Air*Log

語り歌う女優、こもだまりの製作日誌(2005〜)。 演劇・語り・ライブ等の上演情報や、稽古や、思索。 昭和精吾事務所 二代目代表。脚本・演出家。麻邑楽×麻人楽。 ヒューマンアカデミー演技講師。

レポート

御礼)WIP版『朗読 原爆詩集』 〜idenshi195 2021春WSの選抜者と

WIP版『朗読 原爆詩集』の上演が終了した。
有観客の予定が、無観客上演を収録→後日配信となったので「終演しました」とは少し違う感覚。

※5/11まで視聴チケットを販売しています。興味を持っていただけた方はだいぶ下方のリンクからお買い上げください。(取扱者の名前を選べるそうなので、応援する俳優がいる場合はお忘れなく)


WIP=「ワークインプログレス」ってあまり馴染みのない用語だと思うけれど、直訳で ”進行中の作業" つまり、完成ではない途中経過での公開、と捉えて良いかと思う。

3月から約2ヶ月に渡る、こもだまりWS体験レポートの総まとめ。
WS参加者からの選抜された10名と3日で作る、ワークインプログレス版『朗読 原爆詩集』の本番レポート。こちらしか読まない方もおられると思うので稽古篇と一部重複しています。

ラフなレポートとして記録するので、ここまで「盒兇気鵝廚辰峠颪い討燭韻鼻普段の呼び名の「郁子さん」にします。



〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜


WIP版『朗読 原爆詩集』
原作:峠三吉(原爆詩集) 脚本・演出:高橋郁子





参考:[WSレポート]まとめ(全7回)


全7回のWSを終えて、A・B両組から5名ずつ選抜された10名と私で作る、WIPの舞台。
WS最終日に郁子さんが「選抜にあたり、見るポイント」として伝えたのは以下の通りだった。

・表現者である自覚と目的(作品について、俳優としての自分がどう表現するのか)
・責任感(観客に対して・作品に対して)
・感覚が開いているか(共演者・観客に対して)
・ハードな進行でも楽しめているか

この基準と声のバランスなどで選ばれ、2チームに分けられ、二日間別で稽古、三日目に合流して夜本番というスケジュール(予告通りのハードな進行)。

《朔チーム》
小柴大始
村山かおり
由井美斗
舩澤侑花
薹史子


《望チーム》
やがら純子
松本ちえ
秋本哲志
和田高明
里見瑤子

idenshi195



以降、郁子さんが言ったことではなく私の私見で、区別付きにくそうなところは念のため、【※】をつけて表記していきます。ここはレポートで飽くまで私の解釈で書いているので、郁子さんの意図とずれている場合もあります。


参考:[WSレポート]WS篇(7回分目次)



参考:[WSレポート]WIP稽古篇(3回分)

3月から約2ヶ月に渡る、こもだまりWS体験レポートの総まとめ、WS参加者からの選抜された10名と3日で作るワークインプログレス版『朗読 原爆詩集』の稽古のレポート
WS7回分と、ここに記載してるWIP稽古3回分が「WSのオンライン見学」として11日まで有料公開されています(受付終了)。

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[WSレポート]WIP版『朗読 原爆詩集』稽古 〜idenshi195 2021春WS(視聴〆切5月5日)

WIP=「ワークインプログレス」ってあまり馴染みのない用語だと思うけれど、直訳で ”進行中の作業" つまり「完成ではない途中経過での公開、と捉えてもらえれば良いと思います。

3月から約2ヶ月に渡る、こもだまりWS体験レポートの総まとめ、WS参加者からの選抜された10名と3日で作るワークインプログレス版『朗読 原爆詩集』の稽古のレポート
WS7回分と、ここに記載してるWIP稽古3回分が「WSのオンライン見学」で見られる内容だった。
(5/5に受付終了)



WIPは、ここまでのWSほどがっつりではなくラフなレポートとして記録します。(なので、WSまで「高橋さん」って書いてたけど、普段の呼び名の「郁子さん」にします)



〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜


WIP版『朗読 原爆詩集』
原作:峠三吉(原爆詩集) 脚本・演出:高橋郁子





参考:[WSレポート]WS全7回 まとめ


上記全7回のWSを終えて、A・B両組から5名ずつ選抜された10名と私で作る、WIPの舞台。
WS最終日に郁子さんが「選抜にあたり、見るポイント」として伝えたのは以下の通りだった。

・表現者である自覚と目的(作品について、俳優としての自分がどう表現するのか)
・責任感(観客に対して・作品に対して)
・感覚が開いているか(共演者・観客に対して)
・ハードな進行でも楽しめているか

この基準と声のバランスなどで選ばれ、2チームに分けられ、二日間別で稽古、三日目に合流して夜本番というスケジュール(予告通りのハードな進行)。

idenshi195


《朔チーム》
小柴大始
村山かおり
由井美斗
舩澤侑花
薹史子


《望チーム》
やがら純子
松本ちえ
秋本哲志
和田高明
里見瑤子


以降、郁子さんが言ったことではなく私の私見で、区別付きにくそうなところは念のため、【※】をつけて表記していきます。ここはレポートで飽くまで私の解釈で書いているので、郁子さんの意図とはずれている場合もあります。

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1日目。

昼間は朔チーム。
WSのA組で一緒だったムー、ユイさん、おふなさんの三人と、B組のコッシー、だいさんのお二人。
薹(だい)史子さんは、去年夏の清水邦夫『楽屋』フェスで別チームの同じ女優A役で顔見知り。コロナ下で上演の別チームだから、楽屋で入れ替わりの際と、お互いの通し稽古と本番を見たくらいしか交流できなかったのだけど、偶然の再会が嬉しい。そんなわけで、初めましては小柴大始さん(コッシー)だけだった。

これまで2回、WIPで上演した際は、台本を稽古初日に配布したそうだが、今回は事前にpdfで送られていた。


本番で道具として舞台に乗るものだから、確認してからと念のため製本せずに来た。
コッシーはきちんと製本して製本テープまで貼っていたが、1ページ目の差替と最終ページに白紙を入れることになって「製本し直します!」と笑った(いい人だ…と思った)。

演出助手に、A組でご一緒してた(idenshi195サロンメンバーでもある)平井友梨さん、やまちあきさんが3日間付き合ってくれるという。

前のめりで物怖じしないお二人が郁子さんをサポートして進行を助けてくれた。
本番の衣装についての説明時に「ちょうど、まりさんのこういう感じです」と言われ「そう思って合わせてきましたよ!」「さすがまりさん!」
知ってる俳優(麻宮チヒロ、大島朋恵、紅日毬子、常盤美妃ら)が過去の『朗読 原爆詩集』に出演してる作品で、映像と写真を目にしていたからだが、何しろ3日しかないから少しでも不確定要素を消して行きたいのだ。

「はじめましての方もいるので、名前飛ばし(※槙尾さんのWSレポ参照)からやりましょう」
実はわたしは先述の通りコッシーしか知らない人はいなかったので楽勝だった(笑)

早速中身の話へ。
2チームが各3時間×2日間、つまり稽古は1つの詩あたり1日20分くらいしか費やせない。
「だから、他の人の担当する詩でも何を求められてるのか、自分のこととして受け取って掴んで行ってください。過去にもハプニングで当日突然、稽古してない詩を担当することになった俳優がいたけれど、その人は稽古中、自分事として聞いていたから本番ちゃんと語ってくれました。」

原作の『原爆詩集』は、被爆した峠三吉が広島の街や人々を克明に、でも詩として描いたもの。郁子さんはこれを楽譜として構成するにあたり、峠三吉の墓前に挨拶に行った。

出演者には一人ずつ役名が与えられた。
それは平和公園の石碑に刻まれた名前の文字からいただいていること(そのままではなく組替えて。実名通りにはしていない)、実際に現場にいた三吉が体験したことを同じように体感して、その時の感情や熱量を持って欲しいと郁子さんは言った。
役としては、あくまで朗読という表現を使うので、現在体験している(リアルな演技)のではなく、「過去に体験したことを、死者がよみがえって語りだす」のだと。
怒りのヒロシマ、と言われるが、怒りや苦しさを暴力的に表現するのでは、受け取る側が(とくに現代の若者は)耳も心も閉ざしてしまう。そうはしたくない。怒りや苦しみや疑問、いろんな感情は持ちつつも、感情的にではなく受け取ってもらうために、伝える方法として言葉の楽譜の形で朗読をするのだと思って欲しい、と言った。

【※】「死んだ人はみんな言葉になるのだ」と寺山修司は言った。
「どんな詩も、閉じられた書物の中では死んでいる。」
「経験の共有によってしか、詩は成立たないのである。」とも言った。
わたしの中にも、物語をするのは死者だ、というイメージがある。
多分それは手紙をたくさん書いてきたからかもしれない。わたしが書いた瞬間からそれは過去になって行き、翌日あきちゃんに手渡して読んでもらう頃にはもっと過去になっていると感じていた。(船便だった時代のタイムラグほどではないにせよ)

