fujimiya.tvのリハーサルを終え、小雨の中帰宅し、軽く食事。
荷物は昨日のうちにまとめてあるので、あとは着替えとメイクして出るのみだ。
着物は決めているが、着物として着るか(衿を入れるか)浴衣にするかでしばし悩み、衿ありに決定。本番は裸足だけど、現地までは足袋で白木の下駄で、普通の着物姿をよそおう。

うちから会場の東中野駅付近は、電車では遠回りで不便なため、荷物も多いし、タクシーで会場入り。まだ個展の営業時間だが、和田さんは楽器を広げ終わってるし、ホンマさんはおみやげの準備始めてるし、みんなそわそわしていて、終いには「ちょっと早いけどいいよね、閉めちゃいましょう」と言いだす(笑)


ホンマアキコ個展
「パアフェクト・ワールド」内特別イベント


 語りと音楽の会
 『月想』〜今昔物語集 第二十七巻二十四話より〜

 二〇一二年八月四日

 脚本:高橋郁子
 語り:こもだまり
 音楽:和田尚悟
郁さんが本番の照明も担当するので、その段取りと、声と音のバランスなどの最終チェック。
稽古のあとできっちり場当たりの予定を相談しておいたから、慌てずにチェックが進んだ。
小道具も無事OKとなり、あとは本番を楽しむだけ。

昨日急にお願いしたのだけど、おにいがカメラを持って記録撮影に来てくれた。
昼間スタジオで会ってるのに、この空間、このメンバーの中でおにいを見たら改めて、でっかいなと思った。そして、ちゃっちゃとカメラをスタンバイし、必要なことを訊いてプランを立てるおにいはなんだかかっこよくて、誇らしかった。そして、ほっとした。


床に、ホンマさんの原画を元に養護学校の生徒さんが彩色してくれたクッションを配置。
ホンマさんが受付、わたしが誘導、和田さんはステージで音を鳴らすという配置で客入れ。
「床のクッションはおみやげですので、お好きなものをお選びください。色止めはしてあるのですが湿度が高いと色落ちする可能性があります。念のため、色の付いた面を下にしてお座りください」と、いらっしゃるごとにアナウンス。「おみやげです」って言うと「わあ!」って言われたりして、想像以上に喜んでもらえた。
開演時間が近付く。劇場より、こんな小さい空間のほうが緊張する(fujimiya.tvでもMINORUとかtayutaの方がずっと緊張した)。とはいえ朗読だから、台詞が飛ぶ心配だけはない!


開演時間。郁さんをちらっと見る和田さん。今お客様が着いたのでちょっと待って、という合図をしたつもりが伝わらず、開演合図の太鼓を手に取ろうとする和田さん。慌てて郁さんとふたりで「待って待って」のジェスチャー。和田さんは苦笑してたけど、客席の空気も和んだみたいで怪我の功名かと。
雑居ビルだし暗い照明での演目なので、始まったらドアは開けられない。遅れているお客様がいて5分待ったけれど、暑いしこれ以上お待ちいただくのは困難と判断して、開演。


太鼓が開演の合図。異界の者を呼び寄せる笛の音が響くなか、ゆっくりと暗闇へ。
脚本を読んだときにすぐイメージが浮かんだ、蝋燭明かりでのスタート。
ホンマさんは『鬼姫』見ているので、「マッチするならアレやってください」とリクエストがあったので、いつものマッチ擦り(あとでソワレちゃんに「やるなら言って下さいよー!音がして振り返ったら、もう擦り終わってた・・・」と言われたが)。

本編は、和田さんの音に影響を受けながら語った。
和田さんもわたしの声に反応してくれるのがわかるから、一緒に乗っていける。もと夫婦の男と女ふたりきりの一夜と次の朝のお話だから、男女ふたりで演じるのは見た目としてもよかったかも。

