今日の稽古場で、共演者のシノさんが画期的な帯結びを教えてくれた。
簡単にほどける半幅帯の結びかた。
例えば衣装チェンジなんかで急いで着替えたい時にとっても便利だ。
これをバンド時代に知ってたら、唄いながら必死で後ろ手に帯解かなくて済んだな。
(なつみさんに「帯ほどけるか、見ててはらはらしました〜」って言われたもんだ)

通常の着付からしたら「解けやすい」「脱ぎやすい」結びなんて、よほど色っぽい用事でもない限り需要ないだろうけどもね。
しのさんもショーの時に仲間に教わったんだそうだ。
実に単純な理論なんだけど、帯って普通「解けにくいように」結ぶものだから、そんな発想が湧かないどころか、考えたこともなかった。
目からウロコ。
発想の転換。
必要は発明の母ってやつね。
でも考えた人、えらい。





さて今日はCキャスト=3週目の初稽古。
昨日がB、一昨日がAキャストの初稽古で、同じテキストだけど違う役を担当するので、今日の役の段取りはあやふや。
昨日その役をやってた人がそっと教えてくれたり教えたり、助け合っての立ち稽古。
しかも代役じゃないというのが不思議な感覚。

そもそもこの『御霊祭御祭騒』(みたままつりおまつりさわぎ)という作品は、百眼としては三度目の上演なため、前回も参加してた人から「前は確か、こういう段取りがありましたよね?」って話が出たりする(けどビデオがないので、経験者数人の記憶を擦り合せたりする)。
完成したことがある作品だから演出家にある程度の進路は見えてるでしょう。
それはある意味安心と言えるけど、前と同じことを、さらに言えば他の日のキャストと同じことをするんだったら今回トリプルキャストでやる意味がない。だからと言って違えばいいってことでもない。


それにしても。
ダブルとかトリプルキャストって初めてだけど、なんか、予想以上におもしろそう。
他の人がやってるのを見ると、「そういう解釈もあるのか」と勉強になる。
やる役によって視点が変わるから、同じ台本、同じシーンでも感じることが違う。
「この台詞、受ける側だとこんな風に感じるのか」とか。
それが(演じる側として)とてもおもしろい。

その感覚もフルに使って、3バージョンとも、約1ヶ月で完成度の高いものにするべく、がんばろう。


稽古のあと、そんなことを思いながら食材を買いに遅くまでやってるスーパーへ向かう。
そこで、今日のお稽古で会うとばかり思ってた人とばったり遭遇。

下りのエスカレーターから「あっこもださん(笑)」と声を掛けてくれたのは、2月の「鬼姫」で主演した大島朋恵さん!
しばし魚売場の前で立ち話。
大島さんはお芝居を見て、お酒を飲んできたところで、なんだかとてもしあわせそうな顔して笑ってた。
今日のCキャスト、当然大島さんが主役をやる回だと思ってたんだけど、今回は彼女は出演しないのだと今日の稽古で聞いたばかり。
その兼ね合いで、ABキャストの配役も変更になるとかならないとか。
たぶん今頃そんな会議がなされてるんじゃないかしら、という話なぞ。


今日、会えると思ってて会えなかったから、なんだかとってもうれしい。
「出ないんですってね」「そうなんですよー」って話を、知ってすぐに、直接話せてよかった。
正直言って、(語弊があるかもだけど)廻天百眼は女優・大島朋恵のための劇団だと思っていたので、大島さんのいない廻天百眼って想像したこともなかったし、今回も当然、大島さんと共演できると思ってた。
なんかそのへんの、もやもやした感じが、しあわせそうな大島さん見たら、すっきりしちゃった感じ。
大島さんが「観客」として参加する廻天百眼っていう初めての試みを、楽しめたらいいなと思う。


まあ要するに、大島さんに会ったらやる気が出た、と、そういう話です。
まずは台詞を入れよう。3役分。