話が少し逸れるかもしれないが、だから死者が甦って過去を語る=書物の中で眠っている言葉が音にされるというイメージはわたしの中では合致している。
この話は長くなるので、しっくり来たってことだけに留めて先に進む。


そんな説明を受けて、WSで毎回冒頭にやった「円陣で、あからさまな合図なく気を飛ばし気を感じあって同時に読む」ということから始める。
さすがにWSで3月からやって来ているだけあって、手探りではなく、話が早い。

1日目はまず、楽譜の読み方を稽古し、明日動きをつけるということで、担当する詩を発表し、早速各詩の稽古を始めた。

ここからはもう怒涛だった。
まず、楽曲全体の演奏方法を確認(言葉としてのいわゆるアクセント、スピードや強弱、明暗など)。
やってみて、違えは「それだと明るすぎる」とか「そこだけ早くなってる」などと細かく修正。
それができたら、表現する内容の話。その当時のあなたは、何を感じて、何を伝えようとしているのかを言葉で確認。
その上で表現方法の話。「それだと怒りすぎてて、聞いてもらえない」「弱くて届かない」など。

演奏方法以後については普通の会話の技術の話だと考えればいい。
切実に伝えたいことがある → どういう伝え方をすれば伝わるか?
しかも朗読劇なので、観客から自分の読み姿、共演者とのバランス、この場のバランスなどもいっぺんに意識する必要がある。
一個ずつ段階を経てやらないと大変なやつだけど、それ結構いっぺんにこなしていかなくちゃいけないやつだ(笑)

そして読んでいないときも、その詩の世界の(当時のヒロシマの)人として風景になってほしいという。しかもリアルな芝居ではなくて、表現したいこと(いまどんな状況のどこにどういう姿でいて、何を感じているか)を理解した上で凝縮して内包して、リアルな芝居のスピードじゃない方法で表現してという発注。(それ、訓練した俳優でも結構大変なやつ!)わたしは好きだけどね、こういうの。

この一連の指示が何を目的としているかといえば、観客に俳優の見ているビジョンを共有するため。
郁子さんの書く脚本は(彼女が映画脚本からスタートしていることに大きく起因すると思うが)カメラワークが設定されている。郁子さんの中では画が確実に浮かんでいる。それを、俳優が演劇として身体で動いて見せるのではなく、声で、頭の中に映像を映すという試みなのだ。
(私の俳優として感覚では、ラジオドラマを読む時の感覚をイメージすると近いと感じた。)

レポートほどしっかり書かないと宣言したのにだいぶ多く書いてしまったのでこの辺で少し端折ることにする(笑)。

俳優の浮かべているビジョンが詩や楽譜と合っているか、描こうとしてるものは合っているが演奏方法がそれじゃないとか、俳優の出す音から判断して、微妙な違和感を潰して精度を高めていく。
演出助手の二人がボイスチューナー的な位置や、過去の出演者としてのアドバイスをしてくれた。

面白かったのは、最終的には朗読という形式を使うけれど、内容を理解するために通常の演劇のような感じ方をさせるところ。もしかしたら、ものによっては、朗読だという縛りを取っ払って一度全解放してやらせてみるのも早道のシーンもあるかもしれない(詩だと少し特殊だけれど)。

そんな感じであっという間に3時間が過ぎた。夜の稽古が始まるまで2時間休憩。
近所のコンビニに食料を買い出しに階段を上がると、夕日が暖かさが染みた(地下で裸足でちょっと冷えていたみたい)。コンビニのレジ前には、昼の部を終えたユイさんが板チョコを二枚抱えて立っている。「頭使って糖分が欲しくなりましたか!」と話しかけると「このあと、みんなで公園で自主練しようってことになったんで、栄養補給です」「!!」すごいなあ。
温かいものを食べようとウロウロしていると「まりさーん!」他の朔チームの面々がホットスナックを片手に「あったかいもの食べたくなりましたよねー」と話しかけてくるので「これからまだ稽古するんだって?」「え、なんで知ってるんですか」「情報早過ぎないですか」「さっきチョコを2枚持ったユイさんが…」と種明かし。風邪ひかないようにね、と言って別れる。偉いなあ。


チーズグラタンとホットコーヒーを買って地下に戻る。
ちょっとやり残しの作業があったので、持参したPCで作業して、演出部と少し話したあと、頭を休める。


望チームがやってくる。
WSで一緒だったサトシと里見さん、初めましての純子さん、ちえさん、タカさん。
名前飛ばしもさっきど違って緊張感あった。
同じ内容の7回のWSを受けているから当たり前かもしれないが、一緒にやっていないのに同じ練習方法を共有していて、稽古場は落ち着いている。

昼の部と同じ流れで、配役発表から本編へ。
望チームが最初の詩を担う、かつ、わたしがトップバッターを務めるのだと判明。
私はどちらかというと受け(後出し)派なので、1stシーンで流れを作るより、乗っかる方が得意なんだけど、そんなこと言ってられない。指名通り、しっかりスタートを切らねば。
とはいえ、全員が全部の詩を読んでる意識を持つという指定の作品作りで全員で空気を作るから、自家発電100%じゃなくていいが逆に、みんなの作った空気を精密に受け止めていいスタートを切れるか、という緊張感は増す。

冒頭、郁子さんの求める音がなかなか掴めず、調整にちょっと時間がかかってしまった。
「うーん、語尾の『えようか』の『か』が引っ込むんですよねえ」
「まだ少し怖いですね」
「ちょっと重いので全体のテンポあげましょうか」
「いっそ台詞寄りのイメージだとどうなります?…、あ、そっち方向ですね」
などと微調整を重ねる。

稽古中盤で腑に落ちた。序を除いて11の曲(詩)でセットリストを組んだライブだ。
1人から4人の主旋律担当が入れ替わりながら歌い、そこに副旋律(コーラス)が入ることもあり、歌ってない人々はダンサーとして舞台上に同時に生きている、というような、11人編成の出ハケなしのライブ。

(序を除き)〆となる詩も難航した。
内容を郁子さんがいろんな方面から言葉を尽くして説明する毎にどんどん感情が降り積もり(いま書いててもその時の呼吸が再生されてちょっと泣きそう)、目の前の未来を託すだれか、のことを思ったら色々乗っかっちゃって、大変だった。
郁子さんが私のその様子に気づいて「まりさんがこれだけキてるんだからいいものになるでしょう」と笑った。

「時間がないので、明日までに今日やったことをどれだけ咀嚼して、プランしてくるかにかかっています」と郁子さん。

稽古終了したらぐったりしていた。あきさんが美味しいシュークリームをくれて生き返る。
帰宅して、しばし呆然として、情緒不安定になりつつ、お風呂に入って早々に眠る。

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2日目。

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[WSレポート]「1シーンを実際に創る」〜idenshi195 2021春WS(7)

こもだまり体験レポート企画7つめ、最終回です。

第七回 講師:高橋郁子(たかはし・いくこ)[idenshi195主宰/脚本・演出家]
日本シナリオ作家協会、日本劇作家協会会員。
2001年より朗読劇の作・演出、2007年よりアニメーションの脚本を手がける。
2011年、独自の脚本「言葉の楽譜」を元に新しい朗読劇のスタイルを確立。
人間の内面を繊細に見つめる描写に定評がある。

2021年、7月には脚本を担当したREADPIA朗読劇『風の聲 〜妖怪大戦争外伝〜』、idenshi195の朗読劇キネマとして10月に『船弁慶』、12月には『潮騒の祈り』の上演が控えている。

Twitter:https://twitter.com/ikuko_t



【高橋氏と私、idenshi195と私の関わりについて】
東野醒子さんの引き合わせで2011年に出会い、「戯曲は楽譜だ」というキーワードで意気投合。
idenshi195 第0回公演と称される2011『潮騒の祈り』に出演。

●こもだが出演した高橋郁子作品●
2011「潮騒の祈り」(出演:山下亜矢香・東野醒子・こもだまり/音楽:anoa)
2012※ホンマアキコ個展 「パアフェクト・ワールド」内特別イベント「月想」(語り:こもだまり/音楽:和田尚悟)
2015「やわらかな鎖」(出演:加藤美佐・こもだまり)


ちなみに高橋さんは、私の書く脚本の声の重なりを使ったシーンも「言葉の楽譜」だと認めている。
詳しい経緯は私の過去日誌ご参照ください。

■2011「台本=楽譜」
http://komodamari.blog.jp/archives/51875050.html
■2014「高橋郁子さん」
http://komodamari.blog.jp/20141104.html
■2021.2.21 こもだまり×高橋郁子 ツイキャス記録
http://komodamari.blog.jp/20210211.html

20210210
高橋郁子・こもだまり(WS開催前の上記ツイキャス時の写真)





[こもだまり WS体験レポート07]
2021.4.21

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
7、1シーンを実際に創る / 講師:高橋郁子(たかはし・いくこ)




