Air*Log

語り歌う女優、こもだまりの製作日誌(2005〜)。 演劇・語り・ライブ等の上演情報や、稽古や、思索。 昭和精吾事務所 二代目代表。脚本・演出家。麻邑楽×麻人楽。 ヒューマンアカデミー演技講師。

読書

「新しい時間」

誰を記憶するでもなく、誰に記憶されるでもなく、自分自身を記憶する光の情景。私たちが記憶と呼ぶもの、それは単なる記憶の記憶で、記憶の痕跡に過ぎない。記憶にラベルをつけて整理整頓し、お行儀良く過去から未来へ一直線に並べ直すことがもし記憶であるなら、世界は何と貧弱で頼りなく、暗く悲しいものだろう。忘却。記憶の本当の名前。光り輝く彼だけがこの世界を愛しつづける。

(横田創『Naked Cafe』20101224「新しい時間」より抜粋)



なんでだか文章の呼吸がやけにしっくりと来た。
気に入ったものは忘れないように貼りつけて。


記憶、という言葉を中学生の頃からずっと気にしてたとたったいま、思い当たった。

横田創『埋葬』

創さんの初の書き下ろし新刊(去年冬発売)、買ったまま待たせてたのをやっと時期が来て読んだ。
駅を降りてすぐにある、いま満開のハナミズキによく似合う装丁。
以下、読書記録をまとめてる(過去の読書も整理中)ブクログから転載。
BookLogて名前も気に入ってる。


横田 創
早川書房
発売日:2010-11-25

死者(不在者)のことを語る人たちの話を聞く物語。
複数の人が彼女について語れば語るほど、彼女の輪郭はぼやけていく。
でもどれが「ほんとう」とか「うそ」とかそんなことは関係なくて、そもそも関係の中にしか人は存在できないのだから、誰かが語る彼女も彼女の一部なのだ。



追伸)ブクログのレビューには気に入った箇所フレーズの引用もしてあるんですが、それは反映されてないようなので改めて。

”いつまでたっても慣れないと、忘れられないと思うものはすべて、慣れようと思う前に慣れて、忘れようと思う前に忘れてしまったものの上に成り立っているから、慣れてしまったことにも、忘れてしまったことにも気づかない。”(横田創『埋葬』p.183)

「寺山修司に愛された女優」新高けい子さんの伝記が出ました!



日刊ゲンダイの記者で、寺山作品の公演ではいつもお会いする山田さんの取材に基づく、天井桟敷の伝説の看板女優「新高けい子」さんに関する本。

10/15に発売されたので、宣伝しておきます!
わたしはまだ読んでないんですが、万有引力にいく電車の中で読んできたという昭和さんが「俺も知らないことが書いてある。さすがだよ」と言ってました。

万有で見た「阿呆船」のラストを飾るあの台詞も、新高さんの台詞ですよね。

京極夏彦『姑獲鳥の夏』

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)なつみちゃんも毬子ちゃんも面白いというので、ついに京極夏彦の「百鬼夜行シリーズ」なるものを読んでみた。

第一作目の『姑獲鳥の夏』。
堤真一主演で映画化され、結構話題になった(わたしの回りでは着物のことで話題にあがった)ので知ってる人は多いが、原作のあまりの分厚さに手を出さない人が多かったらしい。島田荘司読んでたら分厚い本なんか恐くないさ!


推理力と行動力に長けた中禅寺秋彦の為すことを、友人の関口巽が語るというスタイル、島田荘司の御手洗シリーズを見るようだ(本の分厚さもさることながら)。
ちなみに中禅寺さんは御手洗さんよりもさらに出し惜しみ型なので、友人で私立探偵の榎木津礼二郎が中盤のストーリー展開を進める。

御手洗さんはもと占星術師で、現在脳科学者(趣味が探偵)。
中禅寺さんの本職がは神主(宮司)で副業として憑物落としの拝み屋、さらに古書肆「京極堂」の店主(ゆえにしばしば屋号の「京極堂」で呼ばれる)。
風貌も、痩身で長身、というあたりで似たイメージだ。

