その2 政治家・館の奴隷
政治家チーム。



軍閥の長、川島錠太郎役 桜井咲黒ことざっくん。
百眼のお家芸とも言うべき「あーれー」を今回も見事に成し遂げました。
ほぼ絡みがないのに気付いてふたりで相談して、ミノリ様の死の報告シーンで、川島が大泣きしている千代を支えて連れていく、という幻の絡みを発現(笑)打ち上げで言ったら「なにそれ(苦笑)」と演出。
矛盾を抱えながら信念を持って突き進む男、川島役を、悩み乍ら大切に作っていった。
リタブラの「ふくしょうてい」のポーズ(みんなが時間差でするポーズ)はざっくん考案だし、Madはざっくんの「地震だ!うわー!地震だ!!」あっての発展。あれは準歌詞の域で、土曜のソワレのアンコールのリタブラではみんなで「地震だ!うわー!地震だ!!」って叫んだねー。
パネル等、大道具の作業もお疲れさま。





財閥の長、西園寺琢磨役 常川博行さん。
百眼本公演には欠かせない、威風堂々たる怪優。
それでいてご本人はさりげなく細やかな気遣いを欠かさない、やさしいお人なのです。
疲れている若手を発見すれば(絶対施術する側のほうが疲れる筈なのに)惜しみなくツボ押しをしてくださる。最初はあまりの痛さに逃げ回っていた子も、自ら常川治療院にやってくるようになった。
政治家は殿下をあやつる傀儡師として描かれているためプロトタイプになりがちな役ですが、常川さんは随所に人間らしさを醸し出し、(楽日の稽古の日誌に書いた)革命家と相対するシーンでは政治家の顔からひとりの人間としての顔を見せ、国への愛、仲間への愛、幼き殿下への愛、いろいろなものを感じさせてくれた。
リタブラでは秘かにパントマイムや声技を駆使して「怪奇幻想文学の朗読者」の姿を、殿下を庇って銃口の前に立ちふさがるシーンでは東京グランギニョル俳優の血しぶきを、みせてくれた。

一度「ちょっと千代さん」と呼んでいただくくらいしか直接の絡みがないのが残念ですが、幕袖から覗いていつも(家政婦ばりに)見て、聞いておりました。経験を経ても瑞々しさを失わない振る舞いなにもかもが勉強になる。
先の日誌に書いた、大楽アンコール後の口上、熱く暖かい常川さんらしくて本当に素敵でした。




学会の長・岩崎白百合役 有栖川ソワレちゃん。
初共演。MONT☆SUCHT所属ですが、あちらはパフォーマンス色が強いので、劇場公演・台詞主体の演劇公演としては初舞台とのこと。
かわいらしい風貌にそぐうハーブティ嗜好やガーリーなファッション。そぐわぬヘビースモーカー、偏食(野菜嫌いの肉好き)。興味深い人物、その両面併せてかわいらしい人。
白軍服に縦ロール、どんどんオスカル化していく岩崎を誰も止められない・・・。これもチヨ目線でしか見えないところだが、葬列で立ち位置から少し離れた玉串案(置き場)に玉串を片手を伸ばして置く姿は、真紅の薔薇をアントワネットに捧げるオスカルそのものだった。
女だてらに武闘派と渡り合う、美しき学会の長。
リタブラは本当に楽しそうに、私が近寄ると「ちょっとチヨさん!」と声を掛けてくれるのが楽しみでした。あのシーンで私と目を合わせてくれるのは、なにげにコケムスメと岩崎様だけ。
よく聞けば人見知りだそうですが、仲良くしてくれてありがとう!
アリスちゃんの終演後のブログ、みんなへの気持ちがあふれてて読んだら涙出ちゃったよ。


館の奴隷。



篠田役 いちごちゃん。
サロス以来実験公演、本公演と共演しつづけのいちごん。いつも倉垣おにいやわたしのメイクを助けてくれる。本番中なにより苦痛なメイクタイムを乗り切れるのは、ベースを作ったらいちごんがなんとかしてくれる!と思えるから。本当に本当に感謝しているよ。忙しくても嫌な顔せず、いろんな人の顔を百眼風に仕上げてくれた。
そしてなにより今回は衣装さんとしても大奮闘。『存ぜぬ快楽』は本役のほかに大量な役があって、多い人で5着、着替えないのはタツヒト様だけ(脱がされるけど)、大島さんとふたりで30着以上の服を作ったり用意した。お疲れさまでした!
奴隷は絶妙のおばか感を醸し出し、袖では妖怪服タタミとして脱ぎ捨てられた衣裳をしわにならないように畳んでた。
リタブラでは「だるまだるま・・・」「きらきらきらきら・・」がかわいかった。振付けも積極的に覚えてサビは一緒に踊ってくれた。アンコールでは客席で踊ってたね。
大変でも弱音を吐かないがんばり屋さんで、人への感謝を忘れない子。


110306麻美さんと

松山役 ユートピア麻美さん。
いろいろあって麻美さんは急な登板となったのですが、数々の難関にもめげず、がんばってくれた。充分な説明もできずに本番を迎えてしまったのに、ちゃんと役割を果たして乗り切った。しっかり者さんで助かりました。

ああー、奴隷たち、名前呼んであげればよかった。チャンスはあったのに・・・

その3に続く。