この全7回のWS7日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

いよいよ最終回。
水曜はずっと晴天だったのだが、先週初めて雨が降った。今日はまた晴れ。

「今日はメニューギュウギュウで進みます。WIPもそうなんですが。」と前置きして、
「最終日、WIPに進む選抜にあたり、こちらが見るポイントをお伝えしておきます。」

・表現者である自覚と目的(作品について、俳優としての自分がどう表現するのか)
・責任感(観客に対して・作品に対して)
・感覚が開いているか(共演者・観客に対して)
・ハードな進行でも楽しめているか


いよいよ、って感じです。

まず恒例のWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭の「定点観測」
毎回WS冒頭に、講義を受けての変化を実感するために行う。

「前回を踏まえて、全員目を合わせてから行きましょう。このメンバーで出来るのは最後かもしれないので、一期一会を楽しんでください。このメンバーで新しい表現を作るという意識を持って。」

内向きの円陣から。
「音としても気持ちとしてもピッタリ合ってた。でもSさんが読み始める前に動きでわかりやすいサインを出しちゃってたので、それを捉えてたのかもしれない。」

今後は外向きの円陣で。
「いいと思います。最初はできなかった、誰かがスタートするのを察知してついていくことができるようになったから、自信を持って欲しいです」


次に、2行ずつ4人で読む。
「圧が揺れるのを安定させて欲しい」
「それぞれはいいけれど4人で奏でるという意識が弱い」
「意識を広く持って欲しい、自分にでなく、作品に集中して欲しい」など
細かい指摘はありつつも、「4人で奏でる」という感覚が生まれているのはわかる。


以降、高橋さんが言ったことではなく私の私見で、区別付きにくそうなところは念のため、【※】をつけて表記していきます。ここはレポートで飽くまで私の解釈で書いているので、高橋さんの意図とはずれている場合もあります。

「ここから時間との勝負になってきます。1チーム25分ずつでやって行きます。」
脳の糖分補給用にと、消毒済み個包装チョコを一枚ずつ配布された。

早速、弁慶・義経・静の三人の重奏の場面の実技へ。

三人横並びで、読んでみる。
「一人一人がそれぞれでパートを音声化している感じなので」
各役の感情を言語化させる。
(「優秀だと思ってる」だと評価。そうではなく「好き」「嫌い」「排除したい」など端的に。)
「その役で存在して、読み始める前からその関係を表現していて欲しい。」
体感するために、そのシーンのリアルな配置(義経の横に控える弁慶、呼ばれて対面で正座している静)を再現して読ませたり、感情の負荷を体感するために、実際に負荷をかけてみるなどして読み方を変えていく。


【※】重奏部分が3人なので役で聞き分けられないとわかりづらい。
考えれば私、idenshi195では登場人物2人までの作品しかやってなかったかも!(『潮騒の祈り』の「海」役は特殊な位置で、『やわらかな鎖』は二人だった)
共演者とのバランスで音楽的に耳で心地よく作りたいのだが、まずこの場面での自分の役での出音を個々がしっかり掌握するのが先かも。もちろんある程度の振れ幅は用意した上で。二人だと、もう一人の音に集中すればいいんだけど、三人となると格段に受け取るべき情報が増える。お互いがお互いを聞いて演奏できればいいけど、まず楽譜を楽譜通り読むのが難しいので、そこに囚われてしまうとそれどころじゃないな。
いや、一人で全員分音声かできるくらい全体の想像がついてないと出来ないな。

楽譜通り読むことに集中すると、(普通のことであるはずの)感情を乗せて台詞にするのが単調になる?かつ、時代が古い、性別が違うなどでかなりハードルが高い課題だと今更気付く。



1つめのグループへ言ったオーダー。
「速度が現代人」
「台詞なので対象に向けて発して」
「この台詞の目的は何?目的を獲得する為に相手に影響を与えようとして台詞を発して」
「一言で勝負が決まる駆け引きの、緊迫感のあるシーンだから、それだと音が明るすぎる」

2つめのグループ。
「さっきのところまでは踏まえていけてるので、今度は密度をあげて感情のやりとりを見せて行きたいのと、映像を観客に見せていこう」
シーンのカメラワークを説明して
「今のだと画角が広がっちゃう」
弁慶視点のカメラが静の半身を捉えて、膝に寄っていき…という具体的な動きを指定しイメージさせる。

【※】「地の文にも役がどう感じているかを乗せて欲しい」というのがidenshi195の特徴。役が台詞と内面の台詞と地の文を読むからだ。役と別の語り部は登場しない。


「音が揺れてないと、役の感情の揺れが伝わらない。音のプランを立てて」
「緊迫感を作るために音の密度を上げた(結果、音の選択肢が狭まった)のだけど、その中でいかに自由に揺らすか」


3つめのグループ。
さらに細かく、音の方向・高さ・明暗などをかなり細かく調整。
「今いい感じにスローモーションになってた!」
「母音が短いのかな?」
「関係性と感情はできたから、100人キャパの音量でやって」
「重ねるとこは、前の人の子音を聞いたら入って」
「それだと音が揺れてないから苦悩して聞こえない」

【※】数やったので、曲全体の流れが出てきた。3人が自分のパートだけでなく、共演者、曲全体を認識してきたのを感じる。
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[WSレポート]「空間を支配する身体と動き」〜idenshi195 2021春WS(6)

こもだまり体験レポート企画6つめです。

第六回 講師:Kou(コウ)(ダンサー・役者専門パーソナルトレーナー)

ダンサー/振付家として、アメリカ、ドイツ、フランスなど10か国14か所で活動後、アーティスト専門トレーナーになる。進化学・生物学・西洋医学 ・東洋医学といった幅広い観点から「ヒト」の本質を探究し培われた身体論は、アーティストのみならずアスリートなどからも支持を得ている。手段に囚われず、人生をかけて、アーティストのハイパフォーマンスを達成することが使命。アーティストパフォーマンス研究所代表。心身芸術予防療法協会(PPTA代表)。

Twitter:https://twitter.com/koutopo


20210414まりKou
左より こもだまり・Kou


【Kou氏と私の関わりについて】
全くの初めまして。
twitterで拝見してフォローしていて、パーソナルワークを受けたいなと思っていたけれど、こんな状況で二の足を踏んでいたところにidenshi195のWSにKouさんが講師でいらっしゃることになったラッキーパターンでした。

今日の会場への移動中、気付いたら右手が青く染まってた! 雨だから傘か?と疑ったところから、ペンの暴発→外ポケットに入れたiPhoneが汚染→右手が汚染 という経緯が判明したが、だいぶ精神的にアワアワした状態で到着となり、心を落ち着けてからちゃんとご挨拶しよう、と思っていたのに到着早々Kouさんの方から「えっとまりさん、よろしくお願いします」と声をかけていただいてしまった!「はい、こもだまりです、着替えてから改めてご挨拶します!」とお返事して手を洗いにいく。初対面しゃっきりした状態でご挨拶したかった…無念。

KouさんはWSの講師紹介に使っている写真でイメージしていたよりずっと身長が高かった(180cmとおっしゃってたかな)。
着替えてから「改めましてこもだです。WSのレポートを書かせていただきます」と言うと「読んでますよ」と言われ、なるほど、だからさっき認識してくれてたんですね、と納得。
ちなみにKouさんは受講生一人一人に穏やかに声をかけ、きちんと顔と名前を確認してらした。パーソナルワークをするにはそうやって丁寧に繋がる必要があるのだろう、と感じた。

【Kou氏とidenshi195の関わりについて】
「山下亜矢香さんがワークを受けている」ということでKou氏を知った高橋がtwitterで発言を追い、強く興味を持った。
今回の講師を依頼したところ快諾。初めての打合せで意見が合い、オンラインサロンやclubhouseでも対談を重ねている。しかし直接会うのは、本日が初めてとのこと。



[こもだまり WS体験レポート06]
2021.4.14

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
6、空間を支配する身体と動き / 講師:Kou(コウ)




この全7回のWS6日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

先週、高橋さんより「次回からは講義が始まる前にチューニングを各自で済ませておいて欲しいです」と言われていたので、皆それぞれワーク前にチューニングしていた。

最初に高橋さんより講師紹介。上に書いたが、
「実は、リアルで会うのは今日が初めてなんです」と高橋さん。

「初めましてKouです。僕は役者・声優・ダンサー、つまり『アーティスト』という括りのパーソナルトレーナーをしています。この業界には科学的に身体を追求する人がいない。
人体は声帯も含め、物理で説明ができます。僕がこの仕事を始めた5年前には、できる人が自分の感覚を提供(共有しようと)するだけで、科学的な説明をする人はいませんでした。」
その場合、自分の身体やマインドに合う演出家に出会えば才能を伸ばせるが、出会えなければ伸びない。ある程度科学的な見地から個々に向き合って、パフォーマンスの質をあげようと考えた、という。ヨガ、ピラティス、スポーツトレーナーもトレーニングしているそうだ。

