2007年6月『青ひげ公の城』で共演した舞踏手のりっちゃんが初めて独りで踊るという。
これは行かなきゃでしょ。


同じく2007年の7月、草月ホールでの吉本大輔舞踏公演「エロスとタナトス」は見た。その時は広かったので、りっちゃんが踊るシーンは暗かったのもあり、りっちゃんの姿はよく見えなかった。
(『青ひげ公の城』の舞踏シーンは、舞台上で「見る」シーンだったから、全部ばっちり見たけどね!)




高橋理通子 舞踏公演
初独舞「蒼天のしずく」
2008.11.22(土)・23(日)
東生田会館
女性の舞踏だとつい先入観で「女性」性を見てしまいがちなので、もしかしたら違うかもしれないけど、「女」を踊ってるんだなと思った。

下手の前っつらで、花魁のような風体(打掛にかんざし→長煙管)で、自分の内にあるものを抉りだそうとするように、皮を剥ごうとするけれどできないもどかしさ、からだ中をこすって少しずつ剥いて行くようなしぐさが、いままで見たことのないりっちゃんで、わたしはとても嬉しかった。わたしがりっちゃんの振りで好きな、握った掌の内側に首を擦り付けるような動作の延長のように感じる。
りっちゃんが、りっちゃんとして独りで立つ。独りきりで一時間程の時間を踊る。高橋理通子の、誕生であり、再生。その場面に立ち会えて、うれしい。
りっちゃんは、この公演のご案内をくれたときにこう書いていた。
「一人で舞台に立つ怖さと日々稽古しながら闘っています。」
一人で舞台に立つことはもちろん、来てくれるお客様も、スタッフも、たったひとりの為に動いている、その怖さと、ありがたさ。そんなことも感じているんだろうなと思う。


終わったあと、外でりっちゃんに会えた。
わたしが言ったのは「打掛着てゆっくり後ろに歩いて行く場面が、人魚姫みたいだったよ」ということだけ。
りっちゃんは「人魚姫?」と笑って、まだ考えがまとまってないから話せないけど、たぶん時間がたくさん経ったらいろいろわかるんだろうね、というようなことを言っていた。もちろん見ている私もそうだから、時間が経ったら話そうねって言って、手みやげを渡して、分かれて来た。


金銀の糸で刺繍のほどこされた赤い打掛が、輝く魚の鱗に見えた。
(雑居房のウロコの少女の出て来る唄で、鱗に見たててグリーンの鱗文様の着物を着ようと思ったことがあるが、こっちのほうがそれに見える。それに気づいてても、雑居房では派手な打掛は使えなかったけどね)
正面を見据えたまま、美しい顔の女が足を窮屈なまでに擦り付けながら歩くさまは、まるでその着物の下に人間の二本の足なんかなくて、もとは一本の尾びれだったんじゃないかって、そんな風に思えたんだ。


りっちゃんおめでとう!