。さすが、とても一年放置されていたとは思えない整頓状態。
携帯が心配で午前中に寄ったので、朝ご飯はまだ食べていなかったのと、あまりの量に出してる途中でくらくらしてくる。出しても出してもまだ山(そのときこもだまりは山頭火の句を思ひ出してゐたと云ふ)。
何時間かかけてとりあえず全部出して、いくつかの袋に分かれていた足袋を一つにまとめたり、帯締めは帯締めでまとめたりして、全部積み直すことにする。全部気を入れて見る気力は、今日は出ない。また今度ゆっくりと。

ママはお花が好きだったので(着物はそれに適しているけれど)花や蝶の模様のがたくさんあった。マスターは好きなの持って帰れ、一遍にじゃなくていいから、と言うけれど、基本的にはここに置かせてもらったままで、ぜひ、砂々良で着たい。
夏帯は千佳先生からいただいた白地のと、自分で骨董市で買った紫のしかないので、夏帯を二本、いただいてきた。ママの帯のお下がり、なんだか嬉しい。

砂々良ノートでユキちゃんにことづてする。
ママの着物コーナーを見たこと、たくさんあったこと、夏帯を2本いただいて、掃除だけして戻したこと。ユキちゃんも時間の有るときに見て、持って帰っていいとマスターが言ってたこと。
けど、基本的にここに置いて、お店で着ようと思うけど、どう?と。
(ママは、お座敷で10分程度でさっと着替えてきたらしい。)

そう、昨日tさんのお顔見て思い出したのだが、「店にママの写真を飾って欲しいな」とお通夜の日に言われたのだった。マスターと相談してやります、と言ったきりになっていたのだけど、今日マスターに写真を出してもらえたので、一箱、わさわさ見た。
まだ道の向かいにあった時の開店当時の写真(マスターもまだ29歳)から、最近の写真まで、幅広くたくさんあった。着物姿のママもたくさん写っていた。「これはさっき見たあの着物だ、あの帯だ・・・」と思いながら見る。いろんな髪形のママがいた。若いころ(今の砂々良の開店のころか?)の写真で、栗色のキャンディ・キャンディみたいな縦巻きカールの写真は、ブラウスに黒いリボンを胸元に結んで、ふわっとしたスカート、グレーのストッキングに黒いヒールのあるサンダル。お人形さんみたい。
着物姿のママの写真はコーディネイトとか、着方とか勉強になる。ママは帯の前側を少しずらして、帯締めを完全に隠す着方をしていたようだ。横向きの写真の時だけ、帯揚げが見える。赤い帯の時に黄色とか、差し色にしててかっこいい。
ママの元気なうちに話を聞けばよかったな。着せてもらいながら話せればよかったな。
その分今は、マスターに写真を見せてもらおうと思う。

何枚か選んだので、ユキちゃんにも見てもらって、マスターと相談してもらうように、砂々良ノートに挟んできた。どの写真が選ばれるのかな。

帰りにマスターがこあじを一袋くれた。南蛮漬けを作れとのこと。マスターのはもうできあがってたので、一匹もらった。南蛮漬けは骨まで食べられるのがいいな。
マスターにお礼を言って、帰る。