「難しく言っちゃいましたけど、まずは楽しんでください。楽しむことが大切です」と微笑んだ。

まず恒例のWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭の「定点観測」
毎回WS冒頭に、講義を受けての変化を実感するために行う。

「今日も外向きの円陣で読むのから行きましょう。空間を把握してやって欲しいです」
と高橋さん。稽古場の少し縦長な形状や、机など物の配置を含めてこの場を認識して、均等に広がって円を形成する。ここは鏡があったり、玄関が部屋の中央にあってくぼんでいたりがあって、「均等」を作るのは意外と難しい。だから逆に言えば、正解がないからこそ、感覚なのだ。感覚を張り巡らせて、個々がここだ、と確信し、全員でそう感じられればいい。

相変わらず始まれば揃う。
『A組(ここ、水曜コース)とB組(日曜コース)を比べると、A組は受信能力はすごく高いけれど、発信する力が弱いので、そこを強化して欲しい』と先週も言われたが、まだその感じがある。

次に内向きの円陣で。高橋さんのひらめきで(槙尾さんのワークでやったように)一度みんなで目を見合ってみる。「受け取るだけでなく、発信してください」と再度言う。今日は外の車の音が大きい。みんながそれを感じつつ、「まだだね、まだだよね」って発信しているのがわかる。そして語りだしが初めて、ピッタリと合う。目を合わせることがかなり有効なようだ。

次に、2行ずつ4人で読む。
みんな発声が、力まない方向に変わってきている。
「リラックスして」
「繋がれているが、100人キャパくらいの劇場だと思ってもう一度」
「本を見ていると閉じてしまいがちなんだけど、感覚を広げて自分の中にお客さんを入れるつもりで」
などとアドバイス。


換気を挟んで、実技へ。
註)実践編のため、あんまり詳しく書くとKouさんの商売上がったりになっちゃうと思うので、前回同様、随所省略しています。特に身体の話で科学の知識が重要なので、講師の生指導あって効果が出る部分が大きいことをご了承ください。
そして飽くまでここに書いてあるのはわたしの受け取った感覚、解釈なので、Kouさんの意図と違うこともあるかもしれません。ご注意ください。

以降、Kouさんや高橋さんが言ったことではなく私の私見で、区別付きにくそうなところは念のため、【※】をつけて表記していきます。


「先程の後ろ向きで合わせるテイク、あれは聴覚を使っています。実験しましょう」
といって、後ろ向きに座って、左・右に体を捻ってこっちを向いてもらう。
向きづらい方を確認し、「Aさん、こっちですよ」と声をかけて振り向かせると、さっきより少し大きく振り向けている。
「弱い方を自分で把握すること。弱いほうがわかったら、それを補うために聴覚を使います。」
感覚が弱いなと思う方の音を意識して聞くようにしてみる、それを続けることで感覚が揃っていく。

「頭が前に行ってると、破裂音(アタック)が強くなります。」
試してみる。確かにそれだけで音が変わるのを実感。
「こういう物理で解決できることを、これまでの演劇界では心の問題と捉えて指導してきた。それでは心が壊れてしまいます。そういうわけで、今日は物理を学んで行きましょう」と笑顔になるKouさん。

「身体を学ぶもう一つの良さを教えます」
柔軟をする人、補助する人を決める。まずやって見て、その感覚を覚える。
補助する人が使う腕をメンテし(腕は鎖骨、肩甲骨、肋骨と連動しているのでKouさんが施術してその連携をよくする)、その上で同じことをしてみる、と、さっきよりお互いに楽になるという。
関わると、身体の状態が相手に伝わるという実験。Kouさんが補助すると、軽々と動いているように見える。
「これは、触らなくても伝わります。脳の中のミラーニューロンという相手の気持ちを察する機能があって相手の状態が伝わってしまうので、こちらが緊張していれば相手も固くなってしまう。」つまり自分だけでなく相手に影響を与えてしまうので、自分の状態をいい状態にしておく、鍛えることが俳優の責務だという。
また、自分がいい状態であれば、相手がどうしたいのかがよりわかるようになりもする。
人を見る目を養うことも大事だという。人を観察できればと自分も変われる。まず読み取ろうとすることが大事。

今日の流れを説明。
「まず、腹筋的なことをします(笑)」笑うってことは、多少きついんですかね、と予想する。
「そして中間で身体が連動するワークをして、最後には歩く。歩きやすくなることが今日の目標です」

「みなさん腹筋してますか? 腹筋をするな、言われたことありますか?」
腹筋をすると固くなって発声しにくくなるという説があるらしい。
しかし、結局発声は腹筋を使っているので、ある程度使いこなせなければいい発声はできない。

まず今の発声の状態を確かめ、ボールを使った第一の腹直筋のトレーニング。
ペアになって仰向けで膝を曲げて腹筋をするのだが、ただ腹筋するだけだと固くなる可能性がある。そこで一つ「目的 = 補助者が動かすボールを反対の手で触りにいく」を加える。
「腹筋は起き上がるため、声を出すためにある。声は相手を操作するためにあります。
ボールを取りたい、という目的を持つと、脳機能は発声をするのに近い働きをします。だから発声しやすくなるんです」
※しっかり息を吐くこと。最低限、一分半×(15秒休憩を挟んで)3セットが理想。楽しむこと。
首が痛い人は首の筋肉がないのと、ちゃんと腹筋できてない。

ペアで各自、実践。身体の中心(体幹)が感じられて、立ち姿から安定した気がするのと、声も、調子のいい時のように体内の筒をすっと通る感覚がした。いい感じ。

【※】Kouさんはトレーニング中、「諦めなーい!息吐いて!遊んで遊んでー」と励ます。
楽しむことが大事なんだと繰り返し思い出させている。心の在り方が身体の機能に顕著に影響するのだろう。さっき定点観測で、目を合わせたら息があったのもおそらくそれ。過度の緊張はパフォーマンスを下げる。


腹直筋は乳頭の間についていて、骨盤底筋まで繋がっている。
発声は肋骨を絞ってするものなので(腹直筋を下げることで肋骨は絞られる)、腹筋(前)、骨盤底筋(下)、背筋(後ろ)で身体の壁を作り、パッキングすることで出口を口だけにすることで、効率的により強い声が出る、ということらしい。よくいう「お尻の穴を締めて!」っていうのはこれらしい。

「腹直筋の前に鍛えたいのが腹横筋です。」
第二のトレーニングは腹横筋と腹斜筋。これは立ちやすさに通じるという。
同じくテニスボールを使うのだが、今度は下向きに手を着くので、まず手首を回してほぐす。
(詳しいポーズは敢えて伏せます)
「手は何のためにありますか?物を掴むためです。だから床に着く手は握ってください。」
【※】動物として自然な形に近づけておくほうが、余計な負担なく運動ができるのだろう。
面白い。


トレーニング前に普通に立った状態をみんなで確認してから実践へ。
「筋肉が喜んでるよー、あと30秒、がんばれー、息吐いてー」と声をかけ続けるKouさん。
終わって、立ってみる。トレーニングした本人は「かるーい!」という。見た感じ、身体がさっきより一つにまとまっている感じがする。
「これが歩く前提の身体です。まあ、遊びだと思ってやってください。」

【※】繰り返しいう、『楽しんで』『遊び』というのは、さっき言った「目的」の話に通じる。
やることが同じでも、「腹筋をつけるための腹筋運動(目的=目的)」ではなく、「ボールに触るという目的の遊び」と認識してやると(筋肉的には辛かろうと)楽しめて、きっと効果が違ってくる(そもそもきっと取り組む時の表情が違うはず)。



「皆さんは声を使う役者さんなので今日は腹直筋からやりましたが、自分でトレーニングする際は、腹横筋・腹斜筋を作った後に柱になる腹直筋を作った方が運動の流れとしてはいいです」

腹筋をやった後は、ピアノを弾くように指でほぐしてあげる。
(ほぐさないで硬いままの方がいい説を唱える人もいるので、それは自分に合う方で、とのこと)

換気休憩を挟んで、後半戦へ。

「皆さんの最高の友人は誰ですか?それぞれ思い浮かべてください。」とKouさん。
「僕にとっての、概念ですけど、最高の友人は自分自身です。24時間一緒にいてくれる。けれど身体を思い通りに使いこなせなければその友人と楽しく遊ぶことができない。食事も睡眠も、24時間、どう過ごすかでパフォーマンスは変わってきます」

「できないことがあった時、どう思いますか?」
「いやになります」
「いやにならなくていいんです。できないってことは、今よりもっと出来るようになるってことです。ワクワクしてください。フリーザが出てきた時の孫悟空みたいに、」
おお…山下さんと同じ表現を!

