[WSレポート]槙尾ユウスケ「即興感覚を磨く」〜idenshi195 2021春WS(3)

こもだまり体験レポート企画3つめ。


第三回 講師:槙尾ユウスケ(俳優/インプロバイザー) 
1980年12月5日生まれ。広島県出身。サンミュージックプロダクション所属。早稲田大学在学中、同じお笑いサークルに所属していた小島よしお、岩崎う大らと5人組コントグループ「WAGE」として活動。解散後、2007年に岩崎とお笑いコンビ「劇団イワサキマキオ」を結成。2010年にコンビ名を「かもめんたる」に改名する。2013年にはコント日本一を決める大会「キングオブコント」で優勝。2015年には「劇団かもめんたる」を旗揚げし、18年以降は劇団の活動に力を入れている。テレビ・ラジオ・舞台・即興演劇など幅広く活躍中。インプロバイザーとしてワークショップ講師も務める。idenshi195では2018年『眼球綺譚/再生』に出演。


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左より こもだまり(昭和精吾事務所)・槙尾ユウスケ(俳優/インプロバイザー)


【槙尾氏とidenshi195の関わりについて】
2018年にidenshi195の4人語り「眼球綺譚」に出演。稽古中に槙尾さんが「(首を傾げな柄)一緒だなあ…」と呟いていたことが高橋はずっと気になっていて、その後、機会あってそのことを尋ねたところ「インプロとidenshi195が求めてることが通じると思う」といわれ、idenshi195主催のWSを開催。その効果を実感し、今回も講師を依頼した。



[こもだまり WS体験レポート03]
2021.3.23

〜idenshi195 2021春のスペシャルワークショップ
「本来の声で空間を変える」〜
3、即興感覚を磨く / 講師:槙尾ユウスケ(まきお・ゆうすけ)




この全7回のWS3日め。
手指消毒、検温、入室時のマスク交換、30分ごとの換気など、感染症対策を取りつつの会となる。

まずはWSの課題テキスト「船弁慶」冒頭8行の「定点観測」。前回同様、2行ずつ4人で読む。
これはWSの冒頭に毎回行い、講義を受けての変化を実感するために行う。

高橋さんより「劇場でやっているとイメージしてください。客席があり、舞台のセンターはどこか、4人が等間隔に並ぶなどを意識してください。バミリに頼らず空間を把握できるようになってほしいです」

のち、「円になって8行を全員で読む」。合図なしに同時に読んで欲しいという実験の2回め。
まだちょっと探り探りだけれど、前回よりずっと集中(外に向けて注意を払う)が感じられた。
受信はできてる感じしたけど、「行こう!」を発信するパワーがまだ弱いかも。
リーダーがはっきりしてたらいけるやつだし、今日の槙尾さんの即興の講義を受けたら発信も受信も感度や精度が変わると思うから、次回が楽しみ。
(この時点ではただの予想だったが、今日のワークが終わったら確信に変わった)


講師、槙尾ユウスケさん登場。
わたしは槙尾さんを、idenshi195「眼球綺譚/再生」の本番で拝見している。
自然体で穏やかに話す、ナチュラルな状態の槙尾さんは、その本番の時より魅力的な人物に見えた。
今日は、円座に置かれた椅子での講義スタイルから開始(のち移動などあり)。

高橋さんから紹介と、今日のプログラムを説明。
槙尾さんとidenshi195の関わりについて(前述)、以前ワークショップを開催したあと、高橋さんが
「わたしは見ていただけなのに、その後お客様の前で喋れるようになったという経験をしたので!」という。どんな魔法かな?

註)今日のワークは実践編で、あんまり詳しく書くと槙尾さんの商売上がったりになっちゃうと思うので、随所省略しています。ここに書かれてる通りにやっても、講師が指導しないと効果半分程度だと思います、ご了承ください。

最初は『名前回し』
呼ばれたい名前を申告して、呼ばれた人が別の人の名前を呼ぶという、定番のアイスブレイク。
お互いの顔を見ることや、名前を呼ぶことで確実に距離が縮まり、いいワーク。
いいなと思ったのは、失敗した時に暗くなるんじゃなくて、自分も周りも盛り上がる方向で〆ようという点。そして応用編「一個ずらし」は(敢えて省略)、やったことなくて、でも、idenshi195で必要な、聴覚での集中力や瞬発力を高めるのに効果的だと感じた。

槙尾さん曰く「稽古場では、失敗した時に『失敗してませんよ』と取り繕うのではなく、失敗したのはもう仕方ないこととして、オープンにして、ハッピーに振る舞えば、いい雰囲気の空間を保てる。お笑いでもスベったり失敗してもそれが逆に、お客様には面白かったり、その人を魅力的に見せたりすることもある」。
「オープンに失敗する」を体験する時間だった模様。
「失敗してOK」の雰囲気と、前のめりに関わっていく姿勢が養われると思う。

