鬼姫◎スナップ写真集1 蘭・蜜・あぐり・ホトギ


【赤青共通】蘭役 金原沙亜弥ことなっち。
 

とんでもない量の殺陣を闘い抜いたなっち。
写真は千秋楽後に血塗れ記念で撮ったもの。少し復旧してのこれで、蘭紅葉戦の直後の一番ひどい所を撮れないのが残念(舞台写真とか映像では見られるかな?)。

『夢屋』『存ぜぬ快楽』『少女椿』の共演で、なっちは自分の言葉で理解できればできる子だと知っていたので、苦しんでいたけど、いつかきっと、すとんと蘭になる日が来ると信じてた。
蘭は出ずっぱりだから稽古場ではなかなかふたりで話をするタイミングがなく、本番一週間前のスタジオ稽古で「ふたりで殺陣の段取りして」と言われて、血糊作りながらいろんな話をできて、やっとお互い安心したんじゃないかな。

蘭紅葉の殺陣は最終戦だから、とにかく出来る限り血を出そうってことでふたり合わせて何個?18かな?稽古場と自らを水びたしにしながら、打ち合わせしたよね。 殺陣(+血糊会議)で、蘭と紅葉の関係が出来上がったと言っても過言ではない。蘭と紅葉の関係って実際そういう共犯とも言えるものだから、よくできてる。

死の布が引いていって誰もいなくなったあと、皆殺しを遂行して血塗れで泣いてる蘭を初めて目の当たりにする。その時、可哀想にって気持ちと同時に、誇らしいような気持ちにもなってね。
本番を重ねる毎にどんどん息が合ってきて、千秋楽は「笑いながら殺し合う」と台本にある通り、快楽の中で殺し合えた。
なっちの蘭と生きられて、今世もしあわせだったと思っている。


「つらいだろうね。だけどしっかりやり遂げるんだよ。」
紅葉は酷いことをさらりと宣告して、勝手に笑顔で死んでいくのだけれど。

蘭、また、来世で会おう。


【赤】蜜役 紅日毬子ちゃん。
 

初演であぐりだった毬子ちゃんが、蜜となって、お姉さんになったのねえ、と思ったのが最初の印象。
(結局あぐりも演じたけど)。
裁判で温羅に向ける強気の顔、目無との戦闘で身を挺する姿、蘭を守るその為だけに強くなった娘。
泰造さんとして具現する「死」に取り憑かれたときのどんよりしたまなざしが、初演で紅葉が蘭に言った台詞を思い出させた。
「あの時お前はぐったりと虚ろな目で、私を見ていた。」
捨てられた死にかけの子猫が全てを悟ったような表情。

ずっとずっと早い段階で自分の死を予期してしまったのであろう儚い、可哀想な蜜だった。
それは冒頭の「私が殺した村人か?」から始まっていた。

かげろう。


【赤】あぐり役 十三月紅夜ちゃん。
 

毬子と言えばあぐり、とまで言われる役のダブルキャストっていうのは主演の蘭と同じくらいのプレッシャーだったはず。
紅夜あぐりは、板の上でいつも飄々と軽やかで、綱渡りくらい簡単にできそうなあぐりだった。
祭りの中での「吸血鬼の詩」朗読の場面、劇場稽古で初めてふとあぐりを見てみたら、邪気なく楽しそうにしていたのが印象的で、それから毎回、見上げるようになったっけ。花道で私が座ってあぐりが立ってるあの形は楽しかったね。
紅夜さんがよく使う「きゃいきゃい」がぴったり当てはまるあぐり。
『少女椿』機械になったみどりに続き、腕が武器に変形する役だったけど、その道を突き進むのかしら?

