その1 夜船・天神・雨憑家
 

夜船アキ役 紅日毬子ちゃん。
今回の主役。エロスシーンに果敢に挑戦、小道具としても大奮闘。
天神家に奴隷として買われてやってくる令嬢で、花道からの登場シーンは(直接迎える私しか見ていないのだけど)暖かな日差しを浴びて可憐なお嬢さんそのものだった。
すぐ解かれる運命とはいえ、かわいくしたいので帯だけお手伝いしました。秘術・すぐ解ける結びで豪華に見える結び方というのでこんな感じに。
舞台上で出会った時既にほどけていて、芝居の中で結び直して事なきを得た回も。それ以来アキの帯が無事かどうか、舞台上でじっくり確認していたのは内緒!
わたしに着付けを教えてくれた千佳先生は本公演は鬼姫以降見てくださってるのだが、着付に関しては特になにもおっしゃらなかった。ただ「あなたが襦袢を(アキに)着せるとこは緊張したわ」と笑ってらした。
回を追う毎に毬子ちゃんが乗ってきて隠していた本性があらわになり、楽日のマチネでついに、千代は葬列に平然と交じるどころかわたしと合った視線を外さないアキさんを見てミノリ様の死の原因を確信した。


天神(てんじん)家。


天神立仁(タツヒト)役 TETRA。くん。
両親を早く亡くし激動の時代に幼くして殿下となった人物。ふたりの女雛に翻弄される男雛。政治家の傀儡。難しい役だが感覚も思索もフルに使ってどんどん人物像を掘り下げていった。俳優歴は短いながらも日々の思考の結果を演技に明確に出してくる俳優。
直接の絡みは2シーンだが、こちらが変わればあちらも変わる、お互いいろいろできて面白かった。
雨のシーンでは、弟のように思っている彼が心細い思いをしているのがありありと伝わってくる。過酷な運命が待っていると知っていながら突き放さざるを得ない。やりがいのあるシーンだった。
打ち合わせをしてもそれにとらわれず、その場の感覚で反応してくるから安心して打ち合わせられた。褒め過ぎたかな?
大楽は特に、気持ちがちゃんと通じた気がして救われた。




天神美法(ミノリ)役 金原沙亜弥ちゃん(なっち)
同じく幼くして兄とふたりきりになってしまった少女。寂しいのを隠して気丈に振る舞うのが我が儘に映る。直接絡むシーンはなんとゼロ。でも雨憑家はこの兄妹を生まれたときから知っているので、ミノリ様の死は(突然の喀血、即死だったこともあり)大きな衝撃でした。タツヒト様へ報告に走るシーンでは、タツヒト様の顔をみた途端に大泣き。コケムスメも葬列で大泣き。なっちは「あれだけ泣いてくれるんだからミノリは雨憑家とは仲良しなんだと思いました」と言った。
裏では最後の森当ての転がし(照明)を出す係をふたりでしてまして、ツィゴイネルワイゼン(第二革命軍が来て政治家達が殿下をかばって死にゆくシーン)は、幕の介錯やらペンライト渡しやら、なっち大活躍。
稽古場の連絡係で、毎日もろもろの連絡もをとても丁寧にくれました。


雨憑(あめつき)家。
 

雨憑千代(チヨ)役 こもだまり。
雨憑苔牟須売神(コケムスメ)役 仲村弥生ちゃん。

弥生ちゃんは「鬼姫」からいつも身内の役(紅葉親衛隊・睡蓮、機械人間社秘書・秘書村熊猫)だったが、今回ついに姉妹役!
稽古でも本番でもほぼずーっと一緒(だから写真が多い)。

雨のシーン、蝋燭の明かりで見るコケムスメがまあかわいくて美しくて、我が妹ながら魅入ってしまう。この子を護らなくてはと強く思う。天神家と同じく私たちもふたりきりの姉妹、大切な宝物なのです。でもきっと私を護ってくれているのはコケムスメの方なのです。

「天測理法RitaVrata」通称リタブラでは、せっかく歌うなら踊ろうかと振付けをして、弥生ちゃんと秘かに練習したらみんなに伝播、アンコールでも使ってもらいました。振りはパフューム+存ぜぬ快楽ポーズ集、「天神家のポーズ」わかったかな?
ふたりの名前は「君が代」の歌詞からきているとの噂。
「こもださん、わたしがこもださんと仲よしなの知ってる友達からね、『お前妖怪になってもこもださんの近くにいくんだな』って言われたよー」と報告されました(笑)
今回も稽古場の癒しでした。やよいちゃんありがとう。
みんなもうちの妹と遊んでくれてありがとね!

その2へつづく。