会場内の、ホンマさんの作品・・・屏風絵はもちろん、ぶらさがった卵や、楽器が揺らす空気、息遣い。紙の擦れる音、炎の立てる幽かな音、熱、水音。いろんなものが会場の空間を満たすのが心地いい。お客様の視線も、もちろん感じている(以前やった『敗者にはなにもやるな』という作品も、男女ふたりきりの閉店後のカフェでの会話。その時の観客は、ここにいたことがあったかもしれない寡黙な亡霊達、として扱った。いないけどいる。その感触には、観客を「いないものとする」演出の時に、嘘をつかなくてすむからいまでも助けられている)。

そう、水音は、最後の稽古のあと、家でひとりで蝋燭のリハーサルをしてた時に思いついた。
思った以上に効果あったようで、和田さんからも、お客様からも反響があってうれしい。

燭台は、公演でなにかと使って来た型なのだけど、部屋を探してもどうにもみつからず(よりよい置場がひらめいて移動した挙句、新しい場所が思い出せない。これを水筒でもやっているので「画期的置場消失事件」と一括りにされている)、同じものを持ってるはずの(結婚式に引き出物でもらった、花嫁のお姉さんの手作り燭台なので)花嫁さんであったやいちゃんに連絡して借りて来た。



太鼓・竜笛・UFO(楽器名です)・ベトナム月琴・オリジナル月琴「花月-はなづき-」を駆使し、シーンを作ってくれた、自前の陰陽師装束の和田さん、いや、今日から尚(しょう)ちゃんって呼ぶけど(笑)。感情が伝わってくるし読んでくれる演奏だから、最初の稽古からわくわくしたし、回数を重ねてもいつも、一回切りの今として感じられた。

「脚本提供のみとして、今回はリライトしません」と事前に宣言したにも関らず、稽古を一度見に来たら(半ば予想はしていたが)やっぱり書き直したくなって、私の知る郁さん色がさらに色濃く出たテキストになり、演出まで担ってくれた郁さん。郁さんと語りに関する好みがごく近くて、言いたいことやりたいことをすぐわかってくれるし、わかるし、とってもやりやすくて、気分がいい。別々にやってきたのにこんなに求める方向が近いって奇跡的。


そしてこの企画を思いついて、このメンバーを「わたしが見たいものをやってもらうにはこの二人だと思ったんです」と集めて場を提供してくれたプロデューサーとしてのホンマさん。
さらには私が「どうせならホンマさんの絵が入った何かを身につけて演じたい」と言ったのに応えて、個展会場で着物に絵を描いてくれた画家としてのホンマさん。

このメンバーに引き合わせてくれた、醒さんこと撃弾BKYUの東野醒子さん。

そして会場にいらしてくれたみなさまにも、ほんとに、感謝。

さっきまで会ってたfujimiya.tvの面々も弥生ちゃんと合流し駆け付けてくれて、なんか面映かった。

弥生ちゃんがくれたひまわり!


イベントチラシの原画ポストカードもおみやげに入ってた。

 

<2012.8.4の着物>
麻の絣柄の着物(ママの)
男物の部分絞兵児帯(叔父の)
蓮柄(ホンマアキコ画)の紗の着物
赤い鼻緒の白木の下駄(祖母の)
アジアンノットの髪飾り(ホンマアキコ製)

幽霊なので、白い着物に帯は前結び。

終電まで、お客様を交えて打上げ。
われらが女子部(『潮騒の祈り』チーム)の守り神・寺脇さんももちろん参加。
みんな、撮影してくれたおにいと話したがってたけど、おにいは離脱。
久々に会えた着物友達のカホさんも残ってくれて、感想もじっくり聞けたし、着物の話もしたし、おすすめの本も借りられた。桜庭一樹の『私の男』と『赤朽葉家の伝説』。カホさんは読書友達でもあるのだ。


コアメンバーとは、改めて打上げする約束をして帰宅。
楽しい一日だった。