石岡さんが記憶喪失時に巻き込まれた事件から救ったのが御手洗さんで、
関口さんが学生時代に患った重度の鬱(+後年巻き込まれた事件)から救ったのが京極堂、という合致はおそらく敢えてのパロディなのだろう。
御手洗さんの、石岡さんを甘やかして助けはしないが最終的には見捨てないといった態度も、京極堂の関口さんへの態度に似ている。
おかげで御手洗シリーズファンの私は入り込みやすかった。

妖怪が出て来ると思いきや、妖怪そのものは登場しない。
妖怪になぞらえて起きる事件を「憑物落とし」として解決する。
憑かれている人間を、言語によって解放するというもの。

物語の巧妙さはもちろん、謎解きの爽快感は御手洗さんに劣らないし、京極堂の人間性(余計な干渉はしないが、関わってしまったなら出来るだけ救いたいという態度)も、榎木津さんの自由奔放な言動もたいへん気に入ったので、しばらくこのシリーズを読んでみようと思う。


登場人物についてはwiki該当ページをご参照いただくとわかりやすいかと。

続きを読む

絵本『3びきのかわいいオオカミ』



絵本「3匹のかわいいオオカミ」


絵本『3びきのかわいいオオカミ』。
タイトルをみれば分かる通り、三匹のこぶたのパロディなんだけど、とてもかわいいお話で、好き。


100702カレー座・高円寺の2階、カフェ・アンリファーブルで読みました。
ここには絵本がたくさんあって、自由に読むことができます。
本格カレーがおすすめ。座・高円寺に通ってる2週間の間に3回食べました。
ランチだとサラダがついて同じ値段でお得という噂。



ちなみに好きな絵本ベストワンは、10年以上不動の『100万回生きたねこ』です。
おすすめの絵本あったら教えてくださいな。

角田光代「キッドナップ・ツアー」

角田光代さんの『キッドナップ・ツアー』を読んだ。
初・角田さん。
(面識ないかたに角田さん、というのも変なのだが、ゆりさんがそう呼ぶのでそれに倣っている)

初めて読むなら何がいいですか?とゆりさんに聞いたらこれを勧められた。

親子のお話だけど、親子の情を強調した暑苦しいところはなく、でも家族について考えさせられる。
夏休みという設定もいい。小学生の頃の夏休みって、長い時間の、非日常って感じしたもん。
詳しい環境がぐじぐじ説明されない潔さもいい。
飽くまで語り手のハル(小学校5年生の女の子)の感覚なのだ。

中盤の、テントから星空を見上げているシーンが好き。

 ふと、自分の体が軽くなって、そのまま浮きあがり、話し合うように点滅する星の合間にふわり、と浮いているような感じがした。となりで寝ているおとうさんも、やっぱりそんなふうに、ふわりふわりと浮かんでいびきをかいているようだった。山の向こうの、ずっと遠くに、おかあさんも浮いている、ゆうこちゃんもあさこちゃんも、ゆうこちゃんの恋人も、それぞれの場所で、星に引っぱられるようにふわりと浮かんでいる。反対側には寺のおばあさんも、つるつる頭のおじさんもいる。シロとクロとあの男の子も、眠りながら浮かんでいる。目をこらすとはるか向こうに神林さんも、ちずも、静かに夜空に横たわっている。
 星の合間の私たちは、おたがいまだであう前の、親子でもなくきょうだいでもなく、知りあいですらない、ただ切り離された一つのかたまりとして、それぞれの存在なんかまったく知らないもの同士として、ぷかりぷかり夜空に浮かんでいるような気がした。

(角田光代『キッドナップ・ツアー』新潮文庫 p.161)

東野圭吾「容疑者Xの献身」

物理学者 対 数学者。
読み終わる頃、このタイトルの意味が分かる。

ガリレオシリーズ初の長編で、湯川さん(物理学者・大学助教授)と草薙さん(刑事)の交流も細かく書かれているし、湯川さんがライバルと認めた旧友との会話は湯川さんの新しい面なのでうれしい。



「前にもいっただろ。考察というのは、考えて察した内容のことだ。実験して予想通りの結果が得られたのでよかったというんじゃあ、単なる感想なんだ。そもそも、何もかもが予想通りというわけじゃないだろ。実験の中から、自分なりに何かを発見してほしいんだ。とにかうもう少し考えて書くように」
(「容疑者Xの献身」文芸春秋刊p.250)