「ネガティブな感情をよしとする説もあるけれど、僕の学んできたことでいうと、ネガティブな感情はいい結果を導きません。出来ないことがたくさんあるとしたら、どんどんワクワクして、自分と遊ぶために身体を作って行くんです」

アクター=行動する人。プレイヤー=遊ぶ人。
「遊ばない練習は身体を固くするだけ、playしていきましょう」

次は、腕のエクササイズ。

「今度のplayは、かなり感覚を使うので、わからなくなったらすぐ訊いてくださいね」と前置き。
腕を横に伸ばし、親指と人差し指で輪を作る。小指を軸にして前に回して行く。
うまく連動している人は途中で肩甲骨が上がってついてくるという。
(無造作にやって上腕骨頭がグリッと前に出ると、そこで分断して身体の連携が切れてしまう。それは声の出方にも影響してくる)
「繊細に、小指を軸に前に回旋して、上腕回った、二の腕回った、あ、肩甲骨上がるなってところを感じでください」
【※】モダンで言うコントラクションの感覚かな。モダンの先生のCavatinaも、腕は肩からじゃなく背中から生えていると表現した。つまり、当時はその言語で理解してなかったけど、腕を動かすとき肩甲骨まで繋げて認識せよということ。骨盤も肩甲骨も、普通の生活では意識してない骨格だった。ダンスをする前は(上半身を倒す時の)身体の折れ目はお腹だと思っていた。私は授業の始めにこの話をする。「足の付け根です」って言うと若い生徒さん、だいたい考えたことないから、実際折ってみて、初めて骨盤の位置を認識して「あっ」て顔をする。それそれ!と思う。そこから自分の身体に、操縦とかメンテに興味を持ってもらうのだ。漠然と在るものを減らして、把握し、意識的に使いこなすのが、表現者の仕事。

今のは小指を軸に腕を前に回して(内旋)、肩甲骨が上がって胸が引っ込む形になるが、
逆に、小指を軸に後ろに回す(外旋させる)と、肩甲骨が下がって胸が張られた形になる。
(下げる方が、感覚としては逃げ場がないからわかりやすいかも)
鎖骨、肋骨が腕に連動しているかららしい。これが歩行している時の身体の動きだという。

そのあと連動させるために両腕を内旋外旋(ざっくり書きますが)。
「いたーい、出来ない」と言う人がいれば「伸びしろだね、ワクワクするねー」と励ますKouさんだった。


次に、足の使い方
「足は骨格上は鼠蹊部から生えていますが、意識としてはみぞおちから生えていると感じてください。」
(また詳細はしょりますが)足を内旋外旋することで肩甲骨が上がるのを感じるエクササイズをいくつかして、そのあと、ついに立って歩く。
「普通に歩いているところから徐々にゆっくり、景色を見るように減速していってください。」
身体がエクササイズによって一個にまとまっているので、歩きやすい。ゆっくり動いてもふらつかない。これはかなり顕著な差を感じた。
ただ歩く、と言われても難しくて、だいたい何かしてしまう(付け加えてしまう)けど、それは「何もしない」を指定している演出の邪魔になっている。先に身体を作って、歩けば、「ただ歩く」「何もしない」ことができる。
(そのためには日々、「何もしない身体」を確かめ続けることですね。日々鍛錬…!)

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[WSレポート]山下亜矢香「唯一無二の声で奏でる」〜idenshi195 2021春WS(5)

こもだまり体験レポート企画5つめ、山下さんの後編です。

第四回 講師:山下亜矢香(俳優/声優/ボイスチューナー) 
アーツビジョン所属。1999年、青二プロダクションより声優としてデビュー。俳優、声優としてアニメ、外画吹き替え、舞台に出演する傍ら、ボイスチューナーとしても活躍。これまでに学び培った発声・演技論から、俳優の声と身体を調整し演技に繋げる独自のメソッドを創作。俳優ひとりひとりに対し、きめ細やかなボイスチューニングを行うことから、これまでの出演者や、ワークショップ参加者から厚い信頼を得ている。idenshi195サポートメンバー。

Twitter:https://twitter.com/AYAKA_YAMASHITA


idenshiws5_山下高橋
左より 高橋郁子(idenshi195)・山下亜矢香(アーツビジョン)・こもだまり(昭和精吾事務所)


【山下氏と私の関わりについて】※先週分に掲載した情報と同じです
idenshi195の0回公演とされている、旗揚げ前ながら言葉の楽譜としての初回公演、2011年「潮騒の祈り」は山下氏・東野醒子氏・私の三人語りで上演している(生演奏:anoa氏)。次に私が出演した2015年「やわらかな鎖」でもボイスチューナーとして稽古に参加、細かなサポートをしてもらった。


【山下氏とidenshi195の関わりについて】※先週分に掲載した情報と同じです
言葉の楽譜になる前から高橋作品に出演しており、高橋の書きたいリズムを熟知している。
2014年公演で演出補としてついてもらい、以降ボイスチューナーとしてサポートしている、idenshi195には欠かせないメンバー。



[こもだまり WS体験レポート05]
2021.4.7

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
5、唯一無二の声で奏でる / 講師:山下亜矢香(やました・あやか)




この全7回のWS5日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

「今日はついに"奏でる"です。早くやりたいので、さっさと行きましょう。」と高橋さん。
「3分渡すのでそれぞれチューニングしてください。次回からは講義が始まる前にここまで済ませておいて欲しいです」

ということで、それぞれ前回習ったことを使って各々チューニング。
流石に受け身の学校じゃないから、何やったらいいか迷ってる人はおらず、それぞれ自分の課題クリアに捉えてエクササイズしていた。(そもそも会場に来た時の「おはようございます」の声から違っていた。)

WSの課題テキスト「船弁慶」冒頭の「定点観測」
毎回WS冒頭に、講義を受けての変化を実感するために行う。

「今日は外向きの円陣で読むほうから行きましょう。その方が早いんじゃないかって」
山下さんが中入ってていいですか?と、円の中央に座る。

「Hさんの声がスタートになってはいたけれど、皆すぐついていったので、瞬発力と集中力という点では自信を持っていい。では難易度を下げて中を向いてやりましょう、視覚情報には頼らず、気を飛ばしあったらいけると思います。」

始まれば揃う。A組(ここ、水曜コース)とB組(日曜コース)を比べると、A組は受信の能力は高いけれど、気を飛ばす(発信する)力が弱いので、そこを強化して欲しいとのこと。

次に、2行ずつ4人で読む。
担当する文が長い人が、読みが少し走ってしまっていると指摘がある。
今日は参加者9人で私1人余ったので「おかわりのかた3人お願いします」と言うとさっと何人も立ち上がる。積極的な空気でいい。

私は前回「低い音だけ使っているから、上の方の響きを足したい」と指摘をもらった。
作品の重厚なイメージと、「闇を渡る」から始まる深い夜のイメージで自分の下限の音でモノクロの静かな場面を表現しようという意図でそうなったのだが、「その音をベースにして上の音を足す」という方法を教わっていた。
加えて、今回のWSは《各々が無理せず出せる一番出しやすい”唯一無二の声”を発見する回》なので、作りたいイメージはさておき、なるべくプレーンなトーンを心がけてみた。しかし普段自動でやっている出音のイメージとのリンクを払拭するのは難しく「低くしないように」に執着してふわっとしてしまった気がするが、付き合ってくれた方たちは、スターターの私のニュアンスやスピードを捕まえて、一緒に奏でようとしてくれているのを感じた。
これも前回高橋さんが「4人で読んでいるってことを意識して。自分のパートだけ読んでるんじゃなくて、全員で同じ情景を描いているんです」と言ったことを踏まえていて、いい感じ。

そもそも、みんな前回の定点と全然違って、この1週間ちゃんと復習したんだなってのを感じられる変化を遂げていた。いい感じ(そればっかり)。

今日の流れ、山下さんにウォーミングアップをしてもらって、高橋さんが今日のテキストの説明をし、実践に入る、と説明。

再び註)実践編のため、あんまり詳しく書くと山下さんの商売上がったりになっちゃうと思うので、前回同様、随所省略しています。講師の生指導あって効果が出る部分が大きいことをご了承ください。そして前回の続きなので、先週のレポートから読んだ方がより伝わると思います。
http://komodamari.blog.jp/ws2021i-4.html



講師の山下さん登場。
山下さんが先週の講義の動画を見返しての補足説明から。
「伝えたいことが多すぎて、この人数に駆け足で教えた分、伝わりづらかった点があるなと思うんですけど、まりさんのレポート(文字情報)を補助にすると理解の助けになると思います」と紹介してくれた。(この2回のレポートは名前などの情報が多いため、山下さんに確認してもらってます)


●うがい薬は2種類あって、イソジン(ヨウ素系、茶色の液体)が体質で合わない人はアズノール(青い液体)がいい。
補足)
イソジンうがい液(ポピドンヨード)茶色。甲状腺異常の治療に使われるヨウ素を含むので、体質で合わない人もいる。消毒液のため、殺菌作用がある。
アズノールうがい液(アズレンスルホン酸ナトリウム)青色。消炎作用がある。

参考)3分で分かる!イソジンとアズノールの違い【うがい薬】
https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/hvvfp


●コーチングしてる人はピンキリ。そしてピンだから絶対という訳でもなく、それぞれとの相性や方向性を見て自分で考える必要がある。”先生が言うことだから正しい”などと盲信的にならず、自分の目指したい方向、声、好きなものを明確にして、合う方法をピックアップしていって欲しい。

●やりたいこと、やれること、向いていることは違うと認識しよう。
自分に求められるものは何かを認識した上で、それでもやりたいことがあればチャレンジしてもいいと思う。


そしてテレビ番組で見た「声楽家が選ぶ歌うまランキング」に名前が上がった歌い手さん達の歌唱法についてのコメント
「この人は声帯に負荷をかけて歌っている音だが、それをキープできるのは声帯が強いのだと思う。どこかに負荷がかかっている声は人の感情を揺さぶるが、安易に真似をすると喉を潰すので気をつけて」とか「この人は声帯が弱いとご自身で言っておられたが、テクニックで補っているのだと思う」とか「母音の繋がりが滑らかですごい」とか、「日本語としてきちんと聞き取れるように発音している」など、それぞれの特徴を説明。具体例はとても参考になる!

