バラシは8時半に終わって、とき緒さんとうちに荷物を置きに行って、メイク落として、メイクして、打ち上げ会場へ。

三姉妹&美子の曲「愛と理性」を作曲した櫻井さんの4人テーブル。背中合わせに死神テーブル(また姫宮家と死神家に別れてるよ)。櫻井さん交えて、美和姉さんを演じたとき緒さんと、妹の美子を演じた叶ちゃんと、裏話を少し。
美子のライブのシーン。「あのシーンでアンジェと美子が話すのが怖くてほんとやだったんだよね」と言うと「ああだからか。近づいて来る時さ、劇場来てから稽古場の時と顔違って、すごい心配そうな顔になってたんだよね」って。平静を装ってたんだけど、そんな顔してたんだ、わたし。
最後の美貴のお葬式のシーン、美和姉さんは、いつ病院から連絡があるかわからないから携帯を握りしめてるんだけど、その時、「父さんと母さんのお葬式の時は美貴が手を握っててくれたのに・・・って思いながら同じ手で携帯を握りしめてたんだよ」。
私は、「美子の最後のシーン(生きる方に転ぶシーン)は、父さん助けて、って思ってたよ。実際父さん=松井さんがその時幕裏に一緒に居るんだよね、だから父さんは来てる、父さんが助けてくれるって思うんだ」
役抜けてるとはいえ、まだ感情が生々しいので、話ながら思い出すと泣きそうになる(笑)。実際のわたしは兄ふたりの末っ子だから下の子を思う気持ちって経験ないんだけど、なんだろうねこの、掛け値なしの愛情は。姉妹もいいなと思ったよ。




その後、父さんこと演出補の松井さんを呼び出し、舞台監督の伊藤さんが到着し、5人でお話。
いろいろ話したあと、「美和・美貴・美子だったらどれがタイプですか?」というと「角が立つよね・・・」「いや、役ですから、角立たないですから・・」と誘導したところ「美和さんかな。目立つタイプってちょっと苦手なんですよ。どっちかっていうと、地味なんだけど、眼鏡をとったらおおっ、かわいいじゃんみたいなほうが・・・メガネフェチでもあるし」とか「付合うなら美子ちゃん、結婚するなら美和さんかな」。
・・・・。美貴さん、気の強すぎる女は敬遠されるみたいですよ。
松井さんにお世話になりましたと改めて言うと、「稽古期間が短かったんで、旅から帰って来たときは危機感を覚えましたけど、今回の役者さんだったからなんとかなったなってのが正直なところです。稽古して上がっても、次の稽古までにまたちょっと落ちて、稽古したらまた上がるけど次の稽古までにまた忘れてて・・・みたいなことがなくて、みなさん集中して中だるみもなく上がってってくれたんで」。そこまで言ってもらうと言い過ぎな気もするけど、皆、集中できてたのは確かだと思う。
「こもださんは、きっちり作れるのはわかってたんで、そこは信頼してたけど、あんまりできあがったものって心に響かないから、どれだけ崩すかが勝負でしたね。人はみっともないほうが美しいと思うんですよ。美貴をどれだけみっともなくするかっていうところが勝負(笑)」
松井さんがそんな風に思ってるとは気付いてなかった。言われてみればいままでの言動に納得が行く。
わたしにはあまり(振付け演出的な)段取りつけられなくて、「感情で」とか「おまかせで」みたいなのだった。逆に「わたしは演出しづらいのかなー」と思ってた。姉妹とのシーンは多少立ち位置に決まりがあったが、美貴と加賀美のシーンは3つとも、シーン全体の流れは指導あれども、「ここで近寄る」とか離れるとか、何処を見るとかの指定は全くなしで、ほんとにフリー。毎回ちゃんと会話するように、っていう松井さんの思惑通りだったのだろう。お陰で(何度もやってるからある程度は予測がついても)毎回相手がどう出るか、緊張は切れなかった。振られたり怒られたりのシーンで、しかも段取りないから生っぽいので、お芝居と分かってても怖くて、というか痛かった。


受付の着物美女たち(特に宣伝美術デザインのかぐ弥さんは、それだけでなく毎日受付に入ってくれて、愛さんの着付けも毎日してくれる大活躍だった)が終電で帰ったあと、ふと思い出して「母さん!大入袋渡した?」「・・・忘れたのよう」「せっかく書いてたのに?」「もう日付変わっちゃいますよ」というんで、急遽大入袋渡しタイム。「なんか一言付けて、そのあと名前言って渡す感じです」とレクチャーあって、「歌もがんばりました。美子ちゃん役・神月叶さん、ありがとうございました!」みたいな。加賀美と美貴が残って、加賀美さんが最後かと思ったら、わたしを最後にしていただいて、身に余る光栄。カーテンコールも加賀美と美貴が最後にセンター割りで出るようになってたし(その上、加賀美役の土山さんがいかにもなエスコート具合で)そういう扱いしていただいてたんだよね。こちらこそありがとうございました。


