歌舞伎で、役者が文楽の人形になって、黒衣が操る振りまでするという、人形振り。
海老蔵襲名披露で見た舞踊「京人形」という演目では(それは人形が勝手に動き出す、という設定なので、黒衣は出てこない)、人形役の女形が、てこてこてこと歩いたり、ぴょこーんぴょこーんと動いたり、コミカルな動作をする。
その時初めて、歌舞伎にそういうものがあることを知った。調べたら、女性の感情が昂揚した際など(八百屋お七が半鐘鳴らしに火の見櫓に登るシーンなど)に使われる表現らしい。

*正確に書くほうが分かりづらい気がしたので上は、噛み砕いた(不正確な)表現にしています。正しく知りたい場合は下記などご参照ください。
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/edc_dic/dictionary/dic_na/dic_na_23.html
http://www2.rosenet.ne.jp/~spa/kabuki/html/ess/ess100.html



前置きが長くなったが、その「人形振り」の稽古を最近している。
アングラ演劇でも時々使われる(阿部由輝子ちゃんも得意技としている)ので、見たことはあり、でもやったことない動きなので興味あったのだが、どこで教えてくれるものか・・・機会があったら由輝ちゃんに習おうかしらなどと思っていたら、今回! チャンスが巡って来た。渡りに舟とはこのことか。

というわけで私は大変楽しくやっているのですが、なにしろ新しい文法(身体の使いかた)なので、全然できない(笑)。笑ってる場合じゃないけど、笑ってしまうほど。
右手首、とか部分を限定されてればまだしも、複合技になると無理。
なにしろゼロからの出発。 全ての注意点を意識しないとならないから、飽和して、どっかがおかしくなる。だからまだ、無意識にできることを増やしていくための、段階。
ダンスの時と同じこと言ってるな。
ギター初めて習った時も思ったけど、ゼロからの出発って、毎回獲得するばかりだから楽しくて仕方ない!

期待してたすり足との共通点はあまりなかった。
人形だから足の指を動かしちゃいけないし、足首も固定ぎみだし、膝も曲げないし、そもそも、すらないそうだ。


けど、モダンダンスとの共通点を発見。
・肩をおろして、お腹をひっぱり続ける、という基本。
(肩甲骨を引き下げて、腸腰筋とか腹直筋あたりかな?を引き上げる)
・足の平の指骨の付け根(つま先立ちしたときの土台)を主に、足全体で支える(けど指は力まない)。

で、前回新たに聞いたのは、「肩甲骨(A・P・Bでは「天使の羽」と呼ぶ)を引き寄せて、胸を開くといい」。「そうすると、腕がびりびりして、固定しやすくなると思います」とのこと。
肩をおろすと腕がびりびりする、というのはモダンでも言う事だけれど、てことは、たぶん基本ポーズはモダンと同じでいいんだと思う。
最初の練習で「胸を開く」と聞いたし、見た目が、腰も入れてちょっとピンチ気味(腰を反らせて胸を突き出すように張る感じ)に見えたので、モダンとは違うんだなーと思ったのだけれど。

肩甲骨をおろして、背中も胸も開いて、腕のインサイドを感じる。それでいいみたい。
あと、ポーズの練習などして型が頭に(身体に)入ってくれば、上達するのではないでしょうか。

それからこの人形は「からくり人形さんみたいな感じですか?」と訊いたら「球体関節人形です」だそう。
そうか、いまは単純化して、肩も膝も固定にしての稽古なのか、と気付き・・・まだ道は険しく、遠い。