面白いなと思ったのは「宇多田ヒカルさんはビブラートをお腹・喉・頬骨の三種で使い分けている、と評価されていました」という話。お腹と喉は聞いたことあったけど、頬骨・・・平井堅さんは頬骨に音を響かせていると言われてたそうだ。
「コネクトする場所を変えると良いというロラン氏の教えに近いと思う」と山下さん。


それらを踏まえて、あくびから始まるエクササイズ(前回やったもの)を一連で短く。
「喉はあくびの時のようにぼんやりとさせ、声帯に負荷をかけない感覚を掴むことから始めてください。」声帯を含めた、身体という楽器のウォーミングアップをするということだろう。喉を丁寧に扱いつつ全身の筋肉を醒ましていく暖機運転。自分の弱いところをふまえて短いメニューを組んだらとてもいいと思う。ルーティーン持ってるとオーディション前でも緊張解けるしね。続きを読む

[WSレポート]山下亜矢香「唯一無二の声を発見する」〜idenshi195 2021春WS(4)

[WSレポート]山下「唯一無二の声を発見する」〜idenshi195 2021春WS(4)

こもだまり体験レポート企画4つめ。

第四回 講師:山下亜矢香(俳優/声優/ボイスチューナー) 
アーツビジョン所属。1999年、青二プロダクションより声優としてデビュー。俳優、声優としてアニメ、外画吹き替え、舞台に出演する傍ら、ボイスチューナーとしても活躍。これまでに学び培った発声・演技論から、俳優の声と身体を調整し演技に繋げる独自のメソッドを創作。俳優ひとりひとりに対し、きめ細やかなボイスチューニングを行うことから、これまでの出演者や、ワークショップ参加者から厚い信頼を得ている。idenshi195サポートメンバー。

Twitter:https://twitter.com/AYAKA_YAMASHITA


山下高橋
左より こもだまり(昭和精吾事務所)・山下亜矢香(アーツビジョン)・高橋郁子(idenshi195)


【山下氏と私の関わりについて】
idenshi195の0回公演とされている、旗揚げ前ながら言葉の楽譜としての初回公演、2011年「潮騒の祈り」は山下氏・東野醒子氏・私の三人語りで上演している(生演奏:anoa氏)。次に私が出演した2015年「やわらかな鎖」でもボイスチューナーとして稽古に参加、細かなサポートをしてもらった。


【山下氏とidenshi195の関わりについて】
言葉の楽譜になる前から高橋作品に出演しており、高橋の書きたいリズムを熟知している。
2014年公演で演出補としてついてもらい、以降ボイスチューナーとしてサポートしている、idenshi195には欠かせないメンバー。



[こもだまり WS体験レポート04]
2021.3.30

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
4、唯一無二の声を発見する / 講師:山下亜矢香(やました・あやか)




この全7回のWS4日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

まずは前回2人欠席だったので、足並みを揃えるため、全員で前回やった「名前とばし」をする。ついに水曜枠全員の名前と顔を互いに認識する。それだけでかなり空気は変わる。

そしてWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭8行の「定点観測」。前回同様、2行ずつ4人で読む。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けての変化を実感するために行う。

劇場で上演しているのを意識して読む、という前提にしたので、「目は本を見ていても客席に声を届ける意識を持ってほしい」「各々でパートを受け持つのではなく、4人で"同じ"情景を語る意識を持ってほしい」「声優畑の方はセンターに立ってるマイクを避けて台本を持ちがちだが、idenshiはマイクを立てないので、台本と正対してください」など細かくリクエストが入る。

のち、「円になって8行を全員で読む」。合図なしに同時に読んで欲しいという実験の3回め。
槙尾さんの即興の講義を受けたから発信も受信も感度や精度が変わると思って楽しみにしていたもの。
高橋さん「繋がれたら、読んでください」。
1回目、始まりが合わない。「集中して外に神経を張って ”行けるよね”、を飛ばしあって、同時にスタートできるよう、音を出す前こそ集中してほしい」
2回目、かなり合う。「音を出す前にこれくらい集中して登場すれば、空間を支配した状態でスタートできる」と。
次の段階「背中合わせの円で2行を全員で読む」チャレンジ。結構行けた!高橋さんも「すごいねー!いま合ったよね!」と喜ぶ。

講師、山下亜矢香さん登場。
高橋さんからidenshi195の関わりについて紹介(前述)。


註)今日のワークは実践編で、あんまり詳しく書くと山下さんの商売上がったりになっちゃうと思うので、随所省略しています。講師の生指導あって効果が出る部分が大きいことをご了承ください。


山下さんは「私自身、喉も弱く発声も悪く、結節の手術をするほど声帯に負担のかかる発声をしていたんですが、手術後に出会ったボイストレーニングの先生が物理的に指導してくれたので、今はオールでカラオケしても大丈夫なくらいに変わりました。」
声がどう引っかかっているのか、どうして出しづらいのかなど、自分自身が悩み経験してきたからこそ、発声に悩む人の心理や身体が理解できるというところがあるという。
浄瑠璃を少し習ったり、やイヴァナ•チャバック(潜在意識に触れていく演技メソッド)や、イリーナ・ブルック(ピーター・ブルックの娘)の元で演出に携わっていたフランスのロラン・クルタン(自分から出た声についていくことで役が生まれるという演技メソッド)のワークショップを受けた。
「心と身体両方からのアプローチ方法を学び、それらを組み合わせた独自のメソッドを構築し、ボイスチューニングや演技指導を行なっています。
私に合ったからって全部が皆さんに合うとは限らないですが、皆さんも自分に合うものを拾って、いいとこ取りしてください。」


「水分補給は10分に一回、一口でいいそうです」とのことで適宜補給しつつ、この2回は物理的な方法のワークをするとのことで、まずはいい声の出る、無理のないいい体勢を作るところから始める。

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[WSレポート]槙尾ユウスケ「即興感覚を磨く」〜idenshi195 2021春WS(3)

[WSレポート]槙尾ユウスケ「即興感覚を磨く」〜idenshi195 2021春WS(3)

こもだまり体験レポート企画3つめ。


第三回 講師:槙尾ユウスケ(俳優/インプロバイザー) 
1980年12月5日生まれ。広島県出身。サンミュージックプロダクション所属。早稲田大学在学中、同じお笑いサークルに所属していた小島よしお、岩崎う大らと5人組コントグループ「WAGE」として活動。解散後、2007年に岩崎とお笑いコンビ「劇団イワサキマキオ」を結成。2010年にコンビ名を「かもめんたる」に改名する。2013年にはコント日本一を決める大会「キングオブコント」で優勝。2015年には「劇団かもめんたる」を旗揚げし、18年以降は劇団の活動に力を入れている。テレビ・ラジオ・舞台・即興演劇など幅広く活躍中。インプロバイザーとしてワークショップ講師も務める。idenshi195では2018年『眼球綺譚/再生』に出演。


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左より こもだまり(昭和精吾事務所)・槙尾ユウスケ(俳優/インプロバイザー)


【槙尾氏とidenshi195の関わりについて】
2018年にidenshi195の4人語り「眼球綺譚」に出演。稽古中に槙尾さんが「(首を傾げな柄)一緒だなあ…」と呟いていたことが高橋はずっと気になっていて、その後、機会あってそのことを尋ねたところ「インプロとidenshi195が求めてることが通じると思う」といわれ、idenshi195主催のWSを開催。その効果を実感し、今回も講師を依頼した。



[こもだまり WS体験レポート03]
2021.3.23

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
3、即興感覚を磨く / 講師:槙尾ユウスケ(まきお・ゆうすけ)