二次会は、櫻井さんの井上陽水が聞きたい!というリクエストと、美子が歌いたい!というんで(あんた舞台であんなに歌ったじゃない・・・)カラオケ朝までコース。カラオケってどうも何歌ったらいいかわからなくて苦手なんで、いつもデュエット一発してお茶を濁す。ライブで稽古休んだりして唄ってるのがバレてるので「こもださんの歌ききたいなぁ」って酒井さんが振ってくれたんだけど、期待されるような唄うたいじゃないんで・・・でも歌ってくれる人がたくさんいたので、歌わなくてもバレないかなーとおとなしくしてた。
櫻井さんの『少年時代』は甘ーい声で癒されたし、鎮目役の酒井さんが発声で歌ってたのを思い出しリクエストした『時の流れに身をまかせ』も癒されたし、浜省もかっこよかった。土山さんはB'zとか、やたらにうまい。松井さんが、とき緒さんの手拍子がずれてることに気付いて「美和さんの手拍子の絶妙なズレって、芝居じゃなくて天然だったんですね」って話になって、見つける度にふたりで爆笑する。
香坂さんは自身の作詞デビュー曲(テニスの王子様の中の曲)や中島みゆきを歌ったり、愛役の海ちゃんはモー娘。とか歌ってかわいいし、美子は勝手に歌い続けてるし(笑)、アップしながらよく歌ってたアンジェ役のサティは演劇の時と違う女性らしいきれいな声で別人みたい。歌わないとき緒さんと松井さんはデュエットで歌わされてた。松井さんは諦めて「わかったよ、歌えばいいんでしょ」と『1993』を歌ってくれた。ちょっと困って「役で歌うのはいいけど、素で歌うのって照れますよね」と言う松井さんが初々しく(しかも一次会で話してた好みのタイプの内容と歌詞が合致してるんで)、奥さんとの恋もこんなだったのかしら・・・と思ったら隣にいるわたしまで照れてきて、香坂さんに「なぜまりさんが照れている!」と突っ込まれた。

このままバレないかと思ったら隣にいた松井さんが「で?」「?」「いや、ポジション的に僕の役割かなと思いまして」と(笑)。『渚のバルコニー』を歌ったところ、正面の美子は上着抱えて照れて「こんなかわいいの歌うなんて・・・」こういう時は意外性で勝負ですよ、だってハードル高いんだもの。しかしこれ結構きわどい歌詞なのね。渚のバルコニーでふたりで待ち合わせして・・・って。

そのあと寝たり起きたりで実働メンバーの変動はありつつも、みんなでずっと歌い続けてた。
役から解放されて、仲間と一緒に遊んでいるんだなーという気分で楽しい朝までコースだった。

で、主役扱いしていただいたし、皆さんになにかご恩返しをと思って、秘かに土山さんに言ってデュエットすることにしたけど、歌える曲が合わない。芝居の相性はよかったらしいのに、なんともまあ気の合わないこと(笑)。1時間かかっても決まらなくて、途方に暮れてたら終了まであと5分てところで予約曲の消費が終了。禁じ手だけど「すいませんもう一回アレお願いします」って言って土山さんがとき緒さんと一回歌った曲をもう一度付合ってもらった。姉さんすいません。「まりさんの十八番だもんね」ととき緒さん。お茶を濁すデュエットで一番よく使う曲なので・・・松井さんの言った通り、素で歌うのは照れくさいんだけど、スイッチ入れちゃえばなんてことないのだ、これでも役者なので。(土山さんはもとよりちゃんとアピールプレイのできるお兄さんで、観客を盛り上げてらして、ほんと感心した。大阪の人なのも関係あるのかな?)思い返すとモニター前に並んで立ってた、無意識だからやっぱりわたしスイッチ入れたんだな(笑)。「今日はふたりの為に集まってくれてありがとう。みなさんの為に歌います」と美子が曲入れてくれてる間をトークで繋いで、『ロンリーチャップリン』歌って締めくくり。


自転車で帰るふたりと駅前で別れて、新宿方面の皆さんを、池袋方面のとき緒さんと櫻井さんと見送る。
ベンチに座って、三人でぼやーっと・・・

池袋でみな違う電車になるので、お別れしたあと、みなさんにお礼のメールを送信。
役名で呼び合うのもこれが最後だなーと思う。
「美貴」とか「美貴姉」って呼ばれてたのが懐かしい。

みんな、どうもありがとう。