060724花と本今日は都内の盲学校で行われる、蘭妖子さんの「歌と朗読の会」。
名古屋公演でご一緒した縁で直々に声をかけていただき、わたしも出演することになった。
寺山さんの作品ばかりで、ひとつだけ、絵本「あらしのよるに」を入れてある。
わたしは寺山さんの詩の朗読ひとつと、「あらしのよるに」のヤギ役、「しあわせ それともふしあわせ」の歌の間奏のなかで、村松真理子さんと一緒に質問をする役まわり。
「あらしのよるに」は何年か前、とき緒さんが紹介してくれたので、読んだことがあった。

絵本の役が「やぎ」なので、私は白い衣装を、と稽古段階では話していた。が、前日にいただいた電話で「やっぱり衣装は、ワークショップって感じでみんな黒にしようと思うの」と蘭さんが言うので、黒いパンツに黒いシャツを用意した。
蘭さんは前日まで、試行錯誤しているのだわ。名古屋公演の時も、ぎりぎりまでMDを聞いてイメージトレーニングしていたし、楽しようという発想が微塵もない。お稽古でも、時間の許す限り何度でも繰り返す。なにしろ出し惜しみしないのだ。
本番、私は舞台にいるのでオペはできない。お手伝いで来てくれる伊藤さんが、やったことないけど、といいながら音響をやってくれるというので、私はその準備だけをすることになった。とはいえ、会場の音響設備の様子が明確でないまま準備をするので、何重もの安全策を取り、MD、CD、テープにそれぞれ同じ音源を入れた。短い時間でなんとかリハーサルをして、本番。

1. 「いちばん短い抒情詩」      歌:蘭妖子
2. 「だいせんじがけだらなよさ」  朗読:こもだまり 
3. 「なんでもないよという名のばあさん」 朗読:蘭妖子
4. 「あらしのよるに(作・木村祐一)」地の文:村松真理子 ヤギ:こもだまり オオカミ:蘭妖子
5. 「しあわせ それともふしあわせ」 歌:蘭妖子
6. 「海」(合唱)

朗読していると、詩の中の音を聞いて「まよけ!」と、繰り返してきたり、客席に行くと、近づく気配に反応して「誰?」と声をかけてきて、しあわせについての質問をすると「しあわせは 食べられますか?」「たべられません!」「しあわせは 川で泳いでいますか?」「いいえ!」とか答えてくれたり。

最後に生徒さんから感想をいってもらって、花束をお礼にいただいた。
終わってから控室でコーヒーとケーキをいただきながら先生とお話をする。
オオカミとヤギの声質が全然違うからよかったんじゃないかしら、と先生は言っていた。
声の見た目、とでもいうかな。
朗読は、あくまでも声が身体。改めてそんなことを思ったのだった。
今回は、そりゃそうね、という配役だったけど、違う選択肢も可能になったらもっとおもしろいな。
しかもこのヤギは、能天気というか人がいいというか、よくここまで生き残って来れたなというヤギで、
なのに「〜ですよね!」なんて言葉使いなのが思いのほか掴みづらかった。
一人で読んでいるとロバになったりわたしになったりするので、「なんか違う気がする。ヤギっぽくない」とYに言うと「めえ〜って入れればいいじゃん」とか言われ・・・。そういうことじゃあないんだよね(笑)。
そうやってだんだんできていったヤギなのだった。
普段、役作りっていうのは意識してはやらないのだけど、ビジュアルが無い分、声に衣装やメイクやヘアメイクを施すような感じで、いつもの何倍も細かく、そういうことを考えたみたいだ。それはあとから気づいた事だけど。

060724リトルフラミンゴ駅付近で、遅いランチを食べた。
蘭さんと私は担々麺を、伊藤さんと村松さんは焼きそばを食べた、というか、ビールとともに、蘭さんにご馳走になった。
食べながら聞いた話がまたおもしろく、天井桟敷時代に動物を舞台に上げる時には蘭さんが飼育係で、それは動物を貸してくれる人が蘭さんを気に入って、「この子になら貸して上げる」というからだったとか、外国に犀鳥(さいちょう)を連れていった時に、犀鳥が突然飛んで、川に落ちて溺れた話とか、それを蘭さんが臨場感たっぷりに話してくれるからおもしろくって、もっと聞いていたいくらいだった。
ところで、これはお店の箸袋(画像参照)なんですが。
お店に入ってみんなで「なんて読むのかしら?」と悩んで店員さんに聞いた所、
「リトルフラミンゴといいます」
「"だいせんじがけだらなよさ" だ!」
今日わたしが読んだ詩の最後は
さかさに読むと あの人が教えてくれた歌になる
つまり「だいせんじがけだらなよさ」→「さよならだけが人生だ」になるというもので、この店の名前もさかさによむという偶然に、なんだかみんなで興奮したのでした。

帰ってビデオを確かめたら、蘭さんの最初の歌が終わって、私の詩の途中で画像がぷつりと切れていた。
そのあとしばらく何も写っていなくて、「あらしのよるに」がぱらぱらと見えて来て、わたしがハケるあたりから普通に写り始めている。私がカメラの所に戻って(私がモニターを覗いて)からは正常に写っているのだ。どうしたことだろう?? そんなわけで、本番の出来は私にはわからない。とき緒さんには見せようと思っていたのに・・・ごめんね。

今回蘭さんと改めてご一緒していいなあと思ったのは、蘭さんがいつも「ありがとう」とちゃんと口にするところ。
ご自分では意識されてないのだと思うけれど、電話の最後にも、お稽古のあとの別れ際にも、いつも自然に「ありがとう」と言う。留守番電話の応答にも、最後に「・・・お電話ありがとうございまいた」と入ってる。これだけ感謝の気持ちを持って生きたら、世界は違って見えるだろうな。練習熱心で、手を抜かない。裏表なく、率直で、いつも全力投球の蘭さんなのでした。