この全7回のWS3日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

まずはWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭8行の「定点観測」。前回同様、2行ずつ4人で読む。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けての変化を実感するために行う。

高橋さんより「劇場でやっているとイメージしてください。客席があり、舞台のセンターはどこか、4人が等間隔に並ぶなどを意識してください。バミリに頼らず空間を把握できるようになってほしいです」

のち、「円になって8行を全員で読む」。合図なしに同時に読んで欲しいという実験の2回め。
まだちょっと探り探りだけれど、前回よりずっと集中(外に向けて注意を払う)が感じられた。
受信はできてる感じしたけど、「行こう!」を発信するパワーがまだ弱いかも。
リーダーがはっきりしてたらいけるやつだし、今日の槙尾さんの即興の講義を受けたら発信も受信も感度や精度が変わると思うから、次回が楽しみ。
(この時点ではただの予想だったが、今日のワークが終わったら確信に変わった)


講師、槙尾ユウスケさん登場。
わたしは槙尾さんを、idenshi195「眼球綺譚/再生」の本番で拝見している。
自然体で穏やかに話す、ナチュラルな状態の槙尾さんは、その本番の時より魅力的な人物に見えた。
今日は、円座に置かれた椅子での講義スタイルから開始(のち移動などあり)。

高橋さんから紹介と、今日のプログラムを説明。
槙尾さんとidenshi195の関わりについて(前述)、以前ワークショップを開催したあと、高橋さんが
「わたしは見ていただけなのに、その後お客様の前で喋れるようになったという経験をしたので!」という。どんな魔法かな?

註)今日のワークは実践編で、あんまり詳しく書くと槙尾さんの商売上がったりになっちゃうと思うので、随所省略しています。ここに書かれてる通りにやっても、講師が指導しないと効果半分程度だと思います、ご了承ください。

最初は『名前回し』
呼ばれたい名前を申告して、呼ばれた人が別の人の名前を呼ぶという、定番のアイスブレイク。
お互いの顔を見ることや、名前を呼ぶことで確実に距離が縮まり、いいワーク。
いいなと思ったのは、失敗した時に暗くなるんじゃなくて、自分も周りも盛り上がる方向で〆ようという点。そして応用編「一個ずらし」は(敢えて省略)、やったことなくて、でも、idenshi195で必要な、聴覚での集中力や瞬発力を高めるのに効果的だと感じた。

槙尾さん曰く「稽古場では、失敗した時に『失敗してませんよ』と取り繕うのではなく、失敗したのはもう仕方ないこととして、オープンにして、ハッピーに振る舞えば、いい雰囲気の空間を保てる。お笑いでもスベったり失敗してもそれが逆に、お客様には面白かったり、その人を魅力的に見せたりすることもある」。
「オープンに失敗する」を体験する時間だった模様。
「失敗してOK」の雰囲気と、前のめりに関わっていく姿勢が養われると思う。

余談だが、槙尾さんがワーク一個ずつの終わりに「じゃあこれ終わりです、ありがとうございました」と言うのがいい。きちんと区切ることで段階を踏んでいくのも感じられるし、集中も入れ直せる。
その司会ぶりは、さすが舞台慣れしているお笑い芸人さんという感じ。続きを読む

[WSレポート]川瀬隆士「能とは、船弁慶とは」〜idenshi195 2021春WS(2)

こもだまり体験レポート企画2つめ。
idenshi2021ws


第二回 講師:川瀬隆士
新潟県三条市出身。シテ方宝生流能楽師。宝生流20代宗家宝生和英、渡邊荀之助に師事。東京藝術大学邦楽科卒業後、宝生宗家の元で内弟子修行を積み、現在は独立し社中の会「賀隆会」を主宰し東京、新潟で指導もしている。主に東京、石川、新潟で舞台を勤め、能楽以外との合同作品にも多数出演し、伝統を重んじつつ文化芸能の道を歩む。



【能と私の関わりについて】
大学のクラスメイトに喜多流の能楽師がいたご縁で、能楽堂で能を見たり、薪能を見た経験あり。謡曲に影響を受けた戯曲を上演していたことや、三島由紀夫「近代能楽集」や人外役の出てくる作品を演じるにあたり、能の舞台装置や装束について調べたり、多少興味があり触れてはいる。

【川瀬氏とidenshi195の関わりについて】
2009〜2011年、宝生流宗家の個人の催しで高橋さんが能のあらすじ朗読用の脚本を書いた。
その縁から、2012〜2015年、同じく宝生流の催しとして、高橋が現代語で書いた朗読脚本「葵上」「船弁慶」等を劇場で上演。その際、宗家で修行をしていた川瀬さんが、出演者の着替えや道具の扱い、所作などを監修した。それらの脚本をidenshi195主催公演で再演するにあたっても、アフタートークゲストに呼ぶなどご縁が続いている。




[こもだまり WS体験レポート02]
2021.3.17

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
2、能とは、船弁慶とは / 講師:川瀬隆士(かわせ・たかし)



idenshi195川瀬隆士

この全7回のWS2日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

冒頭に、主催者の高橋郁子さんから、先日伝え忘れたんですが、と前置きがあって短いお話があった。
「3月10日は東京大空襲の日でした。」

WIPの課題作品「朗読・原爆詩集」には、冒頭で3月10日から8月6日までの日本で大空襲の日付を言っていく演出がある。今回その演出はやらないが、東京大空襲の日から8月6日に向けての日々を、それを意識して過ごしていくことで、(前回の講義の東野醒子さんの話に通じるが)想像力で当時に繋がれると思う、とのこと。


まずはWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭8行の「定点観測」。前回同様、2行ずつ4人で読む。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けての変化を実感するために行う。

のち、「円になって8行を全員で読む」実験。合図なしに同時に読んで欲しいという。
idenshi195ではよくやるが「感覚で繋がる」訓練で、お互いの「いける」を読んでGOする。郁子さん曰く「集中力を外に向けて」。2回うまくいかず水入りがあるが、3回めで終わりまで。出過ぎてもダメだし待ち過ぎてもダメ、つまり発信だけでも受信だけでもダメ。私も円に参加したが私が出ちゃうのもなんだなと思って飽くまで受けに徹する。様子を伺って誰も声を発せないで長い時間が経った1回め、私の感覚だと5回くらい「ああもう行きたい」と感じた(せっかちすぎかな?そのタイミングがidenshi195的に正解だったかは不明)。
おそらく次の槙尾さんの即興やKouさんの身体トレーニングをしたあとなら、お互いをもう少しビビットに感じ合えるようになるだろう。


今回講師、川瀬さん登場。
ここにいらっしゃる時から着物と想像していたが、会場に45分前に現れた川瀬さんは、ジーンズに革ジャンというカジュアルなスタイルだった。(後半のツーショット参照)
講義は着替えて、着物に袴、白足袋、扇子で正座。
前回のように椅子を用意していたのだが、謡を体験するときには正座の方がやりやすいだろうという提案で、始まる前に椅子を片付けて、全員床に座しての講義となった。


高橋さんから紹介と、今日のプログラムを説明。
川瀬さんとidenshi195の関わりについて(前述)、また能の、内在する爆発的なエネルギーを抑制して行う表現方法や、音によって観客と想像力で繋がろうとする方法が、idenshi195の作品作りの考え方に繋がると説明。


「私は宝生流のシテ方(舞台上で物語のシテ=中心人物を演じる役割)と申し上げましたが、(シテ方の)能の流派は江戸時代までは四流一座、令和三年現在は観世・宝生・金剛・金春・喜多の五流です。」
私は砂々良で、大学で能サークルにいたお客様と雑学好きなマスターから何度も聞いているので知っていたが、能について考えたことがなければ確かに知らないことだ。

こもだ註:専門分野でシテ方・ワキ方・狂言方・囃子方と別れており、ワキ方の高安・福王・宝生、狂言方に和泉・大蔵など、合わせると二十四流あるようです。
能の歴史についてはこちら参照
https://tatsuki-lab.doshisha.ac.jp/Thesis2002/02_TOYOOKA.pdf



ここからはまたしても少し箇条書きで。

・他の古典芸能(日舞など)とは違って、能は勝手に師匠にはなれない
家元および太夫に弟子家が存在し、それがプロとして認められている
能楽は世界最古の芸能で、シェイクスピアより古い。650〜700年前の観阿弥世阿弥が能楽の礎を作った

・ざっくりいうと、能は悲劇、狂言は喜劇
狂言は市井の人々の生活の中で懸命に生きているのがどこか滑稽であるというもの
能は実在した登場人物も多く、人生での抗えない悲しさや怒りを舞と謡で表現するもの

・面(おもて)を実際に見せてもらう。視野がとても狭い
面の表情は俯くと悲しげ(曇る)、上げると明るくなる(照る)と角度で変わるため、つける人によって中に当て布をして角度を調整している。江戸時代のものが多いが、室町時代のものも現存する
芸はもちろん、道具(美術品、面や装束)を伝えるのも能楽師の役割
機織り機は戦前に技術が断絶したので、現在はフランスから輸入したジャガード機で用いて引き継いでいる

