2014年08月06日

力石徹告別式(再現)@練馬美術館『あしたのジョー、の時代展』


「問い合わせが多いので、予定していた展示室では入りきらないと思います。ロビーホールに会場を変更しましょう」と、担当の喜夛さんからご連絡いただいたのが数日前。
10帖くらいの展示室用の音を作っていたので、慌ててプラン練り直し。喜夛さんと卓哲さんと連絡を取り、スピーカー、マイク、ミキサーなどたんまり持ち込むことにした。照明はつけっぱなしの会場照明、音響は卓哲さんの演奏以外はイッキさん(イッキさんの出番ではわたしが代打)が舞台上で行う。



持ち込み機材が多すぎて、スタッフとして駆け付けてくれた倉垣おにい(卓哲さんと衣装をしめし合わせて来たの?)と三人ツアーバンドみたいだ。(わたしのギターケースには、ギターではなく昭和さんの旗と三脚と譜面台が入っている)。

美術館の入口側の壁はガラス張りで、外が見える開放感あるロビー。
そこに、展示室から今日だけ移設された力石の祭壇。ああ、これは告別式だ。
試行錯誤しながら無事セッティングを済ませ、祭壇の前で集合写真(まだ私服)。


控室で着替えて準備していると、30分前なのにかなりの人数が集まっているという。
「後ろから見えないんじゃないか?」
急遽、椅子を30脚置くことにしてロビーに出ると、見知った顔に声を掛けられる。
日曜の昼間にみんな来てくれたんだなあ。
「こもださん、清楚な感じで…今日は化けましたね」と白ブラウスに黒スカートというシンプルないでたちのわたしを、百眼で血塗れたり刀振ったり蛇持ったりしてる姿を見てるお客様がからかう。

15時、天井吹き抜けの二階の廊下からも見ているかたがいるくらい満員の中、「本日はお暑い中、力石徹告別式にご参列いただき、誠にありがとうございます。」と司会のわたしの挨拶から式を始める。イッキさんは台本にあるリングアナの役割で、蝶ネクタイ。
当時の『少年マガジン』のに書かれた告別式の様子を紹介しているのが冒頭の写真。
卓哲さんがアコギ持って写ってるので麻邑楽に見えるね。


【2014.8.3力石徹告別式(再現)】
練馬区立美術館『あしたのジョー、の時代展』にて


第一部 告別式
1.少年マガジン記事紹介(こもだまり)
2.「死んだ戦士のバラード(あるボクサーの死)」弾き語り(西邑卓哲)
3.十点鐘(黙祷)
4.「力石徹への弔辞」(昭和精吾)(伴奏:西邑卓哲)

第二部 トーク(昭和精吾)

第三部 寺山修司の世界
1.日本自殺考(こもだまり)
2.スーパーマンの詩(イッキ)
3.アメリカよ(昭和精吾)


日の光の差し込むなか、劇場ではなく本当に式が行われるような公共施設での弔辞。
祭壇の前で(観客に向かってではなく)力石徹に向かって叫ぶ昭和精吾のその姿を見て、何度も聞いている詩なのに、本当の意味がやっとわかった気がした。当たり前だけど、やはりあれは弔辞なのだ。


その後、トークを挟んで、昭和精吾事務所のレパートリー3本。(写真は「アメリカよ」)
祭壇の前に立つと、ご参列の皆様のうしろ、ガラスの壁の向こうに青空が見える。そこに向かっての「愛なんてどこにもないのです この広い空の下には」と語る自殺考。10年以上前の寺山修司記念館の野外ステージを思い出した。あの日もいいお天気だった。

「終わったらそのまま楽屋に帰ろう」と昭和さんが言っていたので、終わって挨拶して楽屋に戻る後ろから、昭和さんの声が聞こえる。予定してない詩を始めた…!!
イッキさんと荷物をその場に放り出して戻り、iPodの中から音をさがす(結局、間に合わず)。
あとで諏訪ちゃんに「ふたりが慌てて走って戻るのが面白かったよ」と笑われた。万が一を思って『おさらばの辺境』とか『国家論』あたりいくつかは用意してたけど、『朝鮮詩』は想定外。
トーク中も昭和さんは急に打合せにない『李庚順』を始めて、イッキさんとふたり「まあ、すぐやめちゃうだろう」と思ってたら結構な長尺でお届けした。もちろんそのBGMもiPodに入ってるから、それなら音出したのになあと残念に思った矢先の出来事だった。くやしい。
我々もまだまだだ。
今回は急だったので生演奏の曲は「死んだ戦士のバラード」のみだったが、唄だけじゃなく弔辞の伴奏が生で、贅沢でよかった。
「自殺考」や「スーパーマン」もひとつのテーマを繰り返して展開していく曲だし、もう少し時間があればこっちも生演奏でやりたかったな。
告別式当時を再現、と言えたのも、弔辞だけでなく唄があったおかげ。
そしてその発想が出るくらいに昭和を奮起させた、祭壇を設置した練馬区立美術館の喜夛さんのお手柄だ。


知った顔では卓哲さんのバンドFOXPILL CULTのモッチー、舞台芸術創造機関SAIの渋谷局長、紅黒ちゃんギターのRuriくん、いろんな人が見てくれた。もちろん、昭和精吾事務所のお客様もたくさん。
公共施設、また美術館という特殊な場所なので、昭和精吾や出演者目当てのお客様、あしたのジョーファン、寺山修司ファンだけでなく、背景をなにもご存知ないふらりとやってきたお客様もいて、終わったあとで「あのかたやあなたは、何をしているかたなの?…ああ、女優さんなのね?」という会話をした女性がいたほどだ。正確にはわからないが200人以上の方が集まって下さったとのこと。盛会でなによりだった。



会場を後にして、見に来てくれたA・P・B-Tokyoの浅野さんや高野さん、マメ山田さん、日刊ゲンダイの山田さんと、昭和精吾事務所で何度も共演している野口有紀ちゃんや諏訪ちゃんらと打ち上げた。

みなさんありがとうございました。
そしておつかれさまでした。


展示自体の評判も上々。会期はまだだいぶあるので、ぜひご覧いただきたいです。

※『あしたのジョー、の時代展』詳細
会期:7/20(日)〜9/21(日) 10:00-18:00(入館は17:30迄)
会場:練馬区立美術館 練馬区貫井1-36-16(西武池袋線 中村橋駅徒歩3分)
入館料:一般500円/大学・高校生及び65〜74歳300円/中学生以下及び75歳以上無料
※割引・無料の方は身分証をご持参ください。

月曜休館(だたし7/21(月)・9/15(月祝)は開館、翌日休館)
主催:練馬区立美術館/朝日新聞社
https://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/joe2014.html


ほか写真など。
作ったのは当日朝の構成表。マイクリレーなど。眠すぎて接続プラン図が酷い(笑)


お客様に「猫づくし」と評されたその日の私服。



図書館で調べものをしていたら「死んだ戦士のバラード」の元の詩を発見。
(『寺山修司メルヘン全集9 かもめ』に「あるボクサーの死」というタイトルで収録)
寺山さん直筆の構成表には最初の数行しか書かれていなくて、音源から耳コピした結果、卓哲さんが「アッパーと脳」って唄う所だったという逸話が誕生した(正解は「アパートの」)。



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