鬼姫◎スナップ写真集2 温羅・可畏
【赤青共通】温羅(うら)役 常川博行さん。
 

初演に続き、常川さんの温羅が守ってくれた。
紅葉の腹心で、一番付き合いの長い、紅葉が最も信頼する人物。
運命や仕組みなんて知らないだろうに、紅葉の意図を本能で察知して、それでもなんとか守ってくれようとした。Twitterでも書いたけど、感謝の気持ちは、いくら言葉を費やしても足りない。
だからこそ、紅葉は温羅の刀で戦いたかった。

蘭に吸血される温羅の最期のシーンのあと、死の布が上がると、温羅の刀をこのあとの紅葉戦の為に納刀し据え置き、足場を整えて(落ちているものがあると滑ったりして危ないから拾っていってくれる)去って行く。その常川さんの心遣い。

死の布が消え、蘭と二人きりになると、さっきまで温羅のいた場所に、温羅の刀があることで、逆に温羅はもういないんだ、と実感する。私は温羅の骨を拾うような気持ちで、刀を手に取る。

俳優・常川博行氏に対する気持ちも当然、紅葉から温羅への気持ちに乗っかっている。
稽古場でも、大ベテランでありながら他を下に見るようなことはなく、決して威張らず丁寧に接する。疲れてる子がいれば笑顔でツボを押し(悶絶ものだがとても効く)「糖分が大事だよ」と毎回チョコレートを差し入れてくれる。スタジオ稽古に入ってからわたしの肩甲骨あたりも「片方だけ妙に来てるね」と押して下さり、随分楽になった。
常川さんと共演した全ての公演、常川さんなしでは全く別のものになっていただろう。

血糊についてももちろん一番の先生で、惜しまずいくつも技を教えてくれた。
いつも公演の為の稽古でしか聞けないけれど、ちゃんと血糊講習を受けたいなあ。
血糊を仕込むときの、いたずらを思いついた少年のような笑顔!
常川さんの血糊がすごいのは知ってるから大抵のことでは驚かないけど、千秋楽のカーテンコールで壇上まで飛んで来たときには素で吃驚した。最後の最後にお客様の気分を味あわせてもらいました。

 

そんな温羅の姿が愛おしく、千秋楽の袖から温羅を隠し撮り(ごめんなさい)。
『片輪の戦士』で壇上に立つ渋い温羅、いつからか一緒に歌っていました。まあこれがいい声なんだ。
そしてみんなが『L』字で紅葉への愛を示してくれるくだりではなんと温羅も参加してくれてるの!
しかも両手でWらぶ・・・これが撮らずにいられようか。
倉垣さんに撮ってるとこ見つかって苦笑されたけど、宝物です。


ところで年末のチラシ撮影の時の記念写真見たら、温羅のメイクと私の前髪が逆になってる。
私はチラシで見過ぎて、鏡に写ったとき逆にしちゃったんだと本番中に気付いたけど、もしかして常川さんも・・・?


【赤青共通】可畏(かい)役 泰造さん。
 

ツーショット一枚だけなので、3年前の初演チラシ撮影の時のも(右)。

「死」という概念の具現化、可畏。
共演する度に書くけど、舞台上の物凄いオーラからは想像できないくらい、普段は温和で穏やかでやさしい声で話すかた。
蜜に取り憑く死を踊るシーンでは、見えないのに感じる凶兆、そして絞め殺すように纏わりつく圧、獲物を完全に抑えて狂喜する姿、抗いようのない、まさに「畏」でした。

そう、今回レコーディングで自主練となった日に、ざっくんといちごんと綾美んが獣講習を受けるというので、「こもださんは明日(レコーディング)のお歌の練習してる?」とざっくんが気を使ってくれたにも関わらず、一緒に獣講習を受けたのでした。
弥生ちゃん、紅夜さんも居たよね。静かな動きなのにすぐ汗だくなの。
教え上手なので「こもださん筋いい!長くやってる人みたいだよ!」と褒めてもらい、「じゃあ1分こもださんを観察する会ね」と言われて調子に乗ってやったもんだから翌日酷い筋肉痛でしたけれど(笑)、すっごい楽しかった!
舞踏は、ずっと昔共演した時に和栗さんの短いWSを2回受けたことがあるだけで、その後は共演することはあってもやるのではなく見るばかりだったので、身体できっちり体験したのはこれが初めてで、どうしてそういう動きがあるのかってことをちょびっとだけど知れたのはとても貴重だった。
そのあと、いちごと綾美ちゃんのシーンを細かく指導してくださったらしい。それ故ふたりとも自信を持って本番を迎えたことでしょう。

先生ありがとうございました!