2007年11月10日

桑沢デザイン塾2007年[第2期]朝倉摂さんの講座

CCレモンホール今日はKDSこと、渋谷にある桑沢デザイン研究所へ。
砂々良のお客様であるYさんより紹介されて、桑沢デザイン塾の講座に参加するのだ。
今日は「演劇を楽しもう ー演劇空間」と題されたものの、第三回、舞台美術家・朝倉摂さんの回。

写真は、行く途中で遭遇したC.C.レモンホール(旧渋谷公会堂)の定時自動演奏&噴水です。

桑沢デザイン塾 2007年[第2期]
http://www.japandesign.ne.jp/KUWASAWAJYUKU/

演劇のほかにもデザイン関係の講座があります。
本来は5回まとめての受講なのだけど、枠があれば一回の単発受講も可かも。

会場は普通のお教室。映写機で舞台美術の写真を見せながら、それぞれ説明していく摂さん。
なかに「幸せの背くらべ」(ル・テアトル銀座、黒柳徹子主演)「海の上のピアニスト」(ル・テアトル銀座、市村正親主演・稲本響piano)「デストラップ(死の罠)」(東京グローブ座、長野博主演)、「ウィット」(パルコ劇場、草笛光子主演 ←「ひらり、空中分解。」の「やはにぃ」こと八幡さんも出演)など、見たものがあった。

印象に残ったのは、家のセットの屋根に椿がたくさん載っていて、それが時間の経過(舞台の進行)とともにポトリ、ポトリと落ちて行くというもの。
「椿を造ったのだけど、落としてもくるくると舞ってぽとりと落ちない。それで釣りで使う錘りをつけて、やっと思い通りの落ち方をするようになった、それをリモコンで操作することを考えた」と。

ほかにも、三角の柱(一面ずつ絵が違う)を場面によって変えるという話もあった。
つくりっぱなしの舞台美術ではなく、時間が経過する舞台。
そのためにはきちんと台本を読み込んで、演出家ととことん話をするという。

また、その戯曲の舞台となった土地(札幌なら札幌)にかならず取材に行くそうだ。「見てないものは作れない」と言う。「他のとこの悪口はいいたくないけど、◯◯◯をみたら訪問着の全身に柄があった、あの時代にあんなのありえない。勉強不足です。ちゃんとして欲しい」。知って、その上で壊す(というかre-creatする)のはいいとしても、本物を知らずに作れるというのは傲慢だ、ということだろう。
とてもしっくり来る。


ひと通り写真の説明が終わって、質問の時間が設けられた。
みなさん熱心に聞いていたらしく、次々と手が挙がる。
ひととおり終わるまで遠慮していたのだけど、まだ時間があるようなので質問した。
(「なぜ絵から立体に行ったか」という質問に「絵は二次元でしょ、三次元のほうがおもしろかった」と答えたのを受けての質問)
質問「時間の経過とともに変化する舞台美術を多く作ってらしゃるのですが、いまのお答えを聞くと、それがさらに先の四次元での作品ということなのだと思いました。それで、その動きというのは、戯曲を読んだ段階で具体的に浮かぶのでしょうか? またその動きの提案も、かなり具体的になさるのですか?」

摂さん「作品によってです。具体的に浮かぶものもあるし、そうでないものもある。動きも(思いついたら提案して)演出家と話しあって決めます。中には俳優が「ここに扉がないのは演出上やりづらい」と困ったものもあったけど、押し通しちゃったこともあります。でも説明いくら説明するより、舞台を見てもらうのが一番なのよね」

舞台美術でいうと、「一枚の絵を描いてそれだけ」の美術家が(もしかしたら演出家も)多いと思う。
俳優が上に立ってこそ、照明が当たってこその作品だということを、摂さんは強調する。
演劇の舞台は総合芸術で、いろんなスタッフが協力して作り上げる作品だということをよくわかっている。
現実に存在しない風景であっても、現実感がある。それがとてもいいと思った。


のち、Yさんが誘ってくださったので、お食事会に参加させてもらう。KDS時代の摂さんの生徒だった方々と摂さんと・・・恐れ多くもわたしは摂さんのお隣に座らせていただいた!
和食をいただきつつ、ちょこちょこ摂さんとお話。

昔、授業の時に「これ、昨日染めたのを着て来たのよ!」とおっしゃったとか、卒業してから何十年間、いまだに12月になるとふたりは作品をもって摂さんに見てもらいに行くとか(60歳くらいのおじさまをつかまえて「この人はここ数年でうまくなったわね」なんておっしゃる!)おもしろい逸話がたくさんあった。

さっきみた中に数作品、見た物があると話した。特に「海の上のピアニスト」はわたしはものすごく気に入った作品で、映画も後からみたけど、舞台の方がよかった、と伝えた。
海の上のピアニスト=「ナインティーン・ハンドレッド=1900」の友人のトランペット吹き=マックス演じる市村正親さんが唯一の俳優、そして舞台下手に設置されたグランドピアノを要所要所でピアニストの稲村響さんが演奏するというもの。舞台美術は至ってシンプル。可動の鉄製の階段があるだけで、そこが船のタラップになったり、陸上のとあるビルの階段になったり、船内の階段になったりして話は進行する。稲村さんもただ劇中のBGMを弾くというだけの人ではなく、この話の主人公であるピアニストの演奏シーンであったり、市村さんが実際に近くまで行って話しかけたりと、海の上のピアニストその人として扱われる箇所がある。市村さんは語り手で、主人公は基本的に不在、というか亡霊のようにピアノの前に座っている、思い出のように。物語ともぴったりの、いい舞台だった。書きながら思い出してちょっと泣きそうだもん(笑)


終盤摂さんは飼い猫の写真を見せてくださったり、気さくにお話してくださった。
Yさん、Nさん、Oさん、みなさん、そして摂さん、ありがとうございました。
次回の12/8(土)にまた伺う予定です。


あっ!Yさんがわたしをちゃんと「女優さん」と紹介してくれたので、さっき話に出て来たもと生徒さんのおじさまのひとりが「僕は王子のほうに貸し小屋をふたつ持ってるんだよ」とおっしゃった。「もしかして東京バビロンですか?わたし今日の昼間、友人の舞台見に行ってきました」「えっ。壁に絵があったでしょ、れ僕が描いたんだよ」「見ました!曲がったところでブロック塀に描かれた絵が見えて、こっちだろうなとわかりやすかったです」「あの絵があると、劇場の外のあの空間までがサロンになるんだよ」・・・という偶然の出会いもありました。
見に行ったのはぐんさんの出ている舞台。若い子中心の旗揚げ公演だったんだけど、話の整合性がしっかりしてて、持っていきかたも上手で、なかなかよかったです。ぐんさんおつかれさま。

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mari_air at 23:20│Comments(2)TrackBack(0)演劇・舞台 

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この記事へのコメント

1. Posted by ぐんじ   2007年11月18日 21:29
一週間経ってコメント。
ご来場ありがとうございました!意外にも(?)好意的な意見が多かったので救われました。みんな、よく頑張ったなと。

しかし、まりさん勉強熱心ですなぁ。
2. Posted by まり   2007年11月22日 23:23
>ぐんさん
あっコメントした気になってました。失礼しました。
勉強熱心ていうか、興味あって、チャンスがあれば行っちゃうでしょ、って感じです。
傷めた身体お大事に(笑)

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