※前置きが長くなりましたので、本番の日誌は別立てにします。


「たくとまりと拓斗吉宏」(このユニット名は、即興音楽と朗読の「ふじみやたくとこもだまり」と、即興音楽とパフォーマンスの「藤宮拓斗倉垣吉宏」の合同企画ということ)をやることに決まった時、
藤宮社長が「夏だから浴衣がいいですね」って言い出したんだっけ?
わたしが「弥生ちゃんが2年前の夏にやった生演奏朗読のこと、『怪談またやらないの?』って言ってた…浴衣なら夏だし怪談かな?」
おにいが「僕13日も怪談やるんですよね。連続怪談ありかも(笑)」
…みたいな流れで「たくとまりと拓斗吉宏の”怪談”」に決定。
「たくとまり」やるときはいつも、社長からお題が出る。
(会場がラストワルツだからワルツにちなんだもの、8周年だから誕生日か8にちなんだもの、など。)
今回はそれが怪談ということ。
テキスト選定にあたり、蔵書から雨月物語とか今昔物語とか杉浦日向子の「百物語」など読み直してみたけど、なんかしっくり来ない。
「有名だけど詳細まで知らないお話のおいしいところをやるか、短い怪談で構成するか……」
「有名どころって『四谷怪談』とか?」
四谷怪談のおいしいところだけっていいなあ!けどやるならお岩さんところに挨拶に行かなきゃだ。
じゃあ『牡丹燈籠』?25分で見せるには長い。盛り上げが難しい。
「幻想文学でいいかも?泉鏡花とか」
言葉が美しいし好みだけど、文語だから音だけで聞いて理解するのが困難。
選定難航。

きっかけは忘れたが数日後、昔朗読した絵本のことを思い出す。そうは認識してなかったけど、あれは怪談とも言える。
それは写真展会場での二本立てイベントで、一日目の夜が絵本、2日目の昼が三島由紀夫作品だった。
「おにいとやるには、三島の戯曲は合うなあ」
図書館で、三島由紀夫戯曲集なる900ページ超の分厚い本を上下巻借りた。
「この台詞なんだ……天才だな」と興奮しつつざっと読むが、ふたりしか登場しない物語はない。
どうしたものか。

以前上演した『卒塔婆小町』は、たくとまりの一人語りを予定していたが、構成段階でやっぱり二人欲しいなと思った。その日おにいがfujimiya.tvの出番で会場にいることを利用して「稽古できないから負担の少ない形にするので、協力して」と口説き、深草少将が極力台詞をしゃべらない形で(それでも段取り指定多くて大変だったと思う)上演したのがおにいと三人でやった最初、たくとまりとよしひろ『卒塔婆小町』だった。
あれも相当短縮したんだ、ということに勇気をもらい、怪談ぽい作品をピックアップ。
近代能楽集のものは亡霊が出てくるものが多いが、『綾の鼓』の後半の会話が際立っていた。登場人物が多い前半を端折れば、後半は二人の会話。これはありだな。

ということで、テキストは三島由紀夫近代能楽集より『綾の鼓』に決定した。