wingの有能スタッフ・香里さんの提案で、秘密裡にこの会は準備された。
終業後、香里さんが翼さんをごはんに誘ってさりげなく会場に誘導、「で、部屋に入ると・・・!という寸法です」というメールが回って来ていた。先に入らなきゃいけないのにちょっとトラブルあって遅れちゃった私は「とりあえず外で遭遇するのだけは避けなくてはいけない」と辺りをうかがいながら店のある地下への階段を降りる。
と、玄関に三人のひとかげ。
「!!」
あの黒い大きなキャリーバッグは絶対翼さんだ。玄関の外で壁にひっついて隠れながら様子をうかがう。気分はスパイ。なぜFさんが一緒なのか? どういう話の流れになってるんだろ。なんにせよ、部屋に入るまでは会わないほうがいいと判断、追って入ることにしよう。あとは出たとこ勝負で!

三人が移動したのを見計らって、草履を脱いで追いかける。
「こんばんはー」とそそくさ合流。翼さんはこの大人数が揃ってることに面食らっている様子。
「今日はひな祭りの会で、翼さんに内緒で集まっちゃいました」ということでまず、ひとびっくりさす。
でも実は、本当のどっきりはまだあって・・・
「ひな祭りの会ということでしたが、実は、翼さんのお誕生会なんです!」
びっくりする翼さんに花束が贈呈され、みんな携帯やデジカメで写真を撮る撮る・・・
「はい翼さんこっち向いてください」「こんど目線あちらで」記者会見並みにあちらこちらから声がかかる。
本当の誕生日は3月4日なのだけれど、集まり易さから今日、一足早いお祝い。



  ー まったく気付いてなかったんですか?
翼 ー いやぁ全然知らないよ、何にも言わないんだもん。誰の企画なの?
  ー そりゃあもちろん、香里さんです。
  ー 密かにメールがあって、集合したんですよ。
翼 ー どうりで今日、香里ちゃんがいい着物きて来たなーと
    思ってたんだよ!(笑)
香里ー 翼さんが『Kさんが来ない、おかしい』って大変だったんですよ。
  ー なんで?
香里ー 一応、この日にKさんIさんあたりとご飯に行くかもしれないから
    予定空けといてください、って言ってあって。
K ー じゃあ私行ってもよかったんだ。1時間くらい早く着いちゃって、
    でもお店に言ったらバレそうと思って時間つぶしてたんだー。
香里ー 来ると思ってるから、後で見せますけどボディにもKさん好みのを
    着せてて、それなのに来ないから翼さんが
    『来ないね、電話してみよう』とか言いだしてもう、大変(笑)
    しかもFさん玄関でばったり会っちゃうし。

Fさんはショップに行ってたが、バレないように用事があるって先に帰ったのに、会場前で会っちゃったらしい(笑)

F ー ごめーん。
まりー わたしも玄関外で三人を見つけて、『なんで三人?』ってなって、
    わかんないからとりあえず隠れました。
翼 ー ほんとにみんな悪知恵が働くんだから。
    もう棺桶に片足つっこんでるんだから、めでたくもないよ。

照れる翼さん。

  ー いや、まだまだそれは困ります。
  ー 娘たちが『もう着物はいいや』ってなるまでは、
    あっちには行かせませんよ!
  ー 棺桶から引っ張りだすよねー。


翼さんには相当長生きしてもらうことになりそうです。



みんなが寄せ書きしたカードの贈呈。
「涙もろくなっちゃったから、家に帰ってから読むね」
特製ケーキのお披露目。
「着物を乗せてもらいました」
ケーキに「翼さんおめでとう」と書かれたクッキーと、椿模様の着物型のプレートが飾られていた。


ひなまつりにちなんだ季節のお料理(菜の花のおひたし、そら豆、ひしもち模様・桃型の練り物など)と湯葉、お刺身と桜風味のちまきなどを堪能。
着物好きが着物で集合してるんだからただでさえ話はつきない。
「さっき話したのはこの着物。これKさん好きでしょ?」とデジカメの写真を香里さんがKさんに見せる。
Kさん即「買う!」
「あとこれはNさんに見せようと思って・・・」Nさん「買う。」
ふたりとも即決(笑)営業時間外でも見事な営業の腕を見せた香里さんなのだった。
これだけ好みをわかってるというのがすごい。


今日はショー以降の3回目の「翼さん会」(乙女の集まりなのに政治団体みたいね)では初の、全員着物!
ひな祭りだし、翼さんに見せるためという用向きで、みんな華やかだったなー。
「こうやってお嫁入りしていった着物をきて来てくれると嬉しいですよね」と言ったら「ほんとだねー」と翼さんは目を細める。「わたしも新年会でいただいた帯を締めて来ました」「あ、ほんとだ、うれしいねー」

みなさんがアンティーク着物で来るだろうと予想していたのだけど、とにかく、新年会のビンゴ大会でいただいた帯をして行きたかった。それが優先事項として、着物で迷った。
翼さんとこから連れ帰ったアンティークらしい着物は新年会のその日着ていったターコイズの小紋しかなく、いただいたその日のうちにその着物に結んでみて満足しちゃったのと、せっかくだから違う着物で行きたい。
で、敢えて、伯母さまからのおさがりの江戸小紋にした。梅も描かれているしね。ひな祭りだから桃色の帯締がしたくて、合わせたら帯まわりがぼやーとしたので、帯揚を差し色に、まだ物足りなくて白いリボンも飾った。リボンは「そのひらひらかわいいね、どうなってるの?」と数人に訊かれ「リボンなの」とひっぱりだすと「帯板に付いてるのかと思った」と、意外におもしろがられた。
みなさん「ああそれ、◯◯さんらしいねー!」って着物を選択していらしてて、なんともまぁ眼福だった。
(写真のせられなくて残念・・・そうだ、今度後ろ姿での集合写真も撮ろう!)

それぞれのコーディネイトは香里さんがデジカメにおさめてくれた。
いつまでもはしゃぐ娘たちに少々呆れながらも、見守る翼さんだった。

歳の近かろう女性がこれだけ集まれば、着物以外も話題は尽きず。なかでもお料理が来て中断してしまった「レーシック視力矯正」の話は詳しく聞きたかった。
またお花見の会を企画してくれそうなので、その時に聞こうっと。
砂々良にも(蛤鍋が一番好評だったみたいね)、いつでも来てね。


<2008.03.02の着物>
髪も巻いて、かわいらしぶってみた(笑)
着物 =赤の江戸小紋 切り嵌め模様(梅・桜・大小霰・鮫・葉・立涌・鹿の子・格子・源氏香などいろいろ)
帯  =黄色地に赤扇と白牡丹の名古屋帯
帯揚 =ターコイズに羽模様、白リボン
帯締 =桃色
道行 =シルバーっぽい紬




帰り、とき緒さんとふたりになったので、着付けの裏話などして帰る。
一度一緒に着付けして謎を解明したいよね、と言いながらはや数年が経っている。
今年こそできるかな?


そうそう、翼さんの話がもうひとつあった。
妖怪写真のことなのだけれど、長くなったのでこれは別の機会に。

ともあれ、翼さんおめでとう!
みなさん楽しい時間をありがとう!
945セールの羽織も早くデビューさせたい。