【赤】ホトギ役 有栖川ソワレちゃん。
 

写真みたら分かる通り、もうこのホトギは好き勝手してた。
あぐりの化身の式神なのに最終形態蟹ってところでもう意味がわからないし(笑)、初演であぐりの腕がおかしなもの(iOMIK、と呼ばれていた)になった時もなんだこれはと思ったけど、もう今回はそれ以上の飛び道具で人気もなかなか高かった様子。ソワレホトギは青鬼配役終わって蜜から解放された途端、謎の台詞を言い出した。
「かーにばる!」・・・カニだけに・・・?。
着替えながら「あいつ、いいやがった・・・」って呟いたもんだ。
その後に演出と打ち合わせまでして、
「かーにばる!かーにばる!」・・・二回になった。
覚醒すると「ゲハハハハ!」と笑う下賎敬語キャラになるのは赤猫座の下賎チームに入れなかった気持ちがそうさせるのだ、とのこと。それはそれとして、すこぶるかわいらしい容姿でした。



【青】蜜役 有栖川ソワレちゃん。
 
(右はゲネ写真、名鹿洋一さん撮影)

あれ、この流れでソワレ蜜の話、大丈夫? 構成ミスかな(「蜜」の字が蟹に見えた)。

ソワレちゃんとは、出会ったのは去年の『存ぜぬ快楽』なんだけどそこからライブも含め共演機会が多かった。故に共有する時間が多く、かつ大島さんがいないと百眼では我々ふたりが歌のお姉さんとして働く運命で、この公演の稽古中もいろんな話をした気がする。

その中で「蜜って社長(紅葉)の愛人でしょ」とソワレちゃんが言ったのに対し私が「死んだの最愛の恋人に生き写しの、だから恋人だけど娘みたいにも感じてるんだよ」と言ってから、少し関係が変化したような気がする。蘭との関係を丁寧に見せるのに比べて、紅葉との関係を表すシーンはとっても短くて、だからこそこういう話をできたことはよかった。

八木さんのアドバイスもあって、清楚な蜜を作った。
見る人によって違うみたいで「毬子蜜は若くて恋したら蘭と一緒にどんどん行っちゃう印象、ソワ蜜は時には嗜める包容力があってお姉さん」って話を誰かの感想で聞いたけど、わたしから見ると、ソワ蜜のほうが危なっかしい。
毬子蜜が死を予感しながらも進んで行くのに対し、ソワ蜜は未来を敢えて予測しないで突き進む、そんな風に見えた。なにこれ、わたしが親目線だから?

蘭を認めてもらいに来た時の蜜は、それ以前に自分を十分に大人だと思っていたしそう振る舞っていたけれど弱さを知って、本当に大人になって、だからこそ紅葉に対して本気で救いを求めて必死になって私の顔をはっきりと見返し、許されて(蘭を周りからかばいながらも)視線で私に感謝を伝えて去って行く(それが実は直接見る蜜の最後の姿なのよね)。
なのに、やっぱり最愛の蘭に殺される運命は変えられず、驚きながらも徐々に受け入れる、その姿が哀しい。『また、ふりだしに戻る』って曲のシーン。


【青】あぐり役 紅日毬子ちゃん。


初演でもあぐり。
稽古が始まって、なんとも懐かしい気持ちになった。
毬子の成分のほとんどがあぐりで出来ているそうだから、『存ぜぬ快楽』の本番中もよくふざけてあぐりになっていた。わたしもそれには「おいあぐり。こんなところまで遊びに来てるのかい?」などと紅葉として応えていたが、まさかその場=ザムザ阿佐谷で本当にそれやる日が来るとは思わなかったね、と毬子ちゃんと笑った。

あぐりに関しては何も考えずとも関係が成立したので、逆に特別書くことがない。
あ、『少女椿』でサホという、紅葉のひとつ前のお化け(鬼姫)でかつあぐりの魂の元みたいな役を演じたことで、よりあぐりが強化されたところはあるだろう。

あとはまあ、ね、楽しかったぞ、あぐり。また会えるんだろう?


【青】ホトギ役 十三月紅夜ちゃん。


白塗りも、鋭くないほんわりした系のメイク顔も初めて見たけどやっぱり美人ね。
ほかの人たちのメイクも手伝ってあげてた。
ホトギ完全体の初期製作から始まり、ホトギを愛しすぎてついにカニ=自分だと思い始めた紅夜さん、携帯に金色のカニ爪を付けてたねえ。真っ赤な足の裏との対比がすごいので隠し撮り。

ホトギとはあんまり絡みがなくて残念。
最終日にはヘアピンを見失った私に快くごっそり貸してくれたり、稽古場でもマッチをくれたり、お稽古場のスケジュール連絡など、いろいろこまごまたくさんお世話になりました。いつもありがとう。