ここひと月、偶然か第六感の発達なのかわからないけど、妙なタイミングで符合が訪れる。
例えば読書。

会社で借りた東野圭吾『秘密』の解説が、澤村田之助が題材だというので興味を持った『花闇』の作者・皆川博子だったり(まだ皆川さんが何者かもしらない時点)。

さっき読んだ「よい眠りに関するコラム」に出ていたことが、『我輩は猫である』に出て来たり。
(口で呼吸するのは人間ばかりで、動物は音を発するときしか口から息を吐かない、のだそうだ)
『あれから、ずーっと、かい?』(横田創の書いた、KMRレーベルの朗読CDのテキスト、通称・ロバ戯曲)に出てくる『不動智神妙録』も『猫』にばんばん出てくる。「電光鋭利斬春風」なんか何度も。
友達の幼なじみを紹介されたら、別ルートで既に知り合いだった、みたいな感覚。
推理小説かってくらい、わたしの生活の筈なのに伏線が張られてるみたい。

雨が多くて電車が続いたので、読書ペースが早まっています。
ところで『我輩は猫である』の有名な冒頭部分、第一話の中でもう一度出てくるって知って(もしくは覚えて)た?
車屋の飼い猫・黒に「おめえはだれだ」と訊かれて猫が「我輩は猫である。名前はまだない」と応えるシーンがあって、私は笑ってしまいました。
漱石は(『こころ』の最後の赤、赤、赤、の畳み掛けが大変かっこよくて、印象は悪くないのだが)突然演説が始まっちゃったり、独白が長かったりで、固っくるしいイメージがあったのだけれど、結構お茶目な人なんだな、と認識を新たにしました。ハイカラというか。なのに猫は「我輩は・・・」口調な所がおもしろい。といっても、やっぱり知識だだ漏らし(笑)で、教師っぽい作品ですが。

ところで皆川博子さん、高校(府立第三高女・現在の都立駒場)の先輩でした。