余談だが、槙尾さんがワーク一個ずつの終わりに「じゃあこれ終わりです、ありがとうございました」と言うのがいい。きちんと区切ることで段階を踏んでいくのも感じられるし、集中も入れ直せる。
その司会ぶりは、さすが舞台慣れしているお笑い芸人さんという感じ。
休憩を挟んで『セカンドポジション』
これが、高橋さんが「見ていただけなのに、人前で喋れるようになった」と言った魔法の(笑)ワーク。

槙尾さんが見本に、1stポジション、3rdポジション、2ndポジションの態を実演して見せて、解説。
1stは閉じている。人前で話すのが苦手、というような状態。
3rdは開きすぎ。テンションが高いけど、空回りするような状態。
その中間にある2ndポジションは、身体はリラックスしていて、眉間が開いている、お客さんと繋がれる状態と説明。


そして実践へ。
身体を揺さぶってリラックス状態を作る(脱力、顔筋のマッサージなど)。
一人が円の中心に入り、その状態を作り、囲んでいる一人一人と目を合わせていく。
「目が合ったな」と実感を持てたら次の人へ移って一周する。

立ち位置が端だったので最初の体験者をやらせてもらったんだけど、一人一人、受け方が違うので面白かった。しっかり視線を受け止めてくれる人、ぼんやり見られてるなーって感じでいる人、あ、lookとseeの違いみたいな感じ? 円の中心を見ている、囲んでいる時に「自分も見られているんだ」という意識を持っている人とそうでない人との違いかもしれない。
お前が深淵を覗くとき、深淵も等しくおまえを覗いているのだ。
フリードリヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』より


てほどじゃないにしても、「目を合わせる」ということは、片方が片方を見るのではなく「互いに見ている」(目に限らずだが)状態だと改めて実感。


その後、全員体験。槙尾さんが様子を見て回り、力んでいるよ、などと教えてくれる。
気づいたことをシェア。
わたしは「Mさんが目を開いたときに、生まれたての子鹿=世界を初めて見たみたいなピュア感を感じたので、Yさんと目を合わせているのを見たとき、ドラマチックに感じました」と話した。

次に、舞台と客席に分けて(椅子を客席風に置き)、ひとりずつ2ndポジションで舞台に上がり、心に浮かんだことを喋ってみるワーク。
ひとりずつ、終わった後に槙尾さんが、どう感じたかをインタビューし、感想を言う。

「自分の状態、感じたことを素直に口に出せるというのは、オープンになれてる証拠だからいいこと。その繋がってるという感触をお客さん全員と繋げられるといい。今日のこの方法は、わかりやすく丁寧にガッツリ繋がる方法だが、見ていなくても、稽古中でも、この意識を持つといい」とのこと。
高橋さんもよく「漠然と全体ではなく、お客さん一人一人と糸を繋ぐことで空間を支配してほしい」と演出するが、その訓練に効くワークだ。

気づきをシェア。
「自分が開いてエネルギーを発して、相手のエネルギーを受けて、互いに溶け合うとよりあたたかく大きなエネルギーになる感触」「緊張は伝染するというけれど、客席がリラックスして見てくれてるからこちらも緊張しなかった」「二度目だと特に安心感ある」などの感想が上がる。



このあとの休憩は、みんなが自然に会話をし出した。
子鹿のMさんに「まりさんは、繋がろうとする力がすごいなと思いました」と言われた。
目を合わせた時の印象だそうだ。自分のことは自分ではわからないから、こうやって教えてもらえるのはとても楽しい。Mさんも、しっかり見返してくれる感じがしました、と言う。
実はこれまで2回の講義中は、名前を2回聞いた程度で、あんまりお互いを認識できていなかった。
だから休憩中に雑談することはなかったのだけど、今日は全員目を合わせて、名前も呼び合って、各々の雰囲気もわかってリラックスできて、ということで、自然に会話が発生したようだ。


次も、繋がるの延長戦「傾聴のワーク」
詳しくは講義を受けた人のお楽しみということで。



高橋さん「槙尾さんのワークをやるとみんなが仲良くなるからとてもいい。このあと語りの実践になると、やることが多くなって繋がることが難しくなってくるんだけど、今日のこれを思い出したらリラックスして繋がれるはず。相手の声も自分が話しているかのように捉えられれば、リズムもいい感じで流していける。みんなが楽しそうで、見ていても楽しかった」。
槙尾さん「日常でも実践してみるといいと思う。みなさんの感想が僕にも糧になるし、いいワークでした」



ワーク全体を通して、日常に役立つワークだと感じた。
他者とのコミュニケーションを円滑にする術。
ワークの始まりと終わりで、全員の雰囲気がすごく変わったのが面白かった。


自分が先生をする時も、初回はアイスブレイクのワークをするんだけど、やるとやらないでは大違いなんだな。
2ndポジション(高橋さんはニュートラル、と呼んでいる状態だけど)も、なんとなくモードとしては持っているけど、名前がつくことでより明確に捉えられてよかった。


最後に、とてもいいワークだったお礼に、高橋さんが教えてくれた、お店のことも書いておきます。

槙尾さんが昼間だけの間借り営業してるカレー店
カリガリ マキオカリー
(都内に三店舗)