・コンダクターがいない芸能なので、お互いの気配を感じつつ演じる
周りと調子を合わせることが最も重要で「一調・二機・三声」とされる
こもだ註)世阿弥が「花鏡」に書いた、発声時の考え方。

(以下、観世寿夫「心より心に伝ふる花」より引用)
「一調・二機・三声」は世阿弥の発声についての基本的な考えをしめしたもの。
「一調・二機・三声」は、いちばん初めに、まず自分の中でこれから発する声の音高や音程、テンポといったものを体で捉え、二番目に、体の諸器官を準備し、息を充分に引いて整え、声を出す間をつかんで、三番目にはじめて声を出す、ということです。必ずどんな場合でも、発声する前にこれだけの
段階が自然にふまえなければならないというのです。これは喉だけの発声にならないための技術で、腹式呼吸を正しく使い、全身の共鳴を用いて発声するということに外ならないと思います。



この後、宝生流の舞台映像を見て「船弁慶」解説を聞く。
源義経と弁慶と静御前が出てくる90分ほどの大曲で、謀反の意ありと兄に追われた義経が都落ちする(船出する)前段、平知盛の亡霊が襲ってくる後段で構成されており、シテは前段で静御前として義経との別れの悲しみを演じ、後段で知盛の亡霊という真逆の性質の二役を演じる。
前後半の間20分ほどには幕間狂言があり、船頭役が出てくる。

地謡の並びは五人囃子の形で、楽器を持たず扇を持つ人が地謡。
下手から上手に順に楽器の高さが上がっていくように配置されている。
太鼓は人でないものが現れるときに鳴るので、この作品では後段の亡霊登場まで待つことになる。
装束の模様や面や所作の意味、シテ・ワキなどの説明、義経を敢えて子方(子役)にすることで夫婦の情を描きすぎない、などの工夫について聞く。

世阿弥は決めすぎない、描きすぎないことで、万人が自分の想像力で自分の思いを投影して見られるように作っているという。これはidenshi195の朗読や、舞台装置を使わず動かず語るだけの昭和精吾事務所の「李庚順」にも通じることだ。



宝生流能楽11月五雲会  岩船 放下僧 船弁慶
※ダイジェスト。船弁慶は1時間37分あたりから
https://youtu.be/cBUG7wh7ejY


一旦休憩を入れて後半、謡体験。
実際の謡本(うたいぼん)のコピーをいただく。
謡は叙情詩や叙事的な台詞(ナレーション)があるので、そこを演じすぎないなど、よく読み込んで作者の意図を理解して表現することが大切。
稽古は師匠とサシで、対面で一節ずつ「鸚鵡返し」することから始まり、大人になると本を見ながら止められるまで続けるようになる。

今回の謡体験は、謡本の記号の意味を理解し、見て奏でられることに重点があり、主に台詞の抑揚(音の上がり下がり、下の句は二音めが上がる、などのルール)と声の出し方についての体験だったので、スピード(テンポ)に関する指導は、役割の説明(「子方は調子を張ってハキハキと」「シテは重厚に」など)程度だった。
しかし台詞でない部分=地謡は一音ずつ、または子音と母音を分解して母音だけ独立してもう一回発音するなどの細かい指示がある。八拍構成で、楽器の演奏と密に作られているので、こちらはテンポについても細かいルールがあるかもしれない。


先週の講義で、高橋さんがidenshi195の「言葉の楽譜」について、楽譜として読み方を指定するのに「、」と「。」だけでは足りないので、独自の読点を使ったり、一音を1マス/一拍ではなく半拍でかぶせることもあるなど、こだわりを持って緻密に書かれたものであることなどを説明した。
一音を子音と母音に分解する発想は謡の方法からだろうか?
私が書く複数が声を重ねる台本も、楽譜のように重なるタイミングを指定していて、この音のここに被せて、という細かいこだわりがある。語りものを研究していくとそこに行き着くのだろうか?

idensi195_2
私が必死で抑揚のメモを取った、パニックぶりがわかる謡本。
今改めて見ると、ちょっと読めるようになっている!


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[WSレポート]東野醒子「求められる俳優の在り方」〜idenshi195 2021春WS(1)

昨年春、思いついた矢先に自粛期間入って、ギリギリ実施した第一弾(梶原航さんWS)をまだ公開してないままの、こもだまり体験レポート企画!

郁子さんにオファーいただいて、出演作との連動企画で第二弾を先に公開します。
(梶くんのパーソナルワークショップ、ものすごく心身にいいので、いずれきちんと紹介しますね)

idenshi2021ws


第一回 講師:東野醒子
俳優。劇団「激弾BKYU」所属。蜷川幸雄演出舞台『にごり江』(たけくらべの美登利役)で舞台デビュー。1985年に劇団を立ち上げ、小劇場を中心に活動を続けている。網膜色素変性症という進行性の視覚障害を発症してからは、「耳で観る世界〜ドラマリーディング」と題した講演をライフワークとし、聴覚からの想像体験を提供している。idenshi195では2011年と2014年『潮騒の祈り』に出演。本WSでは、表現におけるビラミッドメソッドと感覚の洗練をテーマに初回講師を担当。




【東野醒子さんと私の関わりについて】
20210310_醒さん

講師の醒子さんとは青蛾館『青ひげ公の城』で初共演、その後、高橋郁子さんを紹介され、共にidenshi195の0回公演と言われる『潮騒の祈り』に出演した。
醒さんは上の紹介にもあるが、網膜色素変性症という目の病があり、私が出会った時には既に「五円玉の丸の中分だけ見えて、周辺は見えないの」と言っていた。進行性のため、おそらく当時よりも見辛くなっているのだろうが、本人曰く「舞台は物の場所が決まっているから覚えてしまえば怖くない。台詞も覚えてしまえばいい。日常の方がイレギュラーがあるからよほど大変」とのことで、観客として見ていると、(劇団の仲間の協力もあり)不自由さは見えない。醒さん自身の想像を絶する記憶力とアンテナと努力あってのことだろうが、人柄によるものも大きいと思われる。

参照:2011「潮騒の祈り」CM(こもだまり作製)
※十年前に初めて作ったCM動画なので色々拙いです。






[こもだまり WS体験レポート02]2021.3.10

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
1、求められる俳優の在り方 / 講師:東野 醒子(とうや・さめこ)




この全7回のWS初日。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

冒頭に、主催者の高橋郁子さんから、ゲスト紹介、今日のプログラムを説明。
idenshi195の作品カテゴリー名[朗読キネマ]と、脚本の形式[言葉の楽譜]について解説。(idenshi195サイトに記載があるので詳細は割愛。どちらも昨年春に商標登録済)
参照:https://idenshi195.com/aboutus/

超ちなみにだけど、私の書く、脚本の声の重なりを使ったシーンも、郁子さんは「言葉の楽譜」と認めている。それについては私の過去日誌にて。

■2011「台本=楽譜」
http://komodamari.blog.jp/archives/51875050.html
■2014「高橋郁子さん」
http://komodamari.blog.jp/20141104.html
■2021 こもだまり×高橋郁子 ツイキャス記録
http://komodamari.blog.jp/20210211.html



耳を飽きさせない工夫を脚本に散りばめることで、朗読者は動いていないのに、観客は映像が見えるようだという感想があるという。これは郁子さんが映画のシナリオを勉強していたことが関係していると思って話したところ、やはり、カット割(カメラワーク)を想定して書いているとのことだった。

また、楽譜として読み方を指定するのに「、」と「。」だけでは足りないので、独自の読点を使ったり、一音を1マス/一拍ではなく半拍でかぶせることもあるなど、こだわりを持って緻密に書かれたものであることなどを説明。


そして「定点観測」=WSの課題テキスト「船弁慶」を読んでみる。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けて変化していくのを実感するために行う。

それぞれ読んでもらった後、ついに講師の東野さんの登場。
黒いタートルネックに白系のアジア風スカートという軽やかな服装に、爽やかなショートカット、
意志の強そうな声。それでいて威圧感はなく、柔らかな印象。

「初めましての方も多いかな、東野醒子です」といい、「一応ね」と一瞬だけマスクを外して笑顔を見せ、自分について話す。21歳で蜷川幸雄の演出でデビューし、のち小劇場に移動して36年のキャリアであること、30代で視覚障害が発症したが、それでも舞台が好きで続けていること。

醒さんから得られる情報が多すぎるので、箇条書きします。
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次☞9/25 昭和精吾事務所BAR■ご依頼☞showaseigo14@gmail.com■昭和精吾事務所代表。語り歌う女優。脚本・演出。寺山修司・岸田理生作品上演。実写妖怪モデル。麻人楽。ヒューマンアカデミー演技講師■客演☞廻天百眼、SAI、青蛾館、田園に死す三沢篇■協力☞FOXPILL CULT
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