マニュアル本が親切に多く出回るくらいだから、予想通りの結果が出れば「正解なんだからOK」と感じることが多いのかもしれない。正しければいいって局面もあるかもしれないけど、関わったら関わったなりの+αが見たい。上にある言葉でいう「自分なりに何かを」。
それは繰り返し幾人の身体から語られる言語=戯曲も然り。
誰もが思いつく「正解」じゃなくて、「自分なりに何かを発見し」たところを見たい。

なんてことを考えた。

(近況)GWですね。

しばらく書いてませんが元気です!
3月の自分の舞台が終わってから、たくさん舞台を見ました。
追々感想など書いて行きたいと思います。


最近のスタイルはこんな感じ。
メインはリュックなので、本だけ取り出しやすいように小さな肩掛けかばんに入れてます。
かなり便利。

100414最近のスタイル



いまは久しぶりに東野圭吾。
使命と魂のリミット」から「探偵ガリレオ」。
「探偵ガリレオ」はずっと昔に読んでいたのを忘れて借りて来ました。
湯川助教授(ガリレオシリーズの探偵役)の謎解きは、御手洗さんに似ている。
島田荘司を知ったのは一昨年の年末で、読んだ時期が離れていたので気付かなかった。

御手洗シリーズも既刊はあと数作を残すのみだということがわかり・・・
読み終えたら、ガリレオシリーズも読んでみようかしら。

恩田陸『不安な童話』


恩田陸『不安な童話』読了。

おもしろかった。
酒井駒子さんの絵が表紙。
恩田陸の作品には特殊な能力を持った人がよく登場する。
その特殊な設定をすんなり受け入れられるのは作家のうまさ故なんだろう。

最近恩田陸と島田荘司の御手洗潔シリーズばかり読んでいる。
この作品は、注意深く読めば謎は解けたろうなと思えるくらい、ヒントはきちんと提示されている。
島田荘司並みに(褒め言葉)。

オープニングの息苦しさが全編読み終わるまで影響を与えて、文字通り不安な気持のまま読み進む。
恩田作品のなかで私がかなり好きな『蛇行する川のほとり』のようなニュアンスも含みつつ、ミステリーとしても上質で、あんまり巧く行ってるのを見た事がないホラーとかオカルトな要素もきっちり伏線となっている。


ひとつ前に読んだ『禁じられた楽園』にも効果的に使われていたが、急に出て来るゴシック体って恐い!
筒井康隆の七瀬シリーズを思い出す(これにゴシック体が使われてたかどうかは定かではないが、超常現象が起きてるときの通常の文章との落差の出し方が似たイメージ)。
ああ、七瀬シリーズっぽいかも。

恩田陸『常野物語』シリーズ

常野物語シリーズ2『蒲公英草子』(集英社文庫)より。

心の中ではなぜこんな馬鹿なことをという気持ちと、もしかしたらという気持ちが互いに押したり引いたりを繰り返している。(p.159)


いつのまにか、どきん、どきん、と心臓の音が部屋に大きく響き出していることに気付く。(p.113)



うまいなあ。
うまい。


砂々良の常連、Tさんが貸してくれた。
Tさんは書評だったり、書店でインスピレーションで本を買う。
高田郁を貸してくれたのもTさん。
しかしまさかの恩田陸!
常野シリーズはあらすじみて3冊(『光の帝国』『蒲公英草子』『エンド・ゲーム』)一挙購入したとのこと。
速攻でいままで読んだ恩田陸のおすすめリストをメールで送信した!

調べたら21冊読んでいた。
このシリーズ読むと、24冊。


🏠昭和精吾事務所(SSJ)代表|ACM:::メンバー ▫️語り歌う女優|演出▫️もと天井桟敷の昭和精吾の語りを継承すべく|寺山修司・岸田理生上演|詩劇と音楽劇|語りWS|ヒューマンアカデミー講師 2018-2024|🎤声宅録可能|ご依頼📮info@showaseigo.com
記事検索
月別アーカイブ
ギャラリー
  • 日誌を書きます
  • 日誌を書きます
  • 客演朗読劇)4/11(金)idenshi195『月想』(『幽言』vol.1にて)
  • 客演朗読劇)4/11(金)idenshi195『月想』(『幽言』vol.1にて)
  • 急遽の紅葉撮影してきました
  • 急遽の紅葉撮影してきました
最新コメント
bookLog本棚
メッセージ

名前
メール
本文