三軒茶屋店
https://www.favy.jp/topics/29688

四谷(四谷三丁目)店 
カリガリマキオカリー87号店
https://gourmetpress.net/388717/

新宿店
カリガリマキオカリー46号店
https://newscast.jp/news/7350451






第三回、ありがとうございました。



===脱線なので、ここは興味があればどうぞ===

個人的に発見だったこと。
(ちょうど別現場のSAI『MasqueraDead』の稽古でも、会話の盛り上げ方について話してて考えてたことだった)

傾聴が大切とはいえ、私の話の聞き方は、少し傾きすぎかもしれない。


俳優には必要な資質、共感性とか共感力、シンクロニシティって言われるあれ。
「見てなかった連続ドラマの最終回だけ見て、事情も知らずに主人公が泣いてるのを見てて一緒に泣いてる」とか最たるもんで、私はよく涙を流すけど、この場合は感情はあまり伴ってなくて、つられ泣き(と名付けている、泣いてる人を見ると泣いちゃうやつ。これは思えば赤ちゃんと同じですね)。共感性が高い人は、あくびをした人をみるとあくびが出ちゃうという。私は確実につられる。いや、俳優は大体この病にかかっていると思っているから気にしてなかったけど、「相手の気持ちになる」と「自分事として捉える」の加減なのかも?

考察してみよう。
例えば友人から何か相談を受ける時、冷静に判断しようと思って、シンクロではなく私を保って考えようとしてるはず。
自分を保っているつもりだけど、相手が悲しそうだと、悲しくなってしまうじゃない?
これは無意識にシンクロしちゃってるのかな?
(あれ?これもしかして、「女性は話を聞いて欲しい・同調して欲しいだけなのに、なんで男性は建設的な意見を言いたがるの?」論の解析では?)

前に友人と話してて(友人は泣いてないのに)涙を流しだした時、(近しい人は、私がすぐ涙出るのを知ってるから驚かないし咎めないし、生理現象として捉えてくれて迷惑そうな顔もしない)、あとで「まりたんは●●さん(この話に出てくるもう一人)と立場が近いから、●●さんの気持ちになって泣いたんだよね」って言われた。考えてたのは友人の気持ちだったんだけど、それが「状況(友人が悲しんでいると感じたから)」なのか「シンクロ(友人の立場に入り込んじゃって)」なのかはわからない。

先の例のドラマを見て泣いてる時は、私本体は冷静で、涙だけつられてる感じ。
じゃあ、友人の話を聞いてる時も、同じ現象(冷静に聞いてる私と、同調してる私が同時にいる)が起きてるのかな?
泣くシーンの稽古でも本体は客観的でいるから、気にしてなかったんだけど。


今日の話に出た「他人事と思えるくらいの距離の人」だとそういうことは起きないかもしれない。
いや、砂々良で長い付き合いのお客様の話聞いてもこの現象起きるな?なんでだ。

そうか。話してる人が心を開いてくれてると、聞いてる側に流れ込んでくるんだ。
それは今日のワークの感想で上がったことそのものだ。

これはおそらく愛だと思う。
私には好きな人がたくさんいて、その人が心を開いて話してくれる。それは幸せなことだ。
そういうわけで、私に話してて私がポロポロ泣き出してもびっくりしないでください。
あなたの感情を、私という器に入れた時に水分が出やすい(大きめの穴が空いてるとか、蓋が抜けやすいとか)、そういう仕様の器だということで。

===脱線おわり===


繋がる=共感する力は、強い発信と強い受信で成り立つ。
舞台上の俳優と観客の関係も同じだ。



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まだ間に合う!
オンライン見学のお申込はこちら 
※ワークショップ全7回とワークインプログレスの稽古までが対象
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2021/3/10水〜4/25日 週1×7回
idenshi195 春のスペシャルワークショップ「本来の声で空間を変える」

idenshi2021ws

【講師】
東野醒子(俳優)
川瀬隆士(能楽師)
槙尾ユウスケ(俳優/インプロバイザー)
山下亜矢香(俳優/声優/ボイスチューナー)
Kou(役者専門パーソナルトレーナー)
高橋郁子



■配信内容■
・スペシャルワークショップ全7回分と、ワークインプログレス4/30、5/1、5/2合同稽古まで
(配信される組はA、Bいずれかです)

※ワークインプログレス本番(5/2夜)は別途チケットが必要 ※5/1情報公開します
※私はワークインプログレスにゲスト出演します
※ワークインプログレスとは、製作途中の作品のことを意味し、
WS終了後、受講者の数名と共に『朗読 原爆詩集』を作ります。

■配信期間■
・スペシャルワークショップ7回分:3/15(月)〜4/30(金)23:59
・ワークインプログレス稽古3回分 :5/3(月)〜5/11(火)23:59

https://idenshi195.com/workshop01/kengaku/

■費用(全10回/WIP本番は除く)
^貳漫12,800円(テキスト付)
一般:12,000円
2餔:10.800円(テキスト付)
げ餔:10,000円 

【注意事項】
・撮影・録音はかたくお断りいたします。
・映像は定点撮影・録音です。
・公演の配信映像等とは音質が異なります。(